顔が発する情報の生物学的意義は多彩である。それらを大別すれば,その人が誰なのか個体を識別するための情報(相貌)と,相手の考えていることを読み取るための情報(表情)の2つである。これらの情報を認知する能力が障害されれば,日常生活が困難なものになることは想像に難くない。本特集では,顔から発せられる情報をどのようにヒトが認知し処理しているのか,さまざまな角度から解説する。
雑誌目次
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩64巻7号
2012年07月発行
雑誌目次
増大特集 顔認知の脳内機構
序―特集の目的
著者: 柿木隆介
ページ範囲:P.715 - P.716
Ⅰ.特集の目的
近年,心理学,脳科学,基礎医学,臨床医学,工学,情報学などの幅広い分野で,「顔認知機能」の研究が非常に盛んになってきた。顔認知は言語認知と並んで,人間が社会生活を送るうえで最も重要な機能と考えられるようになってきたからである。人間の乳幼小児期においては,母親の顔を他のものと区別することは生存上,最も重要な機能の1つであろう。これは人間のみならず動物が生まれつき持っており,かつ生存するために不可欠の能力と考えられる。成長するにつれて,親だけではなくさまざまな「顔」に関する認知過程の発達と成熟は社会的生存においてきわめて重要となってくる。特に人間にとっては「社会的コミュニケーション」を取る手段としての意義が大きい。顔認知が他の一般的な物の認知と明らかに異なっている点の1つとして,例えば「丸いものが2つあると目に見えてしまう」というように,あるパターンを見るとそこに顔を見出すという特殊な認知過程の存在が考えられる。
実際,顔認知機能の障害は社会生活に歪みをきたすだけでなく,教育現場においてもさまざまな問題を生じている可能性がある。特に自閉症の子どもたちや,引きこもりなどの状況に陥る学童での顔認知機能の障害の可能性が指摘されている。また,ゲームなどに多くの時間を費やし,対人関係にかける時間がだんだん短くなっている現代の子どもたちにおける顔認知機能の発達障害,例えば相手の表情から気持ちをうかがい知る能力の低下,などの可能性も重要な問題となりつつある。
事象関連電位を用いた顔認知機構の解明
著者: 飛松省三
ページ範囲:P.717 - P.726
はじめに
ヒトの脳は階層的,並列的な処理によって網膜の光情報から意味ある視覚世界を再構築している。これによりヒトは,時々刻々と変化する外界の情報を視覚パターンとして認知し,即座に適応的な行動に役立てている。驚くべきことに入力から約200ms程度のわずかな時間で視覚的情報を統合し,その物体がなんであるかを正確に識別している1)。
顔および表情は,社会生活において重要かつ最も見慣れた視覚パターンの1つである。普段目にする他者の顔は,人物特有の顔の特徴に加え部分的特徴変化の複雑な組み合わせからなる。そのため,顔およびその表情の認知は物体認知の中でも高度に特殊化された処理機構を持つと考えられている。
本稿では,主に並列的視覚情報処理の観点から顔や表情認知の基盤となる脳内メカニズムについての知見を,時間分解能に優れる事象関連電位(event-related potential:ERP)を中心として紹介し,顔認知をめぐる最近の研究動向を概観する。顔および表情認知の脳内メカニズムについてはここ数年の総説を参考にしていただきたい2-8)。
脳磁図を用いた顔認知機構の解明
著者: 三木研作 , 柿木隆介
ページ範囲:P.727 - P.735
はじめに
顔を認知することは,人間が日常生活を送るうえで,極めて重要な能力の1つである。顔の持つ情報には,性別,既知性,年齢などもさることながら,その人の感情までも含まれている。顔認知過程の解明に関して,ヒトの非侵襲的脳機能計測法,例えば脳波(EEG),機能的磁気共鳴画像法(fMRI),近赤外線分光法(NIRS)による研究が進められてきた。その中でも脳磁図(MEG)は,顔認知の解明に大変有用であると思われる。脳磁図とは,錐体細胞の樹状突起で生じる興奮性シナプス後電位によって生じる磁場(excitatory post synaptic potential:EPSP)を検出するとされている。また,頭皮上のセンサーで検出するためには,多数の錐体細胞が同期して活動する必要性がある。
脳磁図は,脳波とほぼ同じような脳の電気活動を検出していると考えられるが,活動源の推定においては,脳磁図のほうが有用である。脳波は,電導率の異なる脳脊髄液,頭蓋骨,皮膚を伝わって脳表に接着した電極で脳の電気活動を検出するが,脳で発生した電場は大きな影響を受け,頭皮上に置いた脳波電極から正確な脳の活動部位を知ることは困難である。一方,脳磁図では,透磁率は脳,脳脊髄液,骨,皮膚および空気でほぼ一定のため,発生した磁場はほとんど影響を受けず,より高い精度で活動源が推定できる。また,脳磁図は,血流変化を計測するfMRIやNIRSに比べ,時間分解能に優れている。私たちの研究室ではこの時間分解能,空間分解能に優れた脳磁図を用いて各種感覚の認知過程を解明してきた。また,その一環として顔認知過程の解明に関する研究も行ってきた。
Watanabeらは開眼顔,閉眼顔,目だけ,手,無意味図形の5種類の視覚刺激に対する脳反応を,脳磁図を用いて解析した1,2)。刺激提示後約100~120msecに,まず後頭葉の第1次視覚野に活動がみられた。この活動はどのような視覚刺激に対しても反応するものであった。次に顔あるいは目だけの刺激に対してのみ,刺激提示後約150~170msecで側頭葉下面の紡錘状回の活動がみられた。このような詳細な活動場所とその時間的経過の検討ができることが,脳磁図の最大の長所である。開眼顔と閉眼顔に対する反応の間に有意な差はみられなかったが,目だけの画像に対する反応時間(潜時)は顔全体の画像に対する反応時間よりも延長していた。これは,顔認知の初期には各部分の認知よりも「全体として顔であるかどうか」の認知のほうが重要であることを示唆している2)。
本稿では,筆者らが今まで行ってきた以下の研究を紹介させていただく3-7)。①顔の動きの認知に関連する脳活動,②口の動き認知による音声に対する初期聴覚野の活動への影響,③目の動きを認知するときの輪郭やパーツの影響,④輪郭や内部のパーツが倒立した際の顔認知への影響,⑤表情変化に対する誘発脳波の発達による変化。
顔認知の脳内メカニズム―上側頭溝の機能を中心として
著者: 飯高哲也
ページ範囲:P.737 - P.742
はじめに
