文献詳細
特集 神経救急
脳症状を呈する救急疾患の初療の現状と展望
著者: 畝本恭子1 横田裕行2
所属機関: 1日本医科大学武蔵小杉病院救命救急センター 2日本医科大学救急医学講座
ページ範囲:P.35 - P.42
文献概要
日常診療で遭遇するあらゆる症状・症候の原因は,時に単純,時に複雑であり,診療に当たる医師はさまざまな疾患・病態を想定して対応しなければならない。神経救急で扱う症状も例外ではない。種々の意識障害,失神,痙攣,運動障害,言語障害,頭痛,めまいなどの脳症状で救急搬送される,あるいは来院する患者に対する初療の適否は,生命予後,機能予後に重大な影響を及ぼす。これらの患者はしばしば既往歴や基礎疾患,現病歴もよくわからず,本人からも十分聴取できないことも多い。また,therapeutic time windowが極めて短い急性期脳梗塞をはじめとして,病院前に要した時間と処置が影響する疾患・病態もあるため,救急医はこれも勘案したうえで迅速な診療を行う必要がある。
本稿では,神経救急の初療の実際を,推奨されている標準診療を中心に概説し,三次救急施設における事例を挙げて問題点について検討する。
参考文献
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