Ⅰ.なぜブレインバンクか?
ヒト脳は系統進化の最終段階にあると考えられており,動物実験の結果が外挿できる,全身臓器と異なる。また,ヒト脳をおかす,神経変性疾患や老化・認知症疾患は,厳密な意味での動物モデルが存在しない。特に精神疾患に至ってはなおさらである。
アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,ハンチントン病などのヒト脳をおかす疾患は,死後脳研究がなければ解明はなかったと考えられる。
雑誌目次
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩62巻10号
2010年10月発行
雑誌目次
特集 ブレインバンク
ブレインバンクの現状と展望
著者: 村山繁雄 , 齊藤祐子
ページ範囲:P.1013 - P.1018
ブレインリソースの現状―新潟大学脳研究所の取り組み
著者: 柿田明美 , 高橋均
ページ範囲:P.1019 - P.1024
はじめに
ブレインバンクが成り立つためには,当然のことながら,神経系の病理解剖業務が必須である。新潟大学脳研究所は,1960年代半ばには既にこうした業務を行う体制が構築されており,1970年代中頃からは生鮮凍結脳組織を保存する試みを開始した。以来40年余,幸いなことにこうした取り組みを継続することができている。この間サイエンスの発展とともに,凍結組織をはじめとし,適切に保存されたヒト脳組織の有用性は広く認識されるようになった。本稿では,われわれが所属する新潟大学脳研究所のブレインリソースの現状を紹介したい。
本稿の内容は,神経系の剖検を行っておられる施設の病理医にとっては,代わり映えのしないよく知っている業務の紹介が多分に含まれているものと思われる。その一方で,さまざまな立場の方々からの施設見学依頼を受けて,われわれの取り組み状況をご覧いただくと,臨床医や基礎研究者ばかりではなく,病理医からも参考になったとの感想をいただくことも多い。そこで,本稿ではわれわれが取り入れてきたささやかな工夫やアイデアを含め紹介することとした。
公的ブレイン・リソースの構築―リサーチ・リソース・ネットワークと生前同意に基づくパーキンソン病ブレインバンク
著者: 有馬邦正
ページ範囲:P.1025 - P.1034
はじめに
ブレインバンクは剖検時に得られた脳組織を凍結保存し,神経変性疾患や慢性精神疾患の病態解明と治療法の開発を目指す医学研究に提供するための機構である。これまで病理部門担当者が,患者・遺族,神経・精神医学領域の臨床担当医と基礎脳科学研究者を結びつける役割を果たしてきた。
欧米ではブレインバンクが多数運営されており,ネットワーク化されているが,日本ではブレインバンクを公称する機構は少数であり,公共バンクとしての外部研究機関への検体の提供は円滑ではない。独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(前国立精神・神経センター)は1997年に公的研究費によって施設蓄積(institutional collection)のネットワーク化であるリサーチ・リソース・ネットワーク(Research Resource Network:RRN)を創設し,2006年に生前同意登録制を基盤とするパーキンソン病ブレインバンク(Parkinson Disease Brain Bank:PDBB)を創設し,ブレインバンク運営のモデルを構築してきた。本稿では,特にブレインバンクの生前同意登録制度を中心に紹介し,今後の課題を検討する。
国際的最先端ブレインバンクの現状と日本ブレインネット構築への提言
著者: 仙石錬平
ページ範囲:P.1035 - P.1042
はじめに
神経,精神疾患研究のための脳収集は19世紀後半から始まり1,2),その後ブレインバンクとして発展した。実際にヒトの死後脳を神経研究において使用することの意義・重要性が広く認識されるようになり,ブレインバンクは現在欧米諸国で多数設立されている。日本においては,ブレインバンクは数カ所設置されているが,個々の施設が独自のシステムを導入しており,ネットワーク化されておらず,いまだ欧米に遅れをとっている。本稿では,国際的にも最先端を行く米国コロンビア大学に設置されたNew York Brain Bank at Columbia University(NYBB)のbanking処理・管理方法について概説しながら,日本ブレインネットを構築する際に応用可能かどうか検討する。
