文献詳細
連載 病態解明・新規治療を目指した神経疾患の患者レジストリシステム・3
筋ジストロフィー:Remudy
著者: 木村円1 中村治雅1 西野一三12
所属機関: 1独立行政法人国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター 2独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
ページ範囲:P.1396 - P.1402
文献概要
「一日も早く」は,今年51年目を迎えた日本筋ジストロフィー協会会誌のタイトルであり,1日も早く難治性疾患で苦しむ患者・家族に,根治的な治療法を届けることは,難病医療に携わる者,すべての願いである。
筋ジストロフィーの治療研究は,近年の基礎医学研究の進歩により病態の解明とモデル動物を用いた治療研究がめざましく進展したことで,すみやかな臨床応用が期待されてきた。特に,開発中のエクソンスキッピング薬,リードスルー薬などの遺伝子標的治療薬は病態の根本に対する治療法であり,その開発には大きな期待が集まっている。しかしながら,創薬のスキームに沿った開発を行うためには,その過程で円滑に実施されるべき臨床試験に多くの困難が想定されてきた。疾患の罹患患者数やその実態把握,臨床試験の対象となる患者数,試験参加者のリクルートなどの臨床試験の実行可能性の問題,また試験計画策定時の臨床試験デザイン,エンドポイント設定の問題など,多くの課題が挙げられている。
すなわち,目の前の患者に治療を届けるためには,希少な患者情報をできるだけ多く収集し,疫学,自然歴,介入によって改善することが予想される臨床的な指標,さらには診断や病態を反映し臨床試験のサロゲートマーカーとなり得るバイオマーカーの探索のために,臨床研究基盤を整備する必要があり,そのうえでグローバル臨床開発研究を推進することの重要性が議論されてきた。
参考文献
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