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雑誌目次

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩63巻5号

2011年05月発行

雑誌目次

特集 神経系と血管内リンパ腫

血管内リンパ腫update―不明熱の原因疾患としての重要性

著者: 正木康史 ,   三木美由貴 ,   坂井知之 ,   澤木俊興 ,   福島俊洋 ,   梅原久範

ページ範囲:P.435 - P.441

Ⅰ.血管内リンパ腫とは―その多様性も含めて

 血管内リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma:IVLBCL)は,主に節外臓器の微小血管内を閉塞性に進展する悪性リンパ腫であり,病理組織学的にはび漫性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)の亜型である。2001年のWHO Blue Bookの第3版1)にはDLBCLの亜型として,2008年の第4版2)では独立した疾患単位として記載されている。第4版では,大動脈や大静脈を除いた血管腔特に毛細血管への選択的増殖をきたす節外性大細胞B細胞型リンパ腫の稀な型であるとされている。

 血管内リンパ腫は,1959年にPflegerとTappeiner3)によって報告されて以来,全身の微小血管の腫瘍性閉塞によるさまざまな徴候が報告されている。本邦のMuraseら4,5)によって血球貪食症候群を伴った亜型Asian variantが報告されその病態が明らかにされつつある。

血管内リンパ腫による神経系障害

著者: 水谷智彦

ページ範囲:P.443 - P.449

はじめに

 悪性リンパ腫による神経系障害の機序は,(1)リンパ腫自体による浸潤・圧迫,(2)リンパ腫細胞の血管内増殖による虚血,(3)遠隔効果による障害(腫瘍随伴性神経症候群),(4)リンパ腫が惹起する免疫不全によって惹起される障害(神経系感染症など),(5)リンパ腫の諸臓器障害によって起こる障害(代謝性脳症など),(6)治療に関連した合併症による障害,の6種類に分けられる1)。このうち,今回の特集である血管内リンパ腫は,主に(2)の虚血によって神経系障害が起こることを特徴とする1,2)

 血管内リンパ腫は,主に血管内で腫瘍細胞が増殖し,多彩な症状(Table1,2)3~5)を呈する悪性リンパ腫である。本症の歴史6)を訳述すると,第1例目は,PflegerとTappeinerによって1959年皮膚科領域から「Systemisierten Endotheliomatose der cutanen Blutgefäße」として報告され,1961年にBravermanらが中枢神経症状を呈する症例を初めて報告した。1965年にStrouthらが中枢神経病変を主体とする症例を「neoplastic angioendotheliosis」と名づけ,わが国では萬年ら7)がその第1例目を1979年に報告している。本症は,neoplastic angioendotheliomatosis, angioendotheliomatosis, malignant angioendotheliomatosis, cerebral angioendothelio-matosis, malignant angioendotheliosisなどと呼ばれていたが,intravascular malignant lymphomatosisと総称されるようになった8)

 その後,本症にみられる腫瘍細胞の大部分がリンパ球のB細胞に対する抗体でのみ染色される症例であることが判明するに及び,この病態は2001年のWHO分類では,intravascular B-cell lymphoma2,3),2008年のWHO新分類では,intravascular large B-cell lymphoma(IVLBL)としてそれぞれ成熟B細胞悪性リンパ腫の中の独立した1疾患単位として分類されている5)。従来報告されてきた血管内悪性リンパ腫症では,皮膚病変と神経症状などが臨床的特徴であったが3),近年,わが国では血液内科・血液病理の分野から「血球貪食症候群」(hemophagocytic syndrome)を主徴とする特異なIVLBL例が報告されるようになり,従来型(古典型,西欧型)に対してアジア変異型(an Asian variant)と呼ばれている3,5,9,10)。しかし,血管内腫瘍細胞は稀にT-cell type11)・NK-cell type4)であることもあるので,ここではこれらの疾患を一括して上述したintravascular malignant lymphomatosis(血管内悪性リンパ腫:IML)と呼んで話を進めることとする。

 IMLは稀な疾患であり,臨床診断が困難であるため,1995年のレビュー8)では生前診断は30%と述べられている。しかし,最近の総説10)では,IMLは悪性リンパ腫の約3%を占めるそれほど稀な疾患ではないのではないかという推測もなされており,生前診断法の進歩(後述,詳細は本特集の別稿を参照)5,9,12-14)によって生前診断率は以前より高まりつつあると推測しているが,末期に診断がつく例,剖検で診断される例は現在でも稀ではない。