療養型病床群を基盤とする福祉村ブレインバンクと内外連携
著者: 赤津裕康
ページ範囲:P.1043 - P.1052
Ⅰ.福祉村ブレインバンクと福祉村病院長寿医学研究所――沿革
本施設の前身である山本病院は1962年に開設された。発展的に福祉村病院が1982年に開院され,当施設の認知症の専門病棟は1984年に開設された。以下にその歴史を概説するが,詳細はわれわれのウェブサイトを参照いただきたい(http://www.chojuken.net/enkaku.html)。
現在本邦でアクセス可能なブレインバンクについて
著者: 齊藤祐子
ページ範囲:P.1053 - P.1056
はじめに
「研究者が死後脳リソースを利用したいときに,本邦では具体的にどのような可能性があるのか,アクセス可能な施設一覧を掲載したい」という編集委員会の依頼を受け,それに対応すべく本稿執筆を担当させていただく。
ただし,本邦では高齢者ブレインバンクをコアとして今年4月に発足した,文部科学省科学研究費新領域包括型脳科学研究推進支援ネットワーク(以下,包括脳)神経疾患ブレインバンクネットワーク1)を除き,Web上に明確な取得方法をロードしているものはなく,正確度に欠ける点はご容赦いただきたい。
また海外の場合,国際的に配布をうたっているところはあるが,人的コネクションがない状況でどの程度実績があるのか,また,凍結リソースを受けとる場合,欧米間以外での受け渡しについては想定外であるところが多いので,バンクからの受け渡しをどうするか,冷凍での国際配達の方法ならびに費用負担,通関手続きなど,クリアすべき難関が多く存在し,現実性については既利用者から知識を得ることが無難である。情報収集が可能であったバンクについてのみ記載するが,これがすべてではないことをあらかじめお断りする。
まず,本邦でインターネット上アクセス可能なブレインバンクについて述べ,次いで,日本への配布可能をうたっているバンクについて述べ,最後に筆者が米国のバンクからリソースを手に入れた経過を述べて,困難点を明らかにしたい。
総説
究極のブレイン-マシン・インタフェースと脳の可塑的変化
著者: 櫻井芳雄
ページ範囲:P.1059 - P.1065
はじめに
ブレイン-マシン・インタフェース(brain-machine interface:BMI)とは,脳と機械を直接つなぎ相互作用させるシステムである。現在,大きく3種類に分けることができるが1),そのうちの感覚入力型BMI(人工内耳や人工視覚など)と直接操作型BMI(脳深部刺激療法など)は既に医療現場で使われている。一方,運動出力型BMIは,最近登場した新しい研究対象であり,脳の神経活動でロボットや身辺の機器あるいは自身の筋肉を直接操作することを目指している。現在単にBMIと称するとき,そのような運動出力型BMIを指すと考えてよい。
BMIの研究は,欧米では2000年前後から急速に進展し始め,ここ数年に限っても多くの書籍が出版されている2-4)。しかし日本国内では,BMIというものが神経科学的にも工学的にも極めて難易度の高い研究課題であるという認識がほとんどなく,欧米ですぐにでも実現されるという誤解も多かったため,その実体を知らないまま「何年遅れているのか」あるいは「今から追いつくことは可能か」という不毛な議論がしばらく繰り返されていた。これは他の神経科学的な研究課題(それらのほとんどもまず欧米で始まった)では,あまりみられなかった奇妙な状況であった。しかし最近になってようやく具体的な研究が増え始め,文部科学省,厚生労働省,総務省などが研究課題として取り上げるようになった。
自己と他者―社会脳科学の新しい枠組み
著者: 杉浦元亮
ページ範囲:P.1067 - P.1074
はじめに
われわれ人間の認知能力で,最も特異な能力が,同じ人間である“他者”と関わる能力である。われわれは相手の意図・心情や行動特性を汲み取り,それを基に適切な行動制御を行うことができる。例えば出勤して朝の挨拶を交わすとき,われわれは特別に意図しなくても,上司と部下と,また前の日に迷惑をかけた同僚と,相手によって用いる言葉やトーン,表情を変えている。この絶妙な態度の使い分けは,脳が相手と自分の社会的関係や,相手の意図・心情・行動特性に基づいて行った,高度な社会行動制御の結果である。このような適応的な社会行動を可能にしている脳メカニズムを解明するのが,筆者にとっての社会脳科学の目標である。
