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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩63巻1号

2011年01月発行

書評

「≪脳とソシアル≫ノンバーバルコミュニケーションと脳―自己と他者をつなぐもの」―岩田 誠,河村 満●編 フリーアクセス

著者: 祖父江元1

所属機関: 1名古屋大学大学院・神経内科学

ページ範囲:P.26 - P.26

文献概要

 インターネット時代に入ってわれわれは大きく世界が広がったように感じている。E-mailにより,外国の相手とも瞬時にコミュニケーションが可能となっており,われわれはこのE-mailなしには1日も過ごせなくなっているといっても過言ではない。しかしこのE-mailは相手の顔が見えないし,声が聞こえない。われわれは文字情報に頼って真意を汲み取ろうとする。一方電話は,相手の声が伝わる。大切な相談や伝達は電話を使うことが多い。相手の声の中に本音を読み取れると感ずるからではないか。相手の気持ちを確かめながら,情報の交換ができると感じている。しかしさらに相手の本音や心に触れるコミュニケーションをとりたい時には実際に会って話をするということを行っている。相手の表情,目の動き,手振り,声の抑揚,姿勢などその情報は格段に増すことになる。われわれは言葉以外の部分にその人の本音の部分,本当の部分が読み取れることを本能的に知っているように思われる。最近では,このノンバーバルなコミュニケーションが大変希薄になっているように感じられる。しかしこのノンバーバルの部分がヒトの成長・発達や社会とのかかわりの中で,より重要で本質的ではないかとわれわれは薄々感じている。インターネット時代の中でのこの部分の希薄さが,最近の社会性の欠如した人間の出現や犯罪にもひょっとして関連しているのかもしれないと感じたりしている。

参考文献

1) Theodor Schwann: Microskopische Untersuchungen uber die Uebereinstimmung in der Struktur und dem Wachsthum der Thiere und Pflanzen. Saunder, Berlin, 1839 (英訳)Schwann Th: Microscopical researches into the accordance in the structure and growth of animals and plants. Tr. by Smith H, Sydenham Society, London, 1847
ed., Thomas CC, Springfield, 1970
3) 川喜田愛郎: 近代医学の史的基盤. 岩波書店, 東京, 1977

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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