本総説では顔認知に関わる脳領域を,機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)による脳賦活検査で調べた研究について述べる。fMRIは脳血流の変化をblood-oxygen-level-dependent(BOLD)コントラストとして計測し画像化する手法で,1990年にOgawaら1)が世界で最初に報告した技術である。この手法を用いた脳賦活検査により,脳機能を非侵襲的かつボクセル単位で計測することが可能になった。また,計測された脳画像を扱う解析ソフトウェアの技術的進歩も目覚ましいものがある。脳賦活検査の基本的手法は,認知的差分法(cognitive subtraction)といわれるものである。これはある精神状態とほかの精神状態でそれぞれ脳画像を取った場合,2枚の差分画像には2つの精神状態の差異が反映されているという理論である。この方法は神経細胞の応答を直接測定しているものではないが,非侵襲性という点において現在の神経科学領域では欠かせない実験方法となっている2)。
顔認知に関わる脳機能は,顔自体に対する反応,表情の認識に関わる反応,顔の動きに対する反応,顔の記憶や有名人顔に対する反応など広範囲にわたっている。最近では顔の印象や信頼できるかどうかなど,顔認知の社会的側面への興味も広がっている。研究対象となる脳領域も後頭葉,側頭葉,前頭葉,辺縁系などにわたっている。したがって,脳全体の活動を比較的自由に計測することができるfMRIは,このような研究目的には最適な手法といえる。本稿では顔に対する脳内の反応を,主に側頭葉外側面に位置する上側頭溝(superior temporal sulcus:STS)の活動として計測した研究について代表的なものを取り上げる。この領域は顔認知の中でも,視線の向きや表情の変化などに関係していることが知られている3)。またfMRIが普及する以前からサルの実験では,顔に対するSTS領域の神経応答が積極的に調べられていた4)。STSの働きを多面的に論じた総説では,この領域が運動知覚,言語処理,心の理論,聴覚視覚統合,顔認知のそれぞれに関係していると述べられている5)。STSを左右半球と前半・後半の4領域に分けて認知機能との関係を調べた結果では,左前半は言語処理に,左後半は顔認知と聴覚視覚統合に,右前半は言語処理に,右後半は顔認知と運動知覚にそれぞれ関係していた。
このようなSTSの多機能性は,STSと同時に活動が亢進する脳領域が広範囲にわたることと関連している5)。すなわち,STS後半部は同時に紡錘状回などの賦活を伴うことで顔認知処理を遂行し,一方MT/V5領域の活動を伴うことで運動知覚処理を遂行するということである。最近では心の理論に関わるミラー・ニューロン・システムへの情報入力が,STSを通じて行われていると考えられている6)。本総説ではSTSの機能を顔認知に限って論考し,STSの前部・後部による機能差についても検討する。本総説が医学,心理学,教育学など広い領域の読者において,顔認知研究に対する理解を深めることに役立てば幸いである。また本論文はメタ解析の手法を用いたものではなく,必ずしも該当するすべての研究報告を網羅してはいない。紡錘状回(fusiform face area:FFA)や扁桃体(amygdala)などの活動も顔認知には重要であるが本総説では触れないこととする。
顔の記憶とその脳内機構
著者: 月浦崇
ページ範囲:P.743 - P.751
はじめに
私たちは毎日の生活の中で多くの人に出会い,なんらかの印象を抱く。そして,その顔をどれだけ憶えておけるかは,その印象の違いによって影響を受ける。例えば,電車の中で「好み」の顔を見かけると,その顔は「好み」ではない顔よりも心に残り,次の日の電車で同じ顔を見ると,その顔をほかの多くの人から容易に区別することができる。また,サスペンスドラマでどことなく人相が悪い人がいると,その顔は長い間印象に残り続ける。このような経験的事実は,顔の記憶は私たちの感じた印象によって左右されることを示唆している。しかしながら,顔の記憶が顔の印象によってどのような影響を受け,その際に脳内でどのような変化が起きているのかについては,いまだに理解が進んでいない点が多い。本稿では,顔の記憶とそれに影響を与える顔の印象が脳内でどのように表現されているのかについて,最近の脳機能画像(functional neuroimaging)研究を概説する。
一口に顔の記憶といってもさまざまなタイプの記憶があり,その内容は単一ではないが,先に示したような日常的に体験する顔の記憶は「エピソード記憶(episodic memory)」と呼ばれるタイプの記憶に含まれる。「エピソード記憶」とは,具体的な出来事の経験に関する記憶であり,通常その出来事の内容(「何の」経験だったか)に加えて,出来事を経験したときの付随情報である時間(「いつ」経験したことか)や場所(「どこで」経験したことか)などの文脈(context)に関する情報が含まれている記憶のことを指す1)。顔の記憶の場合,「顔」の情報が出来事の内容になり,出会った場所(例えば「電車の中」)や出会った時間(例えば「早朝」)が文脈の情報となる。
エピソード記憶の脳内機構に関する研究は,症例H.M.に関する報告以来2),側頭葉内側面(海馬・海馬傍回:Fig.1)に損傷をもった症例を対象として行われてきた。しかし,近年になって機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)などの脳機能画像法の技術が開発されると,脳に損傷を持たない健康なヒトを対象として,ほぼ非侵襲的にエピソード記憶課題遂行中の神経活動のパターンを,脳血流量の増減を媒体として可視化できるようになり,世界中の多くの研究施設でヒトのエピソード記憶の脳内機構解明のツールとして用いられるようになっている。
自己顔認知の神経基盤―その社会性について
著者: 杉浦元亮
ページ範囲:P.753 - P.760
はじめに
顔は社会への窓である。顔は他人に評価され,さまざまな場面でわれわれの人生を左右する。異性パートナーや結婚相手の選択で,顔が重要な判断要素であることは間違いない。学業成績評価や就職面接の採否,収入などが顔の魅力に影響を受けることはデータで証明されている1-3)。一方で,われわれは顔で他者を動かし,社会とつながることもできる。多くの人は,微笑みを投げれば,微笑みを返してくれる。悲しい顔をすれば,同情してくれる。われわれの乳幼児期における親子間の顔の表情によるやり取りは,コミュニケーションの初期形態である4,5)。