他者と関わる能力が他の基本的な認知処理能力と大きく異なるのは,それが自他概念,すなわち自己と他者の関係についての情報処理能力を必要とすることである。適切な社会行動のためには,他者の自分に対しての意図・心情を理解するのが重要である。適切な行動制御のためには,自己―他者間の社会的関係の現在・過去・未来,を参照する必要がある。また,実空間における社会的関係の認識は,相手と自己との間の身体運動の時空間的関係の特徴的なパターン認識である。このような自他概念の処理能力は,動物種や小児の社会認知発達の程度を特徴づける重要な因子である1,2)。
自他概念の認知処理の究明について,これまでの社会脳科学は必ずしも十分に取り組んでこなかった。本稿では,まず他者と関わる能力の神経基盤研究の現在について,脳機能イメージング研究を中心に俯瞰する。そしてこれを自他概念の処理メカニズムとその発達過程の視点から整理し直した新しいモデルを提案し,社会脳科学の新しい地平を目指す。
間葉系幹細胞を利用したグリオーマの治療戦略
著者: 難波宏樹
ページ範囲:P.1075 - P.1082
はじめに
過去数十年における神経腫瘍学の発展にもかかわらず,悪性グリオーマに対する画期的な治療法はいまだ開発されていない。手術および放射線・化学療法は悪性グリオーマ患者の予後を明らかに改善してはいるものの,治癒に至る例は極めて少なく,放射線療法や化学療法は限られた治療効果しかない1-3)。WHO grade IV膠芽腫の生存中間値は1年程度であり,grade IIIでも約3年である1,3,4)。グリオーマ細胞が脳内を浸潤性に発育し,時には対側脳にまで遊走することが,積極的切除後においても再発する一因と考えられる。
近年では脳腫瘍は脳腫瘍幹細胞と呼ばれるsubpopulationによって維持され5,6),この脳腫瘍幹細胞が浸潤能や治療抵抗性に関係していることが示唆されている7)。脳腫瘍幹細胞には正常の神経幹細胞(neural stem cell:NSC)と類似した特徴があり,これらの脳腫瘍幹細胞が正常なNSCより発したのか,分化した成熟神経細胞の変異によって起こるのかはまだ明らかでない8)。脳腫瘍幹細胞とNSCに共通点があるということは腫瘍形成の面から興味深いが,また一方,その両者に共通する遊走能を治療戦略に応用しようという試みも最近注目されている。
しかしながらNSCの臨床応用における重大な問題の1つは,治療に用いるのに十分な量のNSCをどこから得るかということである。成人脳腫瘍患者自身の脳から十分量のNSCを得て,治療に用いる方法は,細胞採取自体が侵襲的であり,成人NSCは採取後の培養・増殖に時間がかかるため,進行の速い悪性グリオーマの治療には必ずしも適当でない。本稿では主に骨髄などから採取されるNSCに類似した細胞を利用した治療につき考察する9)。なおここではこれらの細胞を間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)と呼ぶことにする。
症例報告
前大脳動脈解離性動脈瘤を合併したRubinstein-Taybi症候群の1例
著者: 石坂俊輔 , 宗剛平 , 諸藤陽一 , 林健太郎 , 北川直毅 , 立石洋平 , 森川実 , 陶山一彦 , 永田泉
ページ範囲:P.1083 - P.1088
はじめに
Rubinstein-Taybi症候群(Rubinstein-Taybi syndrome:RTS)は成長障害,特徴的顔貌,幅広い母趾,精神発達遅滞を特徴とする先天性奇形として知られている。常染色体優性遺伝であり責任遺伝子がCREB(cAMP response element-binding)結合蛋白遺伝子であることが判明している1-3)。これまで眼科的異常,先天性心奇形などのさまざまな合併症が報告されているが4),頭蓋内動脈解離の合併の報告はなく,今回われわれはRTSに前大脳動脈解離性動脈瘤を合併した1例を経験したので報告する。
Postictal feverとpostictal pleocytosisを呈したテオフィリン関連痙攣発作の1例
