文献詳細
特集 アディクション—行動の嗜癖
文献概要
わが国のギャンブル障害の有病率は,他国の数倍に相当する4.8%である。有病者536万人の大半がはまっているギャンブルは,法律上ゲームとみなされているパチンコ・スロットである。ギャンブルは20歳前に開始され,6年後に借金が始まり,治療の場に現れる30代後半までに1300万円を費消している。本人のみならず,家族もメンタル不調に陥る深刻な疾患であり,治療上最も有効な自助グループの数も少ない。早急の対策が望まれる。
参考文献
1)石井裕正(研究代表): わが国における飲酒の実態ならびに飲酒に関する生活習慣病, 公衆衛生上の諸問題とその対策に関する総合的研究. 厚生労働省研究, 2008
2)樋口 進(研究代表): WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究. 厚生労働省研究, 2013
3)ビッグイシュー基金・ギャンブル依存症問題研究グループ: 疑似カジノ化している日本—ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か? ビッグイシュー基金, 東京, 2015
4)森山成: ギャンブル症者100人の臨床的実態(続報). 臨床精神医学45: 517-522, 2016
5)森山成: 病的賭博者100人の臨床的実態. 精神医学50: 895-904, 2008
6)森山成: Gamblers Anonymous(GA)の参加者125人の臨床的実態. 精神科治療学29: 1451-1458, 2014
7)宮岡 等(研究代表): 病的ギャンブリングと債務問題等との関連および病的ギャンブラーの家族らの実態調査と回復支援のための研究. 厚生労働省研究, 2016
8)宮岡 等(研究代表): 病的ギャンブリングの実態調査と回復支援のための研究. 厚生労働省研究, 2016
9)帚木蓬生: ギャンブル依存国家・日本—パチンコからはじまる精神疾患. 光文社, 東京, 2014
10)井上善雄: 最新ギャンブル事情. ギャンブルオンブズマン会報 41: 1-6, 2016
11)帚木蓬生: ギャンブル障害—医学的見地からの分析. 現代消費者法27: 71-77, 2015
12)井上善雄: ギャンブルとギャンブル依存にかかる真実の言葉. ギャンブルオンブズマン会報 40: 1-2, 2015
13)井上善雄: ギャンブルオンブズマン会報 42: 2016
14)森山成: ギャンブル障害は「自己責任」ではなく, 「国家責任」. 森山成(編): 不安障害, ストレス関連障害, 身体表現性障害, 嗜癖症, パーソナリティ障害. 中山書店, 東京, 2016, pp285-288
15)森山成: ギャンブル障害の臨床. 原田誠一(編): メンタルクリニックが切拓く新しい臨床—外来精神科診療の多様な実践. 中山書店, 東京, 2015, pp130-136
16)帚木蓬生: やめられない—ギャンブル地獄からの生還. 集英社, 東京, 2010
17)森山成: ギャンブル依存外来. 精神科治療学23: 1071-1077, 2008
18)帚木蓬生: カジノ合法化は何をもたらすか—ギャンブル依存400万人の実態. 世界858: 167-175, 2014
掲載誌情報