 IMLの治療としては,IMLの標準治療である全身的化学療法のCHOP療法[シクロホスファミド+ヒドロキシダウノルビシン(アドリアマイシン)+オンコビン(ビンクリスチン)+プレドニゾロン]に加え,最近,抗CD20ヒト化型モノクローナル抗体(リツキシマブ)併用療法が行われるようになってからIMLの予後は画期的に改善されてきている5,9,10,15)。IMLの早期診断は現在でも困難であるが,本症の予後を改善させるために早期診断・早期加療が重要であることはいうまでもない。本疾患は神経系症状で発症することも多く,治療し得る疾患としてIMLを見逃さないように,本稿ではその神経学的障害を中心に概説する。

血管内リンパ腫の診断―ランダム皮膚生検の有用性

著者: 滑川道人 ,   中野今治

ページ範囲:P.451 - P.458

はじめに

 血管内リンパ腫(intravascular lymphoma:IVL)の生前診断は難しい1)。日常診療に深く携わる神経内科医であればあるほど,それは十分に理解できるであろう。かつては剖検で診断される例がほとんどであったが,近年では疾患自体の認識が高まったこともあり,生前診断される例が増加してきた。また早期に診断できた場合,新たな分子標的薬リツキシマブ(rituximab)の登場によって,治療成績,予後ともに著しい改善が見込まれるようになった2)。そのためにも生前診断の重要性がさらに増してきている。

 本稿では,IVLにおける診断の過程についてまとめ,また最近話題となっている,ランダム皮膚生検の有用性についても,筆者らの経験3)を踏まえながら述べる。

血管内リンパ腫の病理

著者: 橋詰良夫

ページ範囲:P.459 - P.466

はじめに

 悪性リンパ腫による中枢神経系への障害は,脳原発の悪性リンパ腫,gliomatosis cerebriに類似した広がりを示すlymphomatosis cerebri,リンパ節や他臓器原発の悪性リンパ腫からの中枢神経系への浸潤(リンパ腫性髄膜炎),末梢神経系を選択的に浸潤するneurolymphomatosis,リンパ腫の転移性硬膜外腫瘍による圧迫性脊髄障害など多彩であるが,最近では血管内リンパ腫(intravascular lymphoma:IVL)による中枢神経系障害が注目されてきている1)

 IVLは組織学的に小血管内腔における腫瘍細胞増殖と,それによる中枢神経系の多発性梗塞を特徴とするが,本邦では萬年ら2)によって最初に報告された。腫瘍細胞の起源はリンパ球であることが指摘され,主として中枢神経をおかす特殊なタイプの悪性リンパ腫と考えられ,WHO分類ではintravascular large B-cell lymphomaと呼称されている3)。IVLによる神経症状は,大脳半球の多発性壊死による症状が主であるが,Bots4)がIVLによるミエロパチーについて最初の報告をして以来,本症における脊髄障害についての多くの報告がある。

 本稿ではIVLの病理所見を概説するとともに,リンパ腫によるさまざまな神経障害の病理像を,特にIVLとの相違点を主体に述べる。

血管内大細胞型B細胞リンパ腫の中枢神経病変に対する治療戦略

著者: 島田和之

ページ範囲:P.467 - P.472

はじめに

 血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma:IVLBCL)は血管内に選択的に腫瘍細胞が増殖する稀な悪性リンパ腫の一型である。2008年秋に改訂されたWHO分類(第4版)において独立した疾患概念となったこの特異な病型は1),近年の診断技術の向上と疾患概念の普及に伴って生前診断率が向上しつつあり,治療においても多くのB細胞リンパ腫と同様に,抗CD20モノクローナル抗体医薬であるリツキシマブの登場によって治療成績が向上していることが示されている。病型の特徴として初発時および再発時において中枢神経病変をきたしやすいことが知られており,特に中枢神経進展・再発は,治療成績が向上しつつある現在においても大きな課題であると考えられている。本稿においては,IVLBCLにおける治療成績および中枢神経病変について概説し,同病変に対する治療戦略について論じてみたい。