著者: 谷口昌光 , 谷口央 , 毛利渉
ページ範囲:P.1089 - P.1093
はじめに
てんかん発作ののち,一部の症例において感染症とは関係なく発熱あるいは髄液細胞数増加が認められることがあり,それぞれpostictal fever1-3),postictal pleocytosis4-7)として知られている。感染性・非感染性炎症性中枢神経疾患との鑑別のうえで重要な事象ではあるが,本邦の成書にこれらの記載は乏しい。
今回われわれは,postictal feverとpostictal pleocytosisを呈したと考えられるテオフィリン関連痙攣の1例を経験したので,これまでに報告された特徴と照らし合わせ報告する。
神経画像アトラス
口周囲に限局した異常感覚(isolated oral syndrome)を呈した視床ラクナ梗塞の1例
著者: 佐治直樹 , 多々野誠 , 清水洋孝 , 瓦井俊孝 , 喜多也寸志
ページ範囲:P.1094 - P.1095
症 例 64歳,女性
主 訴 左口角周囲のしびれ
既往歴 特記事項なし
現病歴 200X年9月1日午後から左口角周囲のしびれが出現した。手足には出現しなかった。夕方になっても症状が持続したため,当院を受診した(第1病日)。
学会印象記
International Neuropsychological Society Mid-year Meeting 2010(2010年6月30日~7月3日,クラクフ)
著者: 鶴谷奈津子
ページ範囲:P.1096 - P.1097
International Neuropsychological Society(INS)では1年に2回の学術集会(Mid-year MeetingとAnnual Meeting)が行われます。私が参加した2010年のMid-year Meetingは6月30日~7月3日,ポーランド南部のクラクフにあるヤギェウォ大学で行われました。
クラクフは私たち日本人にとってあまり馴染みのない地名ですが,実はポーランド第2の都市であり,ワルシャワの前に首都が置かれていた街なのです。日本で言えば,京都のような位置づけです。クラクフには歴史ある建造物が数多く残っており,いたるところで素晴らしい装飾の教会に出会うことができました。街を見渡す丘の上にはヴァヴェル城,そして旧市街地の中心には,中世から残る広場としては欧州最大級の中央広場があります(写真1)。戦災を免れた美しい町並みは「クラクフ歴史地区」として世界遺産第1号の1つに登録されており,どの小道を歩いていても欧州の雰囲気を満喫することができました。
連載 神経学を作った100冊(46)
マジャンディ『生理学基礎提要』(1816-1817)
著者: 作田学
ページ範囲:P.1098 - P.1099
フランソワ・マジャンディ(Franoçis Magendie;1783-1855)(Fig.1)は1783年10月6日にボルドーで外科を開業する医師の家に生まれた.父は熱心な共和主義者であり,1791年マジャンディが8歳のときにパリへ移り住んだ.時代はまさに1789年から始まる革命の真っ最中であり,1789年にはバスティーユ襲撃が起こり人権宣言が採択され,1792年には共和制宣言が行われた.この間マジャンディの父は革命の幹部になり,そしてロベスピエールの失脚とともに投獄される.やがて出獄し,のちにパリ10区の区長とパリの病院の理事になっている.
1794年に健康学校がパリを含む3カ所に設けられ,フランスの医学教育制度の再構築が行われた.父の知り合いであったボワイエ(Baron Alexis de Boyer;1757-1833)は健康学校の准教授であり,Hôtel-Dieu,Chariteで第2外科医の称号を有していたので,彼について医学を学ぶことになった.間もなくマジャンディは頭角を現し,若くして教育をする立場になり,経済的にも父から独立した.1803年に19歳の若さで医師国家試験に合格してアンテルヌ(インターン)となる資格を得,彼の父が区長をしているサンルイ病院のアンテルヌになり,1808年に最終的に学位の試験に合格した1).この間に最も多くの影響を受けたのはマリー・フランソワ・ザビエル・ビシャー(Marie Franoçis Xavier Bichat;1771-1802)からであったが,1815年までは雌伏の年が続いた.