自分の顔を見るというのは,不思議な行為である。自分の顔は本来他者に見られるはずのものであり,自分の顔を見るためには鏡やカメラ・ビデオなどの文明の利器が必要である。われわれが鏡に映った自分を見るのはなんのためか。代表的なのは髪を整えたり化粧をしたり,という身づくろいのときであろう。鏡の前で表情を作ってみたり,鏡の中の自分に語りかけてみたりする人もいる(もちろん,自己認知ができなくなる認知症の話6,7)ではない)。他者によりよく見られようと努力したり,社会の中で迷う自分と向き合ったり,いずれもヒトをヒトたらしめている高度な社会性を反映している。実際,鏡に映った自己像を自己と認識できる動物は極めて少なく,いずれも脳が大きく高度な社会性を持った動物である8-10)。
自分の顔を見るときに脳のどのようなメカニズムが作動するのかについてわれわれが学術的な興味を持つとき,その念頭にあるのは一般的に人間の社会性,その中でもとびきり高度な部分であろう。
乳児の顔処理における脳活動
著者: 市川寛子 , 山口真美
ページ範囲:P.761 - P.769
はじめに
乳児は生後まもなくから,顔を注視する。乳児が顔を見ることが実験的に最初に報告されたのは1963年である。Fantz1)が乳児にいくつかの図形を見せ,どれを注視するかを検討したところ,偶然そこに含まれていた顔模式図形が最も長い時間注視されたという。Fantzが調べたのは生後10時間以降の乳児だったが,その後,生後たった9分の新生児でさえ,顔模式図版を注視することがわかった2)。乳児は単純な図形よりも複雑な図形を注視するという特性があるが,顔と同じくらい複雑な図版であっても,顔らしいパーツの配置がなければ選好されないことが示されている。
乳児の注視時間は,見ているものへの関心と相関して長くなると考えられる。Courageら3)は,生後3カ月半から13カ月までの乳児100名を対象に,規則的な縞模様や四角形などの幾何学図形,顔画像,セサミストリートのアニメーションなどを提示し,各視覚刺激に対する注視時間の発達的変化を検討した。その結果,生後6カ月半頃にかけてすべての視覚刺激に対して発達とともに注視する時間が減っていくことが示されたが,顔画像やセサミストリートのような社会的な刺激に対してのみ,9~10カ月頃から13カ月にかけて再び注視時間が長くなることを示した。このことは,生後1年の間に養育者などの他者と社会的交互作用の経験を重ねた乳児にとっては,顔が注意を向けるべき特別な視覚刺激であることを示している。
本稿では,乳児のこうした顔処理能力の発達と,それを支える脳活動を検討した心理学における実験研究を概観する。
顔と音声の感覚融合としての腹話術効果
著者: 横澤一彦 , 金谷翔子
ページ範囲:P.771 - P.777
はじめに
オブジェクトとは,われわれが外的世界を理解するための処理単位1)であり,その外的世界はさまざまなオブジェクトで溢れており,それらの多くは複数の異なったモダリティで定義することができる。例えば,オブジェクトは一般的に特定の形や色を持っており,ある状況下で音を出し,質感や肌触り,そして重みがあり,ときには特別な香りや匂いを持っている。それらの属性は脳内の担当部位でそれぞれ特徴抽出され,最終的に観察者であるわれわれは1つのまとまった表象として統合し,認識する。あるモダリティからの情報が別のモダリティからの情報と不一致であった場合には,適合する別のオブジェクトに置き換えられて統合されることもある。すなわち,矛盾した情報が提供される場合は,結果として2つ,もしくはそれ以上のオブジェクトとして認識されることになる。このような観点から,マルチモーダルな認知過程が取り上げられ,感覚融合認知による表象が盛んに議論されるようになった。
当然ながら,顔もオブジェクトの1つであるが,日常物体のようなオブジェクトとは異なり,顔としての特有の特徴から,個体同定,性別,年齢,健康状態,感情などの特徴が抽出され,日常的な行動に結びつけられている。ここでは,顔情報処理における感覚融合認知に焦点を当てる。すなわち,発せられた音声が複数提示された顔のうち,どの顔の口元を音源としているのかという感覚融合としての定位に関する基本的な問題である腹話術効果を取り上げることになる。
顔の錯視のレビュー
著者: 北岡明佳
ページ範囲:P.779 - P.791
はじめに
錯視研究は19世紀半ばに始まり1世紀半以上の歴史がある。幾何学的錯視(形の次元の錯視)の研究が多いが,明るさの次元,色の次元,運動視の次元,奥行き知覚の次元などにもそれぞれ多種多様な錯視がある1,2)。
最近になって,筆者は「顔の錯視」というカテゴリーを提唱している2)が,現時点では広く認められたものではない。顔の錯視は「顔と言えば顔形」だから形の次元に属することにしたい,すなわち「顔の錯視は幾何学的錯視の一種である」とパーシモニアス(変数節約的)に考えたいところなのだが,顔の錯視で最も親しまれている凹面顔錯視(hollow face illusion)3,4)(Fig.1A)は奥行き知覚の錯視というべきである。凹面顔錯視と双璧を成すサッチャー錯視(Thatcher illusion)5,6)(Fig.1B,C)は顔倒立効果(face inversion effect)の一種であるが,錯覚するのは形というよりは表情である。さらには,近年の「顔ガクガク錯視」(wobbling face illusion)7,8)(Fig.2)となると運動視の錯視と位置づけるべきかもしれないし,あるいは反転図形の一種と考えるところかもしれないが,いずれにしても幾何学的錯視に分類するところではない。
それでは,「顔の錯視」は自明の独立したカテゴリーであるかというとそうでもない。例えば,京都の歴史・文化・景観・イメージを題材とした「京都の錯視」というカテゴリーを提唱し,形,明るさ,色,運動視,奥行き知覚などの諸属性を広く駆使した錯視デザイン集を作れたとしても9),そのようなものはいわばご当地学であって,錯視の種類としてラインアップするべきものではない。同様の理由で,顔の錯視がそれら諸属性の錯視に還元できるのであれば,ことさら顔の錯視というカテゴリーを立てる必然性はない。
しかしながら,本稿においては上記の問題への答えを留保したまま,現時点での顔の錯視のレビューを試みる。このため本稿はやや統一感を欠く論説となった。とは言え,「顔の錯視」とみなすことができる現象は数が多いことと,「顔は特別なものなのか」という根源的問題に切り込む手がかりとなる可能性もあることから,本レビューも錯視研究および顔研究において一定の役割が期待できると考えたい。
顔の比較認知科学
著者: 川合伸幸
ページ範囲:P.793 - P.798
はじめに
化粧に美容整形。現代の人間は少しでも容貌をよくすることに腐心する。女性だけではない。男性も頻繁に散髪し,ひげを剃る。どうしてこんなに「顔」の見え方が大事なのだろうか。