総説

帯状回―皮質構造と線維結合

著者: 小林靖

ページ範囲:P.473 - P.482

はじめに

 帯状回の名称はBurdach(1822)にさかのぼる1)。この脳梁を前後と上方とから取り囲む脳回を,彼はドイツ語でZwinge(ガードルの意)と命名した。脳梁を締め付けているという語感であろう。そのラテン語訳であるcingulumが帯状束,gyrus cinguliが帯状回の解剖学用語として定着した。

 帯状回は,Broca(1878)の定義した辺縁大葉(grand lobe limbique)の重要な構成要素をなす。Brocaは嗅覚の発達した哺乳類で辺縁大葉が発達していることから,帯状回も含めたこの部分の皮質が嗅覚に関係すると考えた(Fig.1)2)。その後半世紀以上を経て,Papez(1937)3)は当時の知見を総合して,海馬→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬というループ状の伝導路が情動情報の処理を担うと考えた(Fig.2)。彼は体性感覚野や視覚野が感覚を受容する皮質であるのと同様に,帯状回を情動の受容器官と考えた。その後このループ状の伝導路はPapez回路として知られるようになった。

 しかしながら,現在では情動に関連するのは帯状回の最前部であり,そのほかの部分は痛覚の認知や反応の選択,空間情報処理,あるいは長期記憶の形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている。本稿では帯状回の構造と線維結合について,主にヒトを含めた霊長類での所見を取り上げる。

脳卒中と喫煙

著者: 橋本洋一郎

ページ範囲:P.483 - P.490

はじめに

 喫煙は,悪性腫瘍,呼吸器疾患や循環器疾患の発症と関連することはよく知られている。一方,脳神経領域では,喫煙によってAlzheimer病やParkinson病の発症には抑制的に働くといわれていた。またわが国では欧米のように喫煙が脳卒中発症と関連するというデータがなかった。現在,喫煙はAlzheimer病の発症を促進し,またわが国でも脳卒中の発症に大きく関わっていることが示されている。

 喫煙は,(1)能動喫煙も受動喫煙も脳卒中の危険因子となり,用量に依存して増加する,(2)脳梗塞(約2倍)とくも膜下出血(約3倍)では明らかな危険因子となっているが,脳出血に関してはまだ危険因子としては確立されていない,(3)脳卒中に関して喫煙は中年層で最大の相対危険度を示し,高齢者では危険度は低下する,(4)女性喫煙者,特に経口避妊薬使用や前兆のある片頭痛などの危険因子を持つ場合はその毒性は高くなる1)。本稿では喫煙と脳卒中の関連,さらに脳卒中患者の禁煙支援について述べる。

原著

日本版ALSFRS-Rを用いた電話調査によるALS患者の評価―広域的前向き縦断調査への応用

著者: 熱田直樹 ,   渡辺宏久 ,   伊藤瑞規 ,   中村亮一 ,   千田譲 ,   加藤重典 ,   祖父江元

ページ範囲:P.491 - P.496

Ⅰ.背景・目的

 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は成人発症の神経変性疾患であり,進行性の上位および下位運動ニューロン変性をきたす。その結果,全身の筋萎縮,筋力低下をきたし,呼吸筋麻痺による呼吸不全などによって発症後平均3~4年程度で死亡もしくは人工呼吸器装着が必要となる神経難病である。

 ALSに対する根治的な治療法はいまだ存在しないが,唯一リルゾールは有効性が示されている。また,嚥下障害に対して経管栄養による栄養確保,呼吸障害に対して非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure:NPPV)の活用など適切な栄養,呼吸補助を行うことでquality of life(QOL)の確保,生存期間の延長が可能な場合がある。またALSの診療においては,胃瘻造設,気管切開や人工呼吸器装着など侵襲的処置を行うか否か,行う場合にどのタイミングで実施するかが経過に大きな影響を及ぼす。

