文献詳細
連載 神経学を作った100冊(27)
文献概要
1836年に“Lectures on the Nervous System”(本連載第8回,59巻8号参照)を出版したマーシャル・ホール(Marshall Hall)は,1850年4月にRoyal College of Physiciansにおいて,Croonian Lecturesを講演した。この講演の概要をまとめたものが1850年に出版された「脊髄反射神経系の概要」であり,この書物はホールの反射研究の集大成となった(Fig.1)1)。この著書の3頁目にdiastaltic movement(脊髄反射運動)と名づけたのは,peristaltic movement(蠕動運動)との対比によるものとしている。このほかにも,精神と脳,反射と脊髄,蠕動と神経節とを対比している(p.29)。彼は本書の中で,diastaltic nervous arc(脊髄反射神経弓),esodic nerve(求心性神経),spinal centre(脊髄中枢),exodic nerve(遠心性神経)などの新語を編み出した。またspinal shockの語を用いたのも彼が最初である。
参考文献
1) Hall M: Synopsis of the diastaltic Nervous System. Joseph Mallet, London, 1850.
掲載誌情報