散歩をしているイヌたちが出会うと,顔を見る前に互いに臭いをかぎあう。縄張りも尿でマーキングする。イヌたちはその臭いをかげば,誰が通ったかわかる。
わたしたち人間が臭いで個人の違いを見分けるのが難しいように,動物も顔で個体を見分けるのは困難であるかもしれない。だとすれば,どのように,またなぜヒトは顔の認識に優れるようになったのだろうか。
そもそも多くの哺乳類やかつての霊長類は,基本的に夜行性であった。そのため,外界の重要な手がかりとなったのは嗅覚や聴覚の情報だったはずである。樹上生活による奥行き知覚の必要性と,果実食への移行による豊かな色覚の復活により,霊長類の視覚機能は格段に進化した。しかし,視覚が優れるからといって他個体の顔の認識に長けているとは限らない。ヒトの視力は優れているが,類人猿も大差はない。ヒトの優れた顔認知能力はヒトに固有の能力であろうか。もし進化的な基盤をもち,霊長類やほかの哺乳類とも共通性をもつなら,どのような認識が広く共有され,ヒトに固有な能力とはどのようなものであろうか。
本稿では,ヒトを含めた霊長類が,他個体の顔をどのように認識しているかについて,これまでに明らかになった行動実験の結果を概観するとともに,ヒトの顔認識の進化の動因となった「どのように」と「なぜ」という生物学の2つの命題に対する答えを探る。
神経内科疾患と顔認知
著者: 河村満 , 杉本あずさ , 小早川睦貴 , 鶴谷奈津子
ページ範囲:P.799 - P.813
はじめに
本稿では,さまざまな神経疾患における顔認知障害について述べる。
脳梗塞では,時に相貌失認が生じることが古くから知られていたが,その責任病巣については長く議論があり,ようやく最近になって右紡錘状回病変が重要であることがわかってきた。
相貌失認典型例では普通表情認知は保たれる。一方で,パーキンソン病(Parkinson disease:PD)では表情認知障害(表情失認)が生じ,扁桃体病変との関与が疑われる。PD関連病態であるとされる,レム期睡眠行動異常症(REM sleep behavioral disorder:RBD)でも表情失認は明らかであり,表情失認はPDの初期あるいは病前症候として重要である。筋強直性ジストロフィーにも表情認知の障害がある。中核症状である筋病変とともに古くから知られている「独特の性格変化」の背景には,表情失認をはじめとした社会的認知障害の存在が疑われる。
顔認知研究は学際的になされているが,神経内科領域でも重要で,その意義について疾患別に述べたいと思う。
統合失調症の顔認知
著者: 土居裕和 , 篠原一之
ページ範囲:P.815 - P.820
はじめに
1.統合失調症
統合失調症は,思考,感情,知覚,意欲,自我意識など,広範な認知機能に異常が現れる機能性精神疾患である。生涯発病率は約1%とされており1),好発年齢は男女とも15~30歳といわれているが,特に女性の場合には,それ以降に発症する例も多い2)。多変量解析手法を用いた下位分類研究の結果,統合失調症の症状は陽性症状と陰性症状の2つに大別されるとの説が広く受け入れられるに至っている。陽性症状(positive symptoms)は急性期にみられ,幻覚,妄想,自我意識障害,独語などの症状を指す。これに対し,陰性症状(negative symptoms)は慢性期にみられ,感覚鈍麻,感情の平板化,自閉(社会的引きこもり),無為(意欲低下),容姿への無関心などの症状を指す。
統合失調症の発病機序に関しては,神経伝達物質の異常が有力視されている。ドパミン遮断薬により症状をコントロールすることが可能なことから3),ドパミン神経系の異常が,統合失調症における症状の発現に関与しているとの「ドパミン仮説」が有力視されている。一方で,発達段階での脳構造形成異常4)や,遺伝的素因の関与5)が指摘されるなど,統合失調症の原因は,未だ明らかになっていないのが現状である。
2.統合失調症患者における顔認知
統合失調症患者が,顕著なコミュニケーション能力の障害を示すことは広く認められている。また,これら患者が呈する「社会性の問題」の少なくとも一部は,顔認知能力障害に起因すると考えられている。しかし,その一方で,統合失調症における顔認知障害をもたらす神経機能異常の詳細に関しては,未解明の点が多い。そこで,本稿では,社会的コミュニケーションにおいて特に重要な役割を果たす,表情認識・視線方向認知を中心として,統合失調症患者の顔認知に関する行動学的・神経科学的知見を概説する。
自閉症スペクトラム障害の顔認知
著者: 北洋輔 , 稲垣真澄
ページ範囲:P.821 - P.830
Ⅰ.自閉症スペクトラム障害とは
自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders:ASD)という用語は,世界保健機関の国際疾病分類第10版(International Classification of Diseases:ICD-10)1)における小児自閉症(childhood autism),非定型自閉症(atypical autism),アスペルガー症候群(Asperger's syndrome)などを含む「心理的発達の障害」に分類された疾患である広汎性発達障害(pervasive developmental disorders;F84)や,米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Forth Edition Text Revision:DSM-IV-TR)2)にて使用されている広汎性発達障害(自閉性障害;autistic disorder,アスペルガー障害;Asperger's disorderと特定不能の広汎性発達障害;pervasive developmental disorder not otherwise specified)を細分化することなく,すべてを一つのつながりとして,あるいは「連続体」として捉えようとする概念を示す。
ASDに共通する特徴は,①対人的相互反応の質的障害,②言語的および非言語的コミュニケーションの障害,③想像力の障害および限定的な範囲での反復的・常同的活動の3点が挙げられており3,4),知的機能障害の有無や程度は問わない。現在広く使用されている診断基準では,正式な診断名としてASDを用いることはない1,2)。しかしながら,診断基準の改訂(例えばICD-11やDSM-5)5,6)が近々予定されており,その中でASDが診断名として採用される可能性が強いことや,現在の自閉症研究の潮流を踏まえて,本稿ではASDという概念を使用することとしたい。ASDの有病率は,0.3~0.9%などと報告するもの7,8)もあるが,診断基準の変遷や障害の周知度の変化によって変動している。ASDの病因は,中枢神経系の機能障害と推測されているが,その特定には至っておらず,精力的な研究が世界的に続けられている。