症例報告

数の音韻,アラビア数字形式間で両方向性の変換障害を呈した左頭頂後頭葉出血の1例

著者: 平山和美 ,   遠藤佳子 ,   岡田和枝 ,   山鳥重 ,   森悦朗

ページ範囲:P.497 - P.502

はじめに

 数の体系は(1)算術的事実,(2)計算手続き,(3)規則1)によって構成されている。また,言語との間で(4)記号形式の変換2)が必要となる。(1)算術的事実には加減算の表(例4+3=7,3-2=1)などが含まれる。(2)計算手続きには繰り上がりや繰り下がりの手順などが含まれる。算術的事実と計算手続きを合わせて演算という。(3)規則には数の大小,交換則,分配則などが含まれる。(4)記号形式変換には,例えば“682”を「ろっぴゃくはちじゅうに」と読むなど言語と数の関係づけ,すなわち数の読み書きが含まれる。

 近年これら4つの要素が脳損傷によって別々に障害されることが明らかになってきた。しかし,比較的独立して記号形式変換の障害が生じた症例の検討は少ない3-9)。われわれは,左頭頂後頭葉出血後に,数の音韻とアラビア数字表記間で両方向性の記号形式変換障害を呈した1例を経験したので報告する。

悪性症候群との鑑別にジアゼパム投与が有効であった悪性緊張病の1例

著者: 三嶋崇靖 ,   坪井義夫 ,   樋口正晃 ,   津川潤 ,   尾畑十善 ,   山田達夫

ページ範囲:P.503 - P.507

はじめに

 緊張病は統合失調症や気分障害などの精神疾患のみならず,身体疾患でも出現し,無言,無動,拒絶症,姿勢保持,常同症,反響現象などを特徴とする1,2)。さらに悪性緊張病と呼ばれる状態は,急性に発症する緊張病症状に加え高熱,自律神経障害,筋強剛を伴い,腎不全,心血管塞栓などが原因で時に死に至ることもある重篤な病態であることが知られている。

 また,悪性緊張病は臨床症状が悪性症候群と類似しており,鑑別が困難な場合がある。今回,遷延性の経過を呈し,悪性症候群との鑑別に難渋し,ジアゼパムが著効したことから悪性緊張病と診断した症例を経験したので報告する。

Neurological CPC

突然の左片麻痺,頭痛,便失禁で発症し,右中大脳動脈領域に広範なearly CT sign,右内頸から中大脳動脈に高度の狭窄を認めた62歳男性例

著者: 松村謙 ,   金澤俊郎 ,   内原俊記 ,   藤ヶ崎純子 ,   横地正之 ,   河村満 ,   後藤淳 ,   織茂智之 ,   福田隆浩 ,   鈴木正彦

ページ範囲:P.509 - P.517

症例呈示

司会 (藤ヶ崎) それでは,臨床のプレゼンテーションからお願いします。

主治医 (松村) 症例は死亡時62歳の男性です。主訴は左片麻痺と右頭痛です。既往歴は,40歳頃に不整脈を指摘されたそうですが,詳細は本人もわからないとのことでした。

 生活歴ですが,日本酒を1日5合,30歳頃から禁煙されていて,それ以前の喫煙量は明らかではありません。アレルギーはなく,職業は,ときどき設備業をされていて,家族歴に特記すべきものはありません。

追悼

佐野圭司先生を偲ぶ フリーアクセス

著者: 田村晃

ページ範囲:P.518 - P.520

 東京大学脳神経外科名誉教授 佐野圭司先生におかれましては,2011年1月6日に肺炎のためご逝去(享年90歳)されました。ここに先生の御遺徳を偲び,謹んで哀悼の意を表します。

 先生は日本の脳神経外科のパイオニアとして脳神経外科の発展に尽くされたのみならず,脳・神経領域の基礎・臨床において多大の貢献をされ,本邦のみならず国際的にも高い評価を受けておられました。また,本誌の前身である『脳と神経』には1948年の発刊当初から関わっておられました。

学会印象記

第40回北米神経科学学会(2010年11月13~17日)

著者: 筧慎治

ページ範囲:P.521 - P.521

 何もかも桁外れに大きい。端から端まで歩いて数分かかる巨大なポスター会場(写真),溢れかえる研究者,数百を数える企業の展示ブース,近くのレストランは長蛇の列。アメリカのSociety for Neuroscienceの年次総会である。今年は西海岸の軍港の町サンディエゴで開催された。

