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雑誌目次

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩64巻12号

2012年12月発行

雑誌目次

特集 The Border-Land of Dementia

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ページ範囲:P.1363 - P.1363

特集の意図

 認知症,あるいは認知障害を併発する疾患は意外に多い。当然,それらの鑑別は難しく,臨床上常に問題となるのは,このようなどちらともつかない「境界」で生じる症状である。本特集では,認知症との関係がいま話題となっている5つのトピックスについてレビューした。なお,特集タイトルはウィリアム・ガワーズによる『The Border-Land of Epilepsy』から,敬意をこめて拝借した。

パーキンソン病における軽度認知障害

著者: 和田健二 ,   中島健二

ページ範囲:P.1365 - P.1375

はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は静止時振戦,筋強剛,無動症,姿勢反射障害を四徴候とする神経変性疾患で,わが国の有病率は人口10万人あたり150人程度と報告されており,人口の高齢化,治療法やケアの発達により罹病期間が延びたことなどの複数の要因により有病率は増加傾向にある1)。また,近年の臨床病理学的研究では黒質-線条体系のみならず多系統にわたる神経変性が明らかになった。それに対応した非運動症状が注目されるようになり,“Parkinson's complex”という概念で捉える考え方も出きてきた2)。非運動症状の1つである認知機能低下や認知症は,PD進行期において本人ならびに家族介護者の生活の質(quality of life:QOL)を低下させるとともに,死亡率の増加や施設入所につながる重要な問題である3-5)

 一方,認知症をより早期に捉え,予防介入・先制医療の対象とする考え方が高まるにつれて認知症の前段階が注目されるようになった。認知機能低下を生理的老化ではなく病的な変化として捉える軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)は,一定の確率で認知症に進展することがわかり,その概念が広まった。PDにおいても,認知症が注目されるに従い前駆段階としてのMCIも着目されつつある。本稿においてPDにおけるMCI(PD-MCI)について概説する。

血管性認知障害―高血圧性脳小血管病とアミロイド血管症をめぐって

著者: 冨本秀和

ページ範囲:P.1377 - P.1386

はじめに

 近年,アルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)と血管性認知症(vascular dementia:VaD)の合併が高率であることが指摘されている。両疾患の合併は「混合型認知症」と呼称されるが,その用法には2通りがある。狭義にはアルツハイマー病と血管性認知症の合併を指すが,広義には認知症をきたす複数の病態が併存する状態を意味する。一般的には,両疾患を合わせて認知症の原因の8割に達すること,両疾患の合併が偶然の期待値よりも高いことからアルツハイマー病と血管性認知症の合併したものを指すことが多い。

 認知症をきたす基礎病態は高齢になるほど増加し,100歳長寿者の剖検脳では,アルツハイマー病理(老人斑,神経原線維変化),脳血管病変,レヴィ小体,TDP43陽性構造,嗜銀顆粒などの病理変化がしばしば混在する。加齢とこれら脳病理変化の関連を調べたJellingerら1)の報告では,アルツハイマー病理は加齢とともに急速に増加するが,血管性認知症の増加は緩やかでありむしろ混合型認知症が増加するという。

 表題の血管性認知障害(vascular cognitive impairment:VCI)は,Hachinskiら2)が血管性認知症とアルツハイマー病を峻別することが実際上困難である点に鑑みて提唱した。純粋な血管性認知症を中心として,混合型認知症,脳卒中後認知症,脳血管病変による認知機能障害はあるが認知症には至っていない状態(血管性軽度認知障害vascular mild cognitive impairment:v-MCI)を包含する概念として理解される。ただし,VCIはVCI-ND(no dementia),すなわち血管性軽度認知障害と同義として用いられる場合がある点に注意が必要である。