サル下側頭葉視覚連合野における機能の階層構造と顔の表現
著者: 佐藤多加之
ページ範囲:P.831 - P.839
Ⅰ.物体を認識するために
私たち人間は目に映るさまざまな物体や風景,人間を含む生物など多種多様なものを一瞬で認識することができる。ここでいう認識とは,それが何であるかを言い当てるだけではない。一見非常に似ているが細部が微妙に異なる複数の物体を識別する能力や,逆に少しの差異は無視し同類とみなして理解する能力,あるいは一つの物体でも見る角度や照明条件によって見え方が異なるがそれらが同じ物体であると認識することなども含む少し広い意味である。このような驚異的な「物体認識」を読者,あるいは読者の脳はいとも簡単に実現している。この物体認識がどのような仕組みで実現されているのかを解明するためには,これらの機能が脳内のどのような神経回路を基盤としているのかを理解する必要がある。
これまでのヒトや動物を用いたさまざまな研究の結果,物体認識を担う複数の機能構造が明らかとなってきた。それらは驚くべき方法により大脳皮質に埋め込まれていた。そこには階層性というキーワードが関わってくる。
サル前部下側頭皮質における顔のアイデンティティと意味の表現
著者: 永福智志
ページ範囲:P.841 - P.852
はじめに:サルを用いたニューロン活動記録
脳を構成する神経系の処理素子はシナプスで連結したニューロンであり,処理信号はニューロンを伝わる活動電位の列(またはスパイク放電)である。実際に認知・行動を行う動物の脳から,微小電極を用いて活動電位の記録が可能になって半世紀近い。本稿で詳しく言及することはしないが,この実験技法によってこれまで,脳というシステムの理解のために多くの知見が積み上げられてきた。この実験技法が強力である理由は明確であり,脳で計算を行っている処理信号そのものを直に観測しているからにほかならない。近年の遺伝子工学の発展に基づいた分子神経科学の大きな広がりや機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)などによるヒト脳研究の目覚ましい進歩の一方で,古典的ではあっても,脳内信号の直接的計測方法としての単一ニューロン活動記録の意義はまったく薄れてはいない。今なおこの技法は,脳のしくみを知る手だてとして切れ味鋭く生き続け,ニューロン活動の多数同時記録技術の進歩やfMRIの併用を取り込んで新たな進化を遂げている。
本稿では本増大特集の「顔認知の脳内機構」に関して,主にサルを用いたニューロン活動記録の最近の進歩を,筆者の最近の研究成果を交え解説する。
症例報告
特発性低髄液圧症候群に合併し短期間で器質化した慢性硬膜下血腫の1例
著者: 須山武裕 , 祖母井龍 , 乾敏彦 , 富永紳介
ページ範囲:P.855 - P.860
はじめに
特発性低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension:SIH)は脳脊髄液が持続的ないしは断続的に漏出することにより頭痛,頸部痛などさまざまな症状を呈する疾患である1)。予後は比較的良好で,安静臥床にて数週間で自然に治癒することが多いが,改善しない場合には自家血硬膜外注入療法(epidural blood patch:ブラッドパッチ)が施行されることが多い2,3)。
一方近年,SIHに合併した慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma:CSDH)の症例が散見される。しかし,その治療方針にはさまざまな報告があり一定の見解はない4,5)。
今回,SIHにCSDHを合併し,穿頭術後,ブラッドパッチを数回施行するも改善が得られず,短期間にCSDHが器質化した稀な症例を経験した。その診断,治療法などについて文献的考察を加えて報告する。
連載 神経学を作った100冊(67)
ウェルニッケ『医師と学生のための脳疾患教科書』(1881-1883)
著者: 作田学
ページ範囲:P.862 - P.863
ウェルニッケ(Carl Wernicke;1848-1905,なおヴェルニッケが原音に近い)は1848年5月15日に旧ドイツ領(現在はポーランド領)であった上シレジアのタルノヴィッツに生まれた(Fig.1)。ブレスラウ大学で医学を学び,ノイマン(Heinrich Neumann;1814-1884)の助手になった。6カ月間ウイーンで勉学することを許可され,マイネルト(Theodor Hermann Meynert;1833-1892)のもとで学んだ。1年後にここでの研究は「失語症状群」として結実する1)。終生彼はマイネルトの恩を忘れることはなかったという2)。この書で初めて感覚性失語症の症例を提示したことが,彼の神経学への貢献の最初だった。その後,ベルリン大学のウェストファール(Carl Friedrich Otto Westphal;1833-1890)の助手になったが間もなく辞任し,1878~1885年までベルリンで開業した。この間に書き上げたのが『医師と学生のための脳疾患教科書』の3冊である3)。その後ブレスラウ大学の精神科の助教授として迎えられ,1890年に教授となった。彼は多くの神経学者を育てたが,1905年6月13日に交通事故で急死した。
この3冊からなる教科書は第1巻371頁,第2巻xxxv+251頁,第3巻253~572頁という変則的な頁付けになっている。本書を読んでいくと33歳という若さで,大脳の局所脳病理学を大成したことにも驚かされるが,彼の明晰な問題のとらえ方には感嘆するしかない。
書評
「今日の精神疾患治療指針」―樋口輝彦,市川宏伸,神庭重信,朝田 隆,中込和幸●編 フリーアクセス
著者: 髙橋清久
ページ範囲:P.752 - P.752
『今日の治療指針』という書名は多くの医師にとってなじみの深いものであろう。私も日常診療の中でそれをひもといた経験は数知れない。しかし,精神科医師の私がそのページを繰るのは,ほとんどが他科の疾患項目であって,精神科関係のものはごく稀であった。その稀にしか見なかった精神科疾患に関する治療指針の解説は正直言って物足らないものであった。
このたび新たに出版された本書を手にして,これこそ精神科の日常診療に役立つものだと実感した。初めて精神科医師にとって日常診療で実際に役立つ治療指針が世に出たわけだが,考えてみるとなぜこのような書物が今まで出版されなかったのか不思議に思えてくる。裏返していうと,まさに精神科医師が待望していた実践書といえよう。