 この巨大な学会は,ここ数年は3万人以上の参加者を集め,いまだに記録を更新し続けているらしい。筆者が頻繁に参加するようになったのは90年代半ばからであるが,当時の参加者は2万人台と記憶する。個人的印象であるが,その増えた分は主に海外からの参加者と思われる。90年代の増加はヨーロッパと日本からの参加者が担った。当時はヨーロッパの若手研究者がポスドクポジションを捜すためにヨーロッパの神経科学会をパスしてここに来るという話をよく聞いた。そのうち7~8年ほど前から韓国の若い研究者(留学生ではない)の集団をちらほら見かけるようになったが,この2~3年は中国本土からの参加者が激増している。中国人の研究者は90年代から相当数参加していたが,大部分は留学生としての現地参加であった。もうお気づきであろう,要するに参加者は経済を映す鏡なのである。世界史的な変化がここにも現れている。

連載 神経学を作った100冊(53)

デュボワ-レイモン『動物電気に関する研究』(1848-1849)

著者: 作田学

ページ範囲:P.522 - P.523

 デュボワ-レイモン(Emil Heinrich du Bois-Reymond;1818-1896)は1818年11月7日にベルリンに生まれた。ボン,ベルリンで精神科学,自然科学,数学を学んだ後,ミュラー(Johannes Peter Müller;1801-1858)の解剖学・生理学教室に入り,私講師,助教授を経て1958年にミュラーが亡くなると,その跡を継いでベルリン大学の生理学教授となり,一生をベルリンで終えた(Fig.1)1)

 彼の主著は,この『動物電気に関する研究』2)と,『筋・神経物理学論集』3)(1875~1877年)(Fig.2)である。さらに『動物電気に関する研究』の第2巻第2部が1884年に刊行された。

お知らせ

公益財団法人 かなえ医薬振興財団 平成23年度アジア・オセアニア交流研究助成金募集要項 フリーアクセス

ページ範囲:P.449 - P.449

趣  旨 近年の生命科学分野において,研究者間の交流,ネットワーク,および共同研究が急速な発展に寄与しており,これらの交流は革新的な発見から臨床応用まで少なからぬ貢献ができると考え,今年度より新たなアジア・オセアニア地域における共同研究に対する助成を開始します。

助成研究テーマ 生命科学分野におけるアジア・オセアニア諸国との交流による学際的研究,特に老年医学,再生医学,感染症,疫学,医療機器,漢方,その他。

第13回転倒予防指導者養成講座 フリーアクセス

ページ範囲:P.450 - P.450

日 時 2011年5月21日(土),22日(日)

場 所 医療法人社団寿量会 熊本機能病院 市民ホール〔〒860-8518 熊本市山室6丁目8番1号〕ほか

第24回日本マイクロニューログラフィ学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.507 - P.507

日 時 2011年6月18日(土)

場 所 横浜市立大学附属市民総合医療センター

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次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.508 - P.508

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.524 - P.525

あとがき フリーアクセス

著者: 岩田誠

ページ範囲:P.526 - P.526

 3月11日に東北・関東を襲った大地震と津波は,未曾有の大惨事を惹き起こすこととなってしまった。津波の恐ろしさは想像を絶するものであり,テレビに映る,まるで65年前の大空襲の後の東京のような,跡形もなく破壊された海沿いの町々の様子は,まったく信じられない光景であった。その後,津波が押し寄せてきて町を飲み込んでいく様が,テレビでも繰り返し報道されるにつれ,津波というものの姿がみえてきて,その破壊力の恐ろしさが理解できるようになった。津波以外の何が,これほど広い範囲の町を一瞬にして破壊しつくし,これほどまで多くの人命を奪っていくことができるであろうか。犠牲者の数が日に日に増えていく中,どのような言葉でその突然中断された命に哀悼の念を捧げればよいのか,どのようにすれば残された方々と悲しみを分かち合うことができるのか,胸が張り裂けるような思いを禁じ得ぬまま,犠牲者の方々のご冥福を祈り続けている毎日である。

 それにも増して悲しいのは,原子力発電所の危機的事故によって,地震や津波の災害に追い討ちをかけられて避難された方々の存在である。原子力の平和利用という旗の下,原子の火を制御できる力を得たと信じていた人類も,自然の破壊力の前にはまったく手も足も出ないことを,これほどまで思い知らせてくれることはない。連日連夜放映されていく福島原発事故のニュースに,日本中の人々は,限りない不安といいようのない憤りを抱き続けている。

基本情報

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1344-8129

印刷版ISSN 1881-6096

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