文献詳細
書評
「《神経心理学コレクション》ジャクソンの神経心理学」—山鳥 重●著 山鳥 重,河村 満,池田 学●シリーズ編集 フリーアクセス
著者: 兼本浩祐1
所属機関: 1愛知医科大学・精神科
ページ範囲:P.294 - P.295
文献概要
最初は保続の発表に関してであったが,2回目は側頭葉てんかんの言語自動症のことについてであった。山鳥先生はその時に,「主体意識から客体意識へとまさに言葉が音を持った言葉として生まれ落ちようとしている瞬間に宙吊りになって固定された状態が再帰性発話だとジャクソンが書いており,実際にそういう実例はてんかん臨床であるのかどうか」といった質問をされた。その時私は質問の背景や意味を良く理解できず,単純に「ないです」と答え,会話はそこで終わりになってしまった。しかし先生のその質問はその後,ずっと私の中に残っていて,自分でジャクソンを読むようになって先生の質問の奥深さを知ることになり,さらにその後の臨床経験の中で,まさにジャクソンの言うような,最初の発作体験の時に言わんとしていたことをその後発作が起こるたびに何十年も繰り返して発語し続ける症例が存在することを何度か確認することになった。
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