抑うつと認知症

著者: 野崎昭子 ,   吉村公雄 ,   三村將

ページ範囲:P.1387 - P.1397

はじめに

 うつ病はcommon disease,よくある疾患の1つであり,米国の調査では成人の約5人に1人は大うつ病エピソードを経験するとされ1),大うつ病性障害を中心とする気分障害の生涯有病率は20.8%と報告されている2)。認知症もまたよくある疾患であり,13の疫学研究をメタ解析した論文では,65歳を超えるとアルツハイマー型認知症のリスクは約4.2年ごとに2倍になり3),90歳を超えると認知症全体の有病率は男性で28%[95%信頼区間(CI):21.7~34.2%],女性で45%(95%CI:41.5~49.0%)になると報告されている4)。臨床上,抑うつが認知症の初期症状である例や,抑うつの訴えより認知機能の低下のほうが目立つ高齢者のうつ病はよく経験され,両者の鑑別が問題にされてきた。従来うつ病による認知機能の低下は「仮性認知症(pseudodementia)」として認知症とは区別されてきたが,両者の関連を報告した疫学データの蓄積により,最近ではうつ病と認知症との緊密な関連についての関心が高まっている。本稿では,過去に行われた臨床研究を中心に概説する。

 なお,本稿では抑うつ(depression)とうつ病(depressive disorder)とを区別して用い,原則として引用文献の記載に従うが,明確でないときは抑うつと記載することとする。抑うつとうつ病は必ずしも一致せず,抑うつのほうがより広い概念であるが,狭義のうつ病の既往を正確に診断するのは難しく,著者らは抑うつと記載しているものの,おおむねうつ病を意図しているものと思われる。うつ病をはじめとする気分障害には単極性の場合(うつ病)と双極性障害(躁うつ病)の場合があり,うつ病といえば通常は単極性のうつ病を指すが,研究によっては抑うつに気分変調性障害や双極性障害によるうつ病エピソードが含まれている。また,認知症にはアルツハイマー型認知症,血管性認知症をはじめとするいくつかの病型があるが,病型を問わず認知症(dementia)を対象としている場合は認知症と記載し,アルツハイマー型認知症ないしアルツハイマー病を対象としている場合はAD(Alzheimer disease,dementia of Alzheimer type),血管性認知症を対象としている場合にはVD(vascular dementia)と記載する。

てんかんと認知症

著者: 杉本あずさ ,   二村明徳 ,   河村満

ページ範囲:P.1399 - P.1404

Ⅰ.てんかん性高次脳機能障害

 てんかんの症状として,高次脳機能障害が生じることが知られている。症状が持続性のものと一過性の発作で終わるものに2分されるが,両者をてんかん性高次脳機能障害(epilepsy with higher brain dysfunction:E-HBD)としてまとめることができる(Fig.1)。

 持続性の高次脳機能障害を示すE-HBDのうち,非痙攣性てんかん重積(non-convulsive status epilepticus:NCSE)は,その名のとおりに明らかな痙攣を示さずにてんかん重積が起こっている状態である。NCSEの臨床型としてはさまざまな症候があるが,意識障害や凝視・反復性の瞬目/咀嚼/嚥下運動・自動症が一般的である。また,後述のように健忘1)や失語2)も,NCSEの症候として生じることが知られてきた。側頭葉てんかんに分類される焦点発作の重積によるNCSEでは,側頭葉の持つ機能である記憶や言語に障害が生じ,認知症に類似する臨床像を示す場合もある3)

薬剤による認知機能障害

著者: 篠原もえ子 ,   山田正仁

ページ範囲:P.1405 - P.1410

はじめに

 多数の薬剤が認知機能障害の原因となる。特に高齢者では,肝機能,腎機能が低下していることが多く,薬剤性の認知症やせん妄などの認知機能障害をきたしやすい。また,認知症,脳卒中およびパーキンソン病などの神経疾患は薬剤誘発性の認知機能障害の閾値を下げる。本稿では薬剤による認知機能障害について概説する。

総説

糖尿病と脳画像研究―アルツハイマー病発症機序との関連を考える

著者: 平野成樹 ,   島田斉 ,   吉山容正

ページ範囲:P.1411 - P.1419

はじめに

 アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は記憶障害を中核症状とする神経変性疾患である。その病態としてはアミロイドβ蛋白の蓄積を起点とし,異常リン酸化タウ蛋白の蓄積,シナプス障害,神経変性に至る一連の連続的な病態の連鎖と想定され,アミロイドカスケードと呼ばれ広く受け入れられている。病理学的には細胞外の老人斑(アミロイドβ蛋白)と,神経細胞内の神経原線維変化(異常リン酸化タウ蛋白)が特徴であり,主に海馬周囲などに進行性の脳萎縮をきたす。AD発症の危険因子の中でも特に大きい要因として,加齢とアポリポ蛋白E(ApoE)の遺伝子型の1つε4が同定されている。