書評
「《神経心理学コレクション》視覚性認知の神経心理学」―鈴木匡子●著,山鳥 重,彦坂興秀,河村 満,田邉敬貴●シリーズ編集 フリーアクセス
著者: 高橋伸佳
ページ範囲:P.1058 - P.1058
神経心理学の対象は言語,行為,認知にはじまり,記憶,注意,遂行機能,情動などを含む広範な領域に及ぶ。このうち失認症を中核とする認知の障害は,ほかの症状,例えば失語症や失行症などと比べてとっつきにくいと感じる人が多いのではなかろうか。大脳の機能を大きく運動(出力)と感覚(入力)に分けたとき,後者の障害である失認症は外から見てその存在がわかりづらい。障害を検出する際にも,結果を出力という目に見える(表に現れる)形で捉えにくいため客観的評価が難しい。こうした印象が失認症への積極的アプローチをためらう理由の1つかもしれない。
認知の障害は視覚,聴覚,触覚など感覚別に分類される。本書はこのうち最も重要な視覚性認知に焦点を当てたものである。本書の特長は2つある。1つは視覚が関係する高次脳機能のすべてを網羅している点である。内容は「視覚性失認」はもちろん,「視空間認知」,「視覚性注意」,「視覚認知の陽性症状」から「視覚認知と意識」にまで及ぶ。読み,計算,言語理解,行為などについて,視覚(あるいは視空間)認知の観点からみた項目もある。読者は全体を眺めてもよいし,まず興味のある部分から覗いてみてもよい。徐々にこの領域が身近に感じられるようになるだろう。
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あとがき フリーアクセス
著者: 高坂新一
ページ範囲:P.1104 - P.1104
気象庁によると今夏の日本列島の月平均気温は,観測を開始した1898年以降最高であったとのこと。連日の猛暑を越えた酷暑に人も動物も木々も息絶え絶えの様相を呈している。それに加え,やりきれない不快感を益々増長させているのが,某党の代表選挙がらみのここ数日の動きであろう。「国民の生活が第一」という標語そのものは素晴らしいものであるが,それは短期的な観点ではなく,5年後10年後という中長期的な戦略の上に立脚してこそ意味がある。消費税の議論を含め,明確な政治展望も示されない中での代表選にかかわる談合だけが進められているわが国の先行きが誠に気がかりである。
さて,本号では特集として「ブレインバンク」が取り上げられた。脳神経系の病態解明研究におけるブレインバンクの重要性は一昔前から指摘されていたものの,なかなかその体制整備は進まず,現時点においてもある程度体系だったバンクは国内においてごく少数の研究機関に存在するのみである。最近になってリサーチ・リソースの充実とそのネットワーク化が脳科学研究の進展に欠かせないとの認識がいっそう高まり,今後ブレインバンクを含めたリサーチリソースの体制整備が急速に進められていくものと期待している。今回の特集はその意味でまさにタイムリーな特集であると言えよう。
基本情報
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68巻12号(2016年12月発行)
特集 炎症性神経・筋疾患の新たな展開
68巻11号(2016年11月発行)
増大特集 連合野ハンドブック
68巻10号(2016年10月発行)
特集 アディクション—行動の嗜癖
68巻9号(2016年9月発行)
特集 自己免疫性脳炎・脳症
68巻8号(2016年8月発行)
特集 こころと汗
68巻7号(2016年7月発行)
増大特集 認知症の危険因子と防御因子
68巻6号(2016年6月発行)
特集 脳とフローラ
68巻5号(2016年5月発行)
特集 手の症候学—生理学・解剖学からみた新知見
68巻4号(2016年4月発行)
増大特集 治せる認知症
68巻3号(2016年3月発行)
特集 末梢神経の血管炎
68巻2号(2016年2月発行)
特集 筋疾患の認知機能障害
68巻1号(2016年1月発行)
特集 シャルコー・マリー・トゥース病
67巻12号(2015年12月発行)
特集 視床と高次脳機能
67巻11号(2015年11月発行)
増大特集 ギラン・バレー症候群のすべて—100年の軌跡
67巻10号(2015年10月発行)
特集 非・日常生活の脳科学
67巻9号(2015年9月発行)
特集 酵素補充療法
67巻8号(2015年8月発行)
