文献詳細
症例報告
35年の罹患中に意識障害を伴う脳MRIで再発性病変を呈した神経Behçet病の1例
著者: 福田和浩1 石田志門2 坂根貞樹1 古川恵三1 杉野正一2
所属機関: 1市立枚方市民病院内科 2大阪医科大学内科学Ⅰ
ページ範囲:P.701 - P.705
文献概要
Behçet病は口腔内粘膜の再発性アフター性潰瘍,皮膚症状,ブドウ膜炎などの眼病変,外陰部潰瘍を主症状とした全身性の難治性炎症性疾患であり,病因はいまだに不明であるが,HLA-B51との関連が指摘されている。神経Behçet病(neuro-Behçet disease:NBD)は初発から一定の期間を経た遷延期に運動失調や構音障害,認知機能低下など多彩な神経症状や精神症状を呈して進行性の経過をとることが知られている1,2)。慢性進行期のNBDはステロイド治療に抵抗性であり3,4),再発発作を繰り返す症例や治療中断後に増悪する症例は予後不良であり1),死亡例も報告5)されている。
われわれは,35年に及ぶ長期のNBD罹患歴があり,対麻痺,構音障害,認知機能低下などを呈した慢性進行期に嚥下障害の進行からステロイドの内服を中止したところ,約1年後に意識障害を認め,脳MRIにて再発性の脳病変を呈した高齢のNBD症例を経験した。本症例では,慢性進行期における急性増悪の病態に対してステロイド治療がよく反応して臨床症状およびMRI画像にて改善が認められたのでここに報告する。
参考文献
掲載誌情報