文献詳細
連載 神経学を作った100冊(62)
文献概要
ガワーズ(William Richard Gowers; 1845-1915)(Fig.1)1)は,英国ロンドン北郊のハックニーの靴屋の息子として生まれた。11歳のときに父を亡くしたが,地元の学校に15歳まで通った。16歳のときにエセックスで開業していたトーマス・シンプソン医師のもとで2年間の徒弟修行をした。1863年にここを去り,ロンドンのUniversity College Hospitalに医学生として入り,1867年にM.R.C.S.の学位を取った。ガワーズはジェンナー(William Jenner; 1815-1898)の助手兼秘書として,さらに医学の勉強を続け,1870年にM.D.の学位を取り,この年にクイーン・スクエア(National Hospital for the Paralysed and Epileptic)に雇用された。1876年には『Quain's Anatomy』の第8版の中枢神経の部を編集した。1879年に2冊の神経学関係の著作を出版した。眼底鏡図譜と仮性肥大型筋麻痺についての書籍である。1880年には本稿に紹介する脊髄疾患の診断を出版した。1881年にてんかんと他の慢性痙攣性疾患3),1885年に脳疾患の診断講義4),1886年に神経系疾患の手引書第1巻,1888年には第2巻が,そして1907年にてんかんの境界性疾患と治療が刊行された。この間に300を超える論文も書き,すばらしく生産的な一生を送った。1915年5月4日に肺炎で亡くなった。
参考文献
1) Critchley M: Sir William Gowers 1845-1915.A biographical appreciation. William Heinemann, London, 1949
ed, Churchill, London, 1881, pp iii+86
3)Gowers WR: Epilepsy and other chronic convulsive diseases; their causes, symptoms, & treatment. Churchill, London, 1881, pp xiv+309
4)Gowers WR: Lectures on the diagnosis of diseases of the brain. Delivered at University College Hospital. Churchill, London, 1885, pp vii+246
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