「《神経心理学コレクション》アクション」―丹治 順,地●著 山鳥 重,河村 満,池田 学●シリーズ編集 フリーアクセス
著者: 高田昌彦
ページ範囲:P.778 - P.778
本書を初めて手にし,いつものようにまず「序」に目を通した。残りは時間のあるときにと思っていたが,まるで評判の推理小説を読むかのように,そのまま時間を忘れて一気に読み切ってしまった。
私は著者の丹治順先生と以前から懇意であり,また,著者と著者の研究グループが長年にわたって展開してきたさまざまな大脳研究の中身をかなりよく知っている1人ではあるが,改めて読み進めてみると,本書はまさに40年以上に及ぶ大脳生理学者としての著者自身のヒストリーが綴られた“読み物”であった。最も驚くべきは,この“読み物”のシナリオ全体がほとんど著者自身の研究のみで描かれていることである。
「認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012」―日本神経学会●監修 「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会●編 フリーアクセス
著者: 下濱俊
ページ範囲:P.853 - P.853
本書は,日本神経学会,日本精神神経学会,日本認知症学会,日本老年精神医学会,日本老年医学会,日本神経治療学会の6学会の協力により作成された『認知症疾患治療ガイドライン2010』の『コンパクト版2012』である。2012と銘打ってあるとおり,わが国で昨年相次いで承認された2種類のコリンエステラーゼ阻害薬(ガランタミン,リバスチグミン),1種類のNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)が臨床の場で使用可能となったこと,従来のNational Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer's Disease and Related Disorders Association(NINCDS-ADRDA)研究班のアルツハイマー病の診断基準がNational Institute on Aging(NIA)とAlzheimer's Association(AA)により2011年に改訂が示されたことなどが本書に反映されている。具体的にはアルツハイマー病の薬物治療の項に新たに「病期別の治療薬剤の選択アルゴリズム」の図が加えられ,記載について改訂がなされた。上述の新たなアルツハイマー病の診断基準も収録されている。日常臨床でしばしば難渋する「せん妄」の治療法についても,新たに項が設けられ解説されている。レビー小体型認知症に対するNMDA受容体拮抗薬についての文献が追加され,それに合わせて推奨内容も改訂されているなど,この3年間の進展に対応した内容となっている。
お知らせ
第21回日本脳神経外科漢方医学会学術集会 フリーアクセス
ページ範囲:P.791 - P.791
日 時 2012年11月3日(土) 11時開会予定
会 場 日本都市センターホテル 5階「オリオン」
東京都千代田区平河町2-4-1 Tel:03-3265-8211
Neurorehabilitation in Okayama, 2013 フリーアクセス
ページ範囲:P.839 - P.839
会 期 2013年2月16日(土) 第2回日韓ニューロリハビリテーションカンファランス
2013年2月17日(日) 第4回日本ニューロリハビリテーション学術集会
会 場 岡山コンベンションセンター ママカリフォーラム(岡山市北区駅元町)
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次号予告 フリーアクセス
ページ範囲:P.861 - P.861
投稿規定 フリーアクセス
ページ範囲:P.864 - P.865
「読者からの手紙」募集 フリーアクセス
ページ範囲:P.865 - P.865
あとがき フリーアクセス
著者: 三村將
ページ範囲:P.866 - P.866
今月号の特集は「顔認知の脳内機構」である。数年前に『人は見た目が9割』という本が話題になったことがあった。挑発的なタイトルはともかくとして,確かに外見はその人の印象を大きく左右するし,外見の中核にある「顔」の持つ情報量は測りしれない。顔情報の多くは視線や表情の動きを含めて動的であり,刻々と変化するダイナミックな環境に適応していくうえで決定的に重要である。人の社会性が高度に発達するにつれ,顔を認知するための脳基盤も進化,精緻化されてきた。
本特集記事を繙くと,今日の神経科学的知見の集積により,顔認知に関する脳内機構がここまで明らかになっているという事実に舌を巻く。顔認知は単純なテーマではない。アプローチの技法としても,行動観察,錯覚を含めた心理実験,fMRI・NIRS・事象関連電位・MEGといった機能画像解析など,多岐にわたる。ヒトと類人猿やサル,その他の動物との顔認知過程の異同をみる比較進化学的観点も重要であるし,ヒトにおいても健常者以外に,さまざまな精神・神経学的な疾患や病態による顔認知の障害を扱った神経心理学的研究や,乳児研究を中心に顔認知の発達過程の解明が進んでいる。顔認知のような複合的な問題はこのように,それぞれの立場からの研究が相補的に対話していくことが何より重要である。
著作財産権譲渡承諾書 フリーアクセス
ページ範囲:P. - P.
読者アンケート用紙 フリーアクセス
ページ範囲:P. - P.
基本情報
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バックナンバー
76巻12号(2024年12月発行)
特集 芸術家と神経学Ⅱ
76巻11号(2024年11月発行)
特集 ALS 2024
76巻10号(2024年10月発行)
特集 どうして効くんだろう
76巻9号(2024年9月発行)
特集 治療可能な認知症としてのアルツハイマー病
76巻8号(2024年8月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である—revisited
76巻7号(2024年7月発行)
特集 ニューロ・バイオイメージング—技術と応用
76巻6号(2024年6月発行)
特集 注意と注意障害
76巻5号(2024年5月発行)
増大特集 末梢神経・筋肉の自己免疫性・炎症性疾患ハンドブック
76巻4号(2024年4月発行)
特集 神経病理最前線
76巻3号(2024年3月発行)
特集 きちんと説明ができますか?
