文献詳細
連載 神経学を作った100冊(38)
文献概要
シャルコーは本連載第11回(本誌第59巻11号)に紹介した体系的な金曜講義(「神経疾患講義録」)のほかに,火曜講義と言われる講義も行った。現在残っている講義録は,1887年11月15日に行われた脊髄癆の後に発症した顔面神経麻痺の症例講義から1888年6月28日に行われた脊髄空洞症の2例の症例講義までの29回の講演の中で行われた80の症例講義録である(Fig.1)1,2)。
金曜講義はあらかじめ患者を診察し,細心の注意を払い,熟考を重ねて研究した患者を呈示した。その講義録はあらかじめ一言一句を大切にして書かれ,講義が終わったときには印刷に回せるほどだったという。これに対し火曜講義は,彼が述べているように「毎回の講義は,毎日当たり前のように行っている神経学がいかに驚きにみち,複雑であるかを強調したもの」である。すなわちサルペトリエール病院の外来に診察を受けに来た患者をその場で診察し,診断し,予後・治療法まで述べる。
金曜講義はあらかじめ患者を診察し,細心の注意を払い,熟考を重ねて研究した患者を呈示した。その講義録はあらかじめ一言一句を大切にして書かれ,講義が終わったときには印刷に回せるほどだったという。これに対し火曜講義は,彼が述べているように「毎回の講義は,毎日当たり前のように行っている神経学がいかに驚きにみち,複雑であるかを強調したもの」である。すなわちサルペトリエール病院の外来に診察を受けに来た患者をその場で診察し,診断し,予後・治療法まで述べる。
参考文献
Édition, Félix Alcan(内表紙ではLouis Battaille), Paris, 1892
2) Professeur: Charcot: Leçons du Mardi a La Salpètrière. Policlinique 1888-1889. Notes de Cours de MM Blin, Charcot et Henri Colin. Élèves du service. Tome 2, E. Lecrosnier et Babé, Paris, 1889(表紙には1890とある)
3) Hospice de la Salpêtriére. Clinique des Maladies du Système Nerveux. M Le Professeur Charcot. Leçons du Professeur, Mémoires, Notes et Observations. Parus pendant les années 1889-1890 et 1890-1891 et publiés sous la direction de Georges Guinon. Chef de Clinique. Avec la collaboration de MM Gilles de la Tourette, Blocq, Huet, Parmentier, Souques, Hallon, J -B Charcot et Meige, anciens chef de Clinique, Internes et interne proviso ire de la Clinique. Tome 1, Veuve Babé, Paris, 1892
4) Ibid. Tome 2, Félix Alcan, Paris, 1893
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