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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩67巻7号

2015年07月発行

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あとがき/読者アンケート用紙 フリーアクセス

著者: 酒井邦嘉

ページ範囲:P.978 - P.978

文献概要

 最近私は万年筆に凝っている。万年筆は,紀元前エジプトの葦ペンや,中世ヨーロッパの羽根ペンに起源があって,材質やインクの吸入機構などの改良が続けられてきた。1930年代には,ペン軸を12面体にした斬新な万年筆や,小さな体温計を内蔵したDoctor's Penが登場している。戦後はボールペンに大きく水をあけられ,原稿を書くのも今やキーボードを使うのが当たり前になったが,それでも万年筆は多くの人に愛され続けている。

 万年筆に特有の魅力は,適度にしなりのあるペン先と,水性インクによる滑らかな書き味にある。インクフローがよければ,ほとんど筆圧をかけなくとも,毛筆のように筆の運びが濃淡として紙に残るから,文字の特徴が引き立つ。そのため,時間が経っても書字や思考の過程を辿りやすいのだ。私は走り書きのメモをPDAの手書きソフトでデジタル化していたことがあるが,後で読めなくなるという問題が頻発し,結局止めてしまった。そうした失敗は万年筆で書けばほとんど起こらない。今はスマホに頼ることなくメモ帳を常に携帯している。お気に入りの万年筆(私はペリカン派)なら書くこと自体が楽しいし,字も自然と丁寧になる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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