 糖尿病は従来,脳血管性認知症の発症要因になることは報告されてきたが,近年ADの発症とも関連するという知見が蓄積されてきている。食生活や運動習慣などの社会生活環境の変化に加えて,人口構造の高齢化という先進国に共通した社会的問題もあり,糖尿病とADの罹患者数は,負の相乗効果をもって増加の一途をたどっている。糖尿病患者では,血糖値ばかりでなく,インスリン濃度にも異常をきたし,加えて治療や動脈硬化,代謝異常などさまざまな因子が脳に影響し得る。1型糖尿病患者では,学習や記憶は保たれているが,思考速度や柔軟性が軽度低下しており1),高血糖下においては,思考速度の低下をきたす2)。これまでの知見から,糖尿病が認知機能低下を促進する病態として①低血糖性昏睡,②慢性的な高血糖とそれに伴う酸化的ストレス,③脳血管障害,④インスリンの脳への直接的な影響などが挙げられている。

 このように糖尿病患者においては,さまざまな要因が互いに交絡しながら脳の機能低下をきたし得るが,「糖尿病がADの発症要因となるか」という問いに答えるには,疫学,基礎研究,神経心理学,神経放射線学,神経病理学などの集学的な検討が必要である。本稿では主に疫学研究と画像研究の知見を軸として,糖尿病が脳に与える影響やAD発症における背景病態との連関について概説する。

多発性硬化症の新規治療薬―フィンゴリモドと有望治療薬に焦点をあてて

著者: 新野正明

ページ範囲:P.1421 - P.1426

はじめに

 近年,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の治療薬の開発はめざましいものがある。特に再発予防薬であるdisease modifying drug(DMD)の分野では,第Ⅱ相,第Ⅲ相臨床試験の結果が毎年のように一流誌に掲載されている。そのいくつかは,欧米において市販の申請がなされ,使用が可能になっている。一方,日本では,2011年秋まで,DMDとして保険適用されていたのは2種類のインターフェロン(interferon:IFN)製剤だけであったが,昨年,ようやく3種類目のDMDであるフィンゴリモド(fingolimodもしくはFTY720)が市販された。少しずつではあるが,日本でもDMDの分野を中心に治療の選択肢が広がってきている。

 欧米では2012年はMSの治療薬にとって画期的な年になるといわれており,数種類の再発予防薬が認可を目的に申請,もしくは申請が計画されている。今後,そのうちのいくつかは,日本においても臨床試験が行われる可能性があり,今後DMDを中心に,治療法が劇的に変わる可能性がある。このようにMSの治療の選択肢がますます増えてくることが予想されることから,本稿では,DMDをはじめとする最近のMS治療薬と,近い将来使用できる可能性のある薬剤を中心に解説していきたい。

症例報告

頭部外傷により下肢純粋運動性単麻痺をきたした1例

著者: 安藤和弘 ,   丸屋淳 ,   金丸優 ,   西巻啓一 ,   皆河崇志

ページ範囲:P.1427 - P.1430

はじめに

 純粋運動性単麻痺(pure motor monoparesis:PMM)は,その原因疾患としてラクナ梗塞,出血,腫瘍などの報告はあるが1),外傷が契機となって発症したという報告は非常に稀である1-4)。今回,筆者らは頭部外傷により下肢のPMMをきたした症例を経験したので,過去の報告例を踏まえ若干の文献的考察を加え報告する。