特集 神経難病の終末期医療
67巻7号(2015年7月発行)
増大特集 神経疾患と感染症update
67巻6号(2015年6月発行)
特集 脳と「質感」
67巻5号(2015年5月発行)
特集 NCSE(非痙攣性てんかん重積状態)
67巻4号(2015年4月発行)
増大特集 大脳皮質vs.大脳白質
67巻3号(2015年3月発行)
特集 中枢神経の血管炎
67巻2号(2015年2月発行)
特集 「食べる」を考える
67巻1号(2015年1月発行)
特集 ニューロトキシコロジー
66巻12号(2014年12月発行)
特集 Orthopaedic Neurology—神経内科と整形外科の狭間で
66巻11号(2014年11月発行)
増大特集 神経症候学は神経学の“魂”である
66巻10号(2014年10月発行)
特集 分子を撃つ 神経疾患治療の新しい水平線
66巻9号(2014年9月発行)
特集 痙縮の臨床神経学
66巻8号(2014年8月発行)
特集 神経系の悪性リンパ腫update
66巻7号(2014年7月発行)
増大特集 アミロイド関連神経疾患のすべて―封入体筋炎からアルツハイマー病まで
66巻6号(2014年6月発行)
特集 ミラーニューロン
66巻5号(2014年5月発行)
特集 アセチルコリンと神経疾患―100年目の現在地
66巻4号(2014年4月発行)
増大特集 タッチ・ビジョン・アクション
66巻3号(2014年3月発行)
特集 神経筋疾患の超音波診断
66巻2号(2014年2月発行)
特集 糖尿病の神経学revisited
66巻1号(2014年1月発行)
特集 日常生活の脳科学
65巻12号(2013年12月発行)
特集 プロテイノパチーの神経病理学
65巻11号(2013年11月発行)
増大特集 Close Encounters―臨床神経学と臨床免疫学の遭遇と未来
65巻10号(2013年10月発行)
特集 神経系の発達メカニズム―最近の話題
65巻9号(2013年9月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である―現状と展望
65巻8号(2013年8月発行)
特集 こころの時間学―現在・過去・未来の起源を求めて
65巻7号(2013年7月発行)
増大特集 あしたの脳梗塞
65巻6号(2013年6月発行)
特集 見せる・仕分ける―脳機能解析の新手法
65巻5号(2013年5月発行)
特集 てんかん―新しいパースペクティブ
65巻4号(2013年4月発行)
増大特集 Antibody Update
65巻3号(2013年3月発行)
特集 次世代シーケンサーによる神経変性疾患の解析と展望
65巻2号(2013年2月発行)
特集 血液脳関門研究の進歩
65巻1号(2013年1月発行)
特集 Corticobasal Syndrome
64巻12号(2012年12月発行)
特集 The Border-Land of Dementia
64巻11号(2012年11月発行)
増大特集 痛みの神経学―末梢神経から脳まで
64巻10号(2012年10月発行)
特集 辺縁系をめぐって
64巻9号(2012年9月発行)
特集 高次脳機能イメージングの脳科学への新展開
64巻8号(2012年8月発行)
特集 線条体の基礎と臨床
64巻7号(2012年7月発行)
増大特集 顔認知の脳内機構
64巻6号(2012年6月発行)
特集 睡眠と覚醒の脳内機構
64巻5号(2012年5月発行)
特集 神経疾患のバイオマーカー
64巻4号(2012年4月発行)
増大特集 パーキンソン病の新しい側面
64巻3号(2012年3月発行)
特集 アカデミアから新規治療の実現へ―トランスレーショナルリサーチの現状
64巻2号(2012年2月発行)
特集 生物学的精神医学の進歩
64巻1号(2012年1月発行)
特集 iPS細胞と神経疾患
63巻12号(2011年12月発行)
特集 神経心理学と画像解析の融合
63巻11号(2011年11月発行)
増大特集 筋疾患update
63巻10号(2011年10月発行)
特集 緩徐進行性高次脳機能障害の病態
63巻9号(2011年9月発行)
特集 脳卒中の最新画像診断
63巻8号(2011年8月発行)
特集 日本人の発見した神経症候
63巻7号(2011年7月発行)
増大特集 神経筋接合部―基礎から臨床まで
63巻6号(2011年6月発行)