76巻2号(2024年2月発行)
特集 特発性正常圧水頭症の現在
76巻1号(2024年1月発行)
特集 新時代の重症筋無力症と関連疾患の診療
75巻12号(2023年12月発行)
特集 アガサ・クリスティーと神経毒
75巻11号(2023年11月発行)
特集 アロスタシス—ホメオスタシスを超えて
75巻10号(2023年10月発行)
特集 メタバースへの招待
75巻9号(2023年9月発行)
特集 妊娠と神経疾患
75巻8号(2023年8月発行)
特集 アルツハイマー病は本当に早期発見できるのか
75巻7号(2023年7月発行)
特集 Antibody Update 2023 Part2 末梢編
75巻6号(2023年6月発行)
特集 Antibody Update 2023 Part1 中枢編
75巻5号(2023年5月発行)
増大特集 神経・精神領域の薬剤ハンドブック
75巻4号(2023年4月発行)
特集 All About Epilepsy
75巻3号(2023年3月発行)
特集 慢性疼痛
75巻2号(2023年2月発行)
特集 多系統萎縮症の新診断基準とこれからの診療
75巻1号(2023年1月発行)
特集 よく出会う不随意運動を知る
74巻12号(2022年12月発行)
特集 映画を観て精神・神経疾患を知る
74巻11号(2022年11月発行)
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特集 ウイルス性脳炎・脳症2022
74巻9号(2022年9月発行)
特集 動的環境への適応系としての歩行
74巻8号(2022年8月発行)
特集 迷走神経の不思議
74巻7号(2022年7月発行)
特集 COVID-19—脳神経内科医が診るための最新知識2022
74巻6号(2022年6月発行)
特集 脳神経内科医に求められる移行医療
74巻5号(2022年5月発行)
増大特集 次の一手—神経筋疾患難治例をどのように治療するか
74巻4号(2022年4月発行)
特集 脳科学リテラシーを高めるために
74巻3号(2022年3月発行)
特集 中枢性自律神経障害update
74巻2号(2022年2月発行)
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74巻1号(2022年1月発行)
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73巻12号(2021年12月発行)
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73巻10号(2021年10月発行)
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73巻9号(2021年9月発行)
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73巻8号(2021年8月発行)
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73巻5号(2021年5月発行)
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73巻1号(2021年1月発行)
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72巻12号(2020年12月発行)
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72巻8号(2020年8月発行)
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72巻7号(2020年7月発行)
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72巻6号(2020年6月発行)
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72巻5号(2020年5月発行)
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72巻3号(2020年3月発行)
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72巻2号(2020年2月発行)
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72巻1号(2020年1月発行)
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71巻10号(2019年10月発行)
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71巻9号(2019年9月発行)
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71巻8号(2019年8月発行)
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71巻7号(2019年7月発行)
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71巻6号(2019年6月発行)
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71巻1号(2019年1月発行)
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70巻9号(2018年9月発行)
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70巻8号(2018年8月発行)
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70巻7号(2018年7月発行)
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70巻6号(2018年6月発行)
特集 芸術を生み出す脳
70巻5号(2018年5月発行)
特集 非アルツハイマー型認知症の病理学
70巻4号(2018年4月発行)
増大特集 Antibody Update 2018
70巻3号(2018年3月発行)
特集 『認知症疾患診療ガイドライン2017』を読み解く
70巻2号(2018年2月発行)
特集 知っておきたい神経感染症
70巻1号(2018年1月発行)
特集 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の今
69巻12号(2017年12月発行)
特集 運動異常症をみる—Web動画付録つき
69巻11号(2017年11月発行)
増大特集 こころの時間学の未来
69巻10号(2017年10月発行)
特集 成人てんかん—知っておきたい6つのトピック
69巻9号(2017年9月発行)
特集 ミクログリアと精神・神経疾患
69巻8号(2017年8月発行)
特集 遺伝性脊髄小脳失調症の病態と治療展望
69巻7号(2017年7月発行)
増大特集 あしたのアルツハイマー病治療
69巻6号(2017年6月発行)
特集 局在病変の神経心理学
69巻5号(2017年5月発行)
特集 Voxel-Based Morphometry—体積からわかること
69巻4号(2017年4月発行)
増大特集 ブロードマン領野の現在地
69巻3号(2017年3月発行)
特集 磁気刺激の新たな展開
69巻2号(2017年2月発行)
特集 Stroke-Like Diseases—鑑別時に注意を要する5病態
69巻1号(2017年1月発行)
特集 近年注目されている白質脳症
68巻12号(2016年12月発行)
特集 炎症性神経・筋疾患の新たな展開
68巻11号(2016年11月発行)
増大特集 連合野ハンドブック
68巻10号(2016年10月発行)
特集 アディクション—行動の嗜癖
68巻9号(2016年9月発行)
特集 自己免疫性脳炎・脳症
68巻8号(2016年8月発行)
特集 こころと汗
68巻7号(2016年7月発行)
増大特集 認知症の危険因子と防御因子
68巻6号(2016年6月発行)
特集 脳とフローラ
68巻5号(2016年5月発行)
特集 手の症候学—生理学・解剖学からみた新知見
68巻4号(2016年4月発行)
増大特集 治せる認知症
68巻3号(2016年3月発行)
特集 末梢神経の血管炎
68巻2号(2016年2月発行)
特集 筋疾患の認知機能障害
68巻1号(2016年1月発行)
特集 シャルコー・マリー・トゥース病
67巻12号(2015年12月発行)
特集 視床と高次脳機能
67巻11号(2015年11月発行)