神経画像アトラス

大脳のびまん性血流低下を示した小脳性無言症の1例

著者: 山崎文之 ,   渡邊陽祐 ,   高安武志 ,   野坂亮 ,   梶原佳則 ,   花谷亮典 ,   富永篤 ,   杉山一彦 ,   栗栖薫

ページ範囲:P.1431 - P.1433

 小脳性無言症(cerebellar mutism:CM)は,①意識障害がない,②発語はないがそれ以外の方法により意思の疎通が可能である,③下位脳神経障害を伴わない,④感覚性失語を伴わない,などを特徴とし,第四脳室や小脳腫瘍の術後に生じることがある。発生機序は不明で,その血流病態を経時的に観察した報告は極めて少ない。筆者らはCM時に大脳がびまん性血流低下を呈した症例を経験したので報告する。

Neurological CPC

薬剤性パーキンソン症状との鑑別が問題となった軽度認知障害の87歳男性

著者: 神谷久雄 ,   村山繁雄 ,   舟邉さやか ,   齊藤祐子 ,   福田隆浩 ,   横地正之 ,   河村満 ,   後藤淳 ,   織茂智之 ,   藤ヶ﨑純子 ,   鈴木正彦 ,   星野晴彦

ページ範囲:P.1435 - P.1442

症例提示

司会(福田) 臨床経過からお願いいたします。

臨床医(神谷) 症例は87歳の男性です。

 現病歴ですが,2008年3~4月の花見時期頃から歩行が遅くなり,電車やバスなど公共の乗り物に乗らなくなりました。それでも,気候のよいときは1日3,000~4,000歩程度,近所を散歩していました。杖歩行でしたが転倒はしていません。

ポートレイト

チャールズ・ミラー・フィッシャー―偉大な「1人の医師」

著者: 福武敏夫

ページ範囲:P.1443 - P.1448

はじめに

 神経学の巨星であり,脳卒中学の創始者であるチャールズ・ミラー・フィッシャー(Charles Miller Fisher;1913-2012)先生(Fig.1)は2012年4月14日,98歳で亡くなられました(以下では単にフィッシャーとし,敬称は省略します)。ハーバード医学校の名誉教授であるフィッシャーは50年以上にわたってマサチューセッツ総合病院に勤務し,公式的には1981年に引退しましたが,80歳代に論文を著し,90歳代になっても若いレジデントと回診していたそうです2)。私は直接に拝顔したことはありませんが,臨床神経学の学徒として,節目節目で大事なことを教わってきました。本稿では,筆者がフィッシャーの思索に触れた5回の「出会い」を,時代を遡りながら記述することにより,フィッシャーの偉大さに迫りたいと思います。

学会印象記

The 8th International Conference on Frontotemporal Dementias (FTD2012)(2012年9月5~7日,マンチェスター)

著者: 緑川晶

ページ範囲:P.1450 - P.1451

 イギリスのマンチェスターといえば,最近では,サッカー日本代表の香川真司選手が移籍したことで話題となったマンチェスター・ユナイテッドの本拠地として知られ,サッカー好きにとっては堪らない場所のようだが,多くの人にとっては,イギリス産業革命の中心的な都市としてのほうが馴染みがあるかもしれない。いまとなっては,当時の面影は煉瓦造りの建物(写真1)や博物館に展示された蒸気機関などから想像するしかなく,工業都市というよりは,学園都市の風情である。マンチェスター大学は中心市街地にほど近い位置にあり,前頭側頭葉変性症(FTLD)の臨床診断基準を提唱したメンバーの1人であるDavid Neary教授やJulie Snowden教授,また神経病理学者であるDavid Mann教授らが所属する大学として知られ,前頭側頭型認知症(FTD)研究のメッカの1つであり,今回の会議のホストを務めている。

 会議が開催された場所は,マンチェスター・セントラルという国際会議場の一角で,口頭発表はすべて同一の小ホールで行われ,ポスター発表も3日間を通じて貼り出され(写真2),それぞれの時間が重なることもなく,落ち着いて参加することができた。会議のプログラムは“Building Bridges Between Research, Treatment and Care”と題されたことからもわかるように,FTDに関して,診断から治療,マネージメントまで多岐にわたるものであったが,実質的には遺伝子研究が中心的なトピックであった。

連載 神経学を作った100冊(72)

バビンスキー『科学業績集』(1913)