特集 ニューロパチー
63巻5号(2011年5月発行)
特集 神経系と血管内リンパ腫
63巻4号(2011年4月発行)
増大特集 てんかんの新しい治療
63巻3号(2011年3月発行)
特集 サイバーナイフ治療
63巻2号(2011年2月発行)
特集 続・日本人の発見した神経疾患
63巻1号(2011年1月発行)
特集 血管腫
62巻12号(2010年12月発行)
特集 頸部頸動脈狭窄症の診断と治療
62巻11号(2010年11月発行)
増大特集 歩行とその異常
62巻10号(2010年10月発行)
特集 ブレインバンク
62巻9号(2010年9月発行)
特集 視神経脊髄炎(NMO)update
62巻8号(2010年8月発行)
特集 辺縁系脳炎
62巻7号(2010年7月発行)
増大特集 アルツハイマー病―研究と診療の進歩
62巻6号(2010年6月発行)
特集 改正臓器移植法の問題点とその対応
62巻5号(2010年5月発行)
特集 神経画像のピットフォール―見落としと読み過ぎ
62巻4号(2010年4月発行)
特集 傍腫瘍性神経筋疾患update
62巻3号(2010年3月発行)
特集 神経回路解析法の最近の進歩
62巻2号(2010年2月発行)
特集 ニューロリハビリテーションの最前線
62巻1号(2010年1月発行)
特集 神経救急
61巻12号(2009年12月発行)
特集 Somatotopy再考
61巻11号(2009年11月発行)
特集 前頭側頭葉変性症
61巻10号(2009年10月発行)
特集 片頭痛の予防療法
61巻9号(2009年9月発行)
特集 脳血管障害治療の進歩
61巻8号(2009年8月発行)
特集 神経・筋疾患の分子標的治療
61巻7号(2009年7月発行)
特集 脳腫瘍研究の最前線―遺伝子解析から治療まで
61巻6号(2009年6月発行)
特集 脊椎・脊髄外科の最近の進歩
61巻5号(2009年5月発行)
特集 Restless legs syndrome
61巻4号(2009年4月発行)
特集 大脳基底核―分子基盤から臨床まで
61巻3号(2009年3月発行)
特集 Microneurography(微小神経電図法)の臨床応用
61巻2号(2009年2月発行)
特集 神経系の再興感染症と輸入感染症
61巻1号(2009年1月発行)
特集 脳神経倫理
60巻12号(2008年12月発行)
特集 痙縮
60巻11号(2008年11月発行)
特集 脳卒中と遺伝子
60巻10号(2008年10月発行)
特集 若年者の脳卒中
60巻9号(2008年9月発行)
特集 知・情・意の神経学
60巻8号(2008年8月発行)
特集 脳硬膜動静脈瘻
60巻7号(2008年7月発行)
増大特集 学習と記憶――基礎と臨床
60巻6号(2008年6月発行)
特集 Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)
60巻5号(2008年5月発行)
特集 「痛み」の研究と治療の最前線
60巻4号(2008年4月発行)
増大特集 神経系の発生とその異常
60巻3号(2008年3月発行)
特集 特発性正常圧水頭症(iNPH)―最近の話題
60巻2号(2008年2月発行)
特集 がん治療と神経障害
60巻1号(2008年1月発行)
特集 日本人の発見した神経疾患
59巻12号(2007年12月発行)
特集 損傷神経の再生―温存的治療法の開発
59巻11号(2007年11月発行)
特集 手根管症候群をめぐって
59巻10号(2007年10月発行)
増大特集 ALS―研究と診療の進歩
59巻9号(2007年9月発行)
特集 パーキンソン病の認知機能障害
59巻8号(2007年8月発行)
特集 パーキンソン病の分子遺伝学―最近の知見
59巻7号(2007年7月発行)
増大特集 情報伝達処理におけるグリアの機能と異常
59巻6号(2007年6月発行)
特集 職業性神経障害の新しい展開
59巻5号(2007年5月発行)
特集 脳画像最前線
59巻4号(2007年4月発行)
増大特集 最近注目される脳神経疾患治療の研究
59巻3号(2007年3月発行)
特集 分子イメージング
59巻2号(2007年2月発行)
特集 進行性多巣性白質脳症の新しい展開―PMLが治る時代へ向けて
59巻1号(2007年1月発行)
特集 高次視覚研究の最近の進歩