増大特集 ギラン・バレー症候群のすべて—100年の軌跡
67巻10号(2015年10月発行)
特集 非・日常生活の脳科学
67巻9号(2015年9月発行)
特集 酵素補充療法
67巻8号(2015年8月発行)
特集 神経難病の終末期医療
67巻7号(2015年7月発行)
増大特集 神経疾患と感染症update
67巻6号(2015年6月発行)
特集 脳と「質感」
67巻5号(2015年5月発行)
特集 NCSE(非痙攣性てんかん重積状態)
67巻4号(2015年4月発行)
増大特集 大脳皮質vs.大脳白質
67巻3号(2015年3月発行)
特集 中枢神経の血管炎
67巻2号(2015年2月発行)
特集 「食べる」を考える
67巻1号(2015年1月発行)
特集 ニューロトキシコロジー
66巻12号(2014年12月発行)
特集 Orthopaedic Neurology—神経内科と整形外科の狭間で
66巻11号(2014年11月発行)
増大特集 神経症候学は神経学の“魂”である
66巻10号(2014年10月発行)
特集 分子を撃つ 神経疾患治療の新しい水平線
66巻9号(2014年9月発行)
特集 痙縮の臨床神経学
66巻8号(2014年8月発行)
特集 神経系の悪性リンパ腫update
66巻7号(2014年7月発行)
増大特集 アミロイド関連神経疾患のすべて―封入体筋炎からアルツハイマー病まで
66巻6号(2014年6月発行)
特集 ミラーニューロン
66巻5号(2014年5月発行)
特集 アセチルコリンと神経疾患―100年目の現在地
66巻4号(2014年4月発行)
増大特集 タッチ・ビジョン・アクション
66巻3号(2014年3月発行)
特集 神経筋疾患の超音波診断
66巻2号(2014年2月発行)
特集 糖尿病の神経学revisited
66巻1号(2014年1月発行)
特集 日常生活の脳科学
65巻12号(2013年12月発行)
特集 プロテイノパチーの神経病理学
65巻11号(2013年11月発行)
増大特集 Close Encounters―臨床神経学と臨床免疫学の遭遇と未来
65巻10号(2013年10月発行)
特集 神経系の発達メカニズム―最近の話題
65巻9号(2013年9月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である―現状と展望
65巻8号(2013年8月発行)
特集 こころの時間学―現在・過去・未来の起源を求めて
65巻7号(2013年7月発行)
増大特集 あしたの脳梗塞
65巻6号(2013年6月発行)
特集 見せる・仕分ける―脳機能解析の新手法
65巻5号(2013年5月発行)
特集 てんかん―新しいパースペクティブ
65巻4号(2013年4月発行)
増大特集 Antibody Update
65巻3号(2013年3月発行)
特集 次世代シーケンサーによる神経変性疾患の解析と展望
65巻2号(2013年2月発行)
特集 血液脳関門研究の進歩
65巻1号(2013年1月発行)
特集 Corticobasal Syndrome
64巻12号(2012年12月発行)
特集 The Border-Land of Dementia
64巻11号(2012年11月発行)
増大特集 痛みの神経学―末梢神経から脳まで
64巻10号(2012年10月発行)
特集 辺縁系をめぐって
64巻9号(2012年9月発行)
特集 高次脳機能イメージングの脳科学への新展開
64巻8号(2012年8月発行)
特集 線条体の基礎と臨床
64巻7号(2012年7月発行)
増大特集 顔認知の脳内機構
64巻6号(2012年6月発行)
特集 睡眠と覚醒の脳内機構
64巻5号(2012年5月発行)
特集 神経疾患のバイオマーカー
64巻4号(2012年4月発行)
増大特集 パーキンソン病の新しい側面
64巻3号(2012年3月発行)
特集 アカデミアから新規治療の実現へ―トランスレーショナルリサーチの現状
64巻2号(2012年2月発行)
特集 生物学的精神医学の進歩
64巻1号(2012年1月発行)
特集 iPS細胞と神経疾患
63巻12号(2011年12月発行)
特集 神経心理学と画像解析の融合
63巻11号(2011年11月発行)
増大特集 筋疾患update
63巻10号(2011年10月発行)
特集 緩徐進行性高次脳機能障害の病態
63巻9号(2011年9月発行)
特集 脳卒中の最新画像診断
63巻8号(2011年8月発行)
特集 日本人の発見した神経症候
63巻7号(2011年7月発行)
増大特集 神経筋接合部―基礎から臨床まで
63巻6号(2011年6月発行)
特集 ニューロパチー
63巻5号(2011年5月発行)
特集 神経系と血管内リンパ腫
63巻4号(2011年4月発行)
増大特集 てんかんの新しい治療
63巻3号(2011年3月発行)
特集 サイバーナイフ治療
63巻2号(2011年2月発行)
特集 続・日本人の発見した神経疾患
63巻1号(2011年1月発行)
特集 血管腫
62巻12号(2010年12月発行)
特集 頸部頸動脈狭窄症の診断と治療
62巻11号(2010年11月発行)
増大特集 歩行とその異常
62巻10号(2010年10月発行)
特集 ブレインバンク
62巻9号(2010年9月発行)
特集 視神経脊髄炎(NMO)update
62巻8号(2010年8月発行)
特集 辺縁系脳炎
62巻7号(2010年7月発行)
増大特集 アルツハイマー病―研究と診療の進歩
62巻6号(2010年6月発行)
特集 改正臓器移植法の問題点とその対応
62巻5号(2010年5月発行)
特集 神経画像のピットフォール―見落としと読み過ぎ
62巻4号(2010年4月発行)
特集 傍腫瘍性神経筋疾患update
62巻3号(2010年3月発行)
特集 神経回路解析法の最近の進歩
62巻2号(2010年2月発行)
特集 ニューロリハビリテーションの最前線
62巻1号(2010年1月発行)
特集 神経救急
61巻12号(2009年12月発行)
特集 Somatotopy再考
61巻11号(2009年11月発行)
特集 前頭側頭葉変性症
61巻10号(2009年10月発行)
特集 片頭痛の予防療法
61巻9号(2009年9月発行)
特集 脳血管障害治療の進歩
61巻8号(2009年8月発行)
特集 神経・筋疾患の分子標的治療
61巻7号(2009年7月発行)
特集 脳腫瘍研究の最前線―遺伝子解析から治療まで
61巻6号(2009年6月発行)
特集 脊椎・脊髄外科の最近の進歩
61巻5号(2009年5月発行)
特集 Restless legs syndrome
61巻4号(2009年4月発行)
特集 大脳基底核―分子基盤から臨床まで
61巻3号(2009年3月発行)
特集 Microneurography(微小神経電図法)の臨床応用
61巻2号(2009年2月発行)
特集 神経系の再興感染症と輸入感染症
61巻1号(2009年1月発行)
特集 脳神経倫理
60巻12号(2008年12月発行)
特集 痙縮
60巻11号(2008年11月発行)
特集 脳卒中と遺伝子
60巻10号(2008年10月発行)
特集 若年者の脳卒中
60巻9号(2008年9月発行)
特集 知・情・意の神経学
60巻8号(2008年8月発行)
特集 脳硬膜動静脈瘻
60巻7号(2008年7月発行)
増大特集 学習と記憶――基礎と臨床
60巻6号(2008年6月発行)
特集 Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)
60巻5号(2008年5月発行)
特集 「痛み」の研究と治療の最前線
60巻4号(2008年4月発行)
増大特集 神経系の発生とその異常
60巻3号(2008年3月発行)
特集 特発性正常圧水頭症(iNPH)―最近の話題
60巻2号(2008年2月発行)
特集 がん治療と神経障害
60巻1号(2008年1月発行)
特集 日本人の発見した神経疾患
59巻12号(2007年12月発行)
特集 損傷神経の再生―温存的治療法の開発
59巻11号(2007年11月発行)
特集 手根管症候群をめぐって
59巻10号(2007年10月発行)
増大特集 ALS―研究と診療の進歩
59巻9号(2007年9月発行)
特集 パーキンソン病の認知機能障害
59巻8号(2007年8月発行)
特集 パーキンソン病の分子遺伝学―最近の知見
59巻7号(2007年7月発行)
増大特集 情報伝達処理におけるグリアの機能と異常
59巻6号(2007年6月発行)
特集 職業性神経障害の新しい展開
59巻5号(2007年5月発行)
特集 脳画像最前線
59巻4号(2007年4月発行)
増大特集 最近注目される脳神経疾患治療の研究
59巻3号(2007年3月発行)
特集 分子イメージング
59巻2号(2007年2月発行)
特集 進行性多巣性白質脳症の新しい展開―PMLが治る時代へ向けて
59巻1号(2007年1月発行)
特集 高次視覚研究の最近の進歩