著者: 作田学

ページ範囲:P.1452 - P.1452

 バビンスキー(Joseph Francois Félix Babinski;1857-1932)は,ポーランドからフランスに亡命した両親のもと,パリで1857年11月2日に生まれた。父はポーランドの革命家であったが,のちにパーキンソン病に罹患し,1899年に死亡した。バビンスキーは,1885年にポーランド名のJosefからフランス風のJosephに改名している。バビンスキーの読み方だが,本来Babińskiであったし,彼もそうサインしている。フランス風のババンスキーよりも彼の愛する祖国ポーランド風のバビニスキー(バビニュスキー)の読み方を好んだと思われるのである2)

 バビンスキーはポーランド人学校を卒業し,医学部へ入り,1879年パリ病院のアンテルヌとなった。アンテルヌを終えたバビンスキーはパリ大学医学部病理解剖学のヴュルピアン(Edmé Félix Alfred Vulpian;1826-1887)教授の指導のもと,1885年に『多発性硬化症の解剖臨床的研究』と題する151頁の学位論文を提出した(Fig.1)3)。この後サルペトリエール病院のシャルコーのもとで,外来医長に就任する。彼は1890年に5回目の試験でパリ病院医師の資格を得たが,1892年の教授資格試験には失敗した。このときの出来事はその年の『British Medical Journal』誌でも酷評されたが,結局彼はその後大学に職を得ることなく,生涯をピティエ病院の内科部長として過ごすことになる2)。その頃の彼の診察ぶりはいろいろなところで書かれているが,フランスの伝統に則り,患者は完全に服を脱ぎ,バビンスキーは一言も話さずにその患者と向き合い,数時間の診察を続けることもあったという。

お知らせ

第11回世界生物学的精神医学会国際会議(WFSBP2013KYOTO CONGRESS) フリーアクセス

ページ範囲:P.1410 - P.1410

会 期:2013年6月23日(日)~27日(木)

会 場:国立京都国際会館

第22回日本脳ドック学会総会 フリーアクセス

ページ範囲:P.1410 - P.1410

会 期:2013年6月21日(金)~22日(土)

会 場:江陽グランドホテル〔宮城県仙台市青葉区本町2-3-1 Tel:022-267-5111〕

書評

「ボツリヌス療法アトラス」―Wolfgang Jost●著 梶 龍兒●監訳 フリーアクセス

著者: 有村公良

ページ範囲:P.1434 - P.1434

 日本のボツリヌス治療の草分けであり,第一人者である徳島大学臨床神経科学分野教授の梶龍兒先生の監訳による『ボツリヌス療法アトラス』が発刊された。ボツリヌス療法の実地臨床に役立つ待望の書の登場である。

 これまで数多くのボツリヌス療法の解説書が出版されたが,その内容は対象疾患の解説,ボツリヌストキシンの作用機序・投与法・効果,および予後まで幅広くボツリヌス療法に対する基礎知識を述べたものが中心であった。本書の特徴は『ボツリヌス療法アトラス』というその名の通り,ボツリヌス療法を行う実地の場で,手元に置きながら利用できる,まさに実用的な教科書である。

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次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.1451 - P.1451

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.1454 - P.1455

あとがき フリーアクセス

著者: 河村満

ページ範囲:P.1456 - P.1456

 2012年最後の号のあとがきを,本年のご報告とともに書きたいと思います。

 今年はレヴィ小体発見100年,ウィルソン病発見100年でもあり,2回の鼎談を企画し,掲載いたしました。それぞれまず資料を収集することから始め,お話しいただける先生方にお送りしました。お送りした資料は膨大で,独語論文などもありましたが,どの先生もそれらを丁寧にきちんとチェックしてきてくださり,会話は充実したものになりました。鼎談が終了したときが,編集側の重労働の開始でした。会話を文章にすることに加え,読者にさらに興味を持ってもらえるよう大量の脚注をつけましたが,これが思った以上に大変な作業でした。注をつけるべき項目の選択,注釈の正確性を確保しながら魅力的な脚注内容を作成するのには大変な時間を要しましたが,当教室K君が積極的に,この作業の中心的役割を担ってくれ,何とか出版の遅れを避けることができました。

KEY WORD INDEX フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

基本情報

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1344-8129

印刷版ISSN 1881-6096

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