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特集 アディクション—行動の嗜癖
文献概要
窃盗症の輪郭は不明瞭である。筆者らが治療に関わった常習窃盗者の登録数は1,430例に達した。窃盗症と摂食障害の緊密な関連には多数の要因が関係しており,「食費節約説」は不適切である。常習窃盗の治療としては,個人精神療法のほか,認知行動療法,家族療法,集団療法,サイコドラマ,自助グループなどの原理を応用している。筆者らは,回復(途上)者による初心者へのメッセージと自助グループへの参加が重要と考えている。
参考文献
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15)吉野由希子, 田村俊美, 竹村道夫: 常習的窃盗患者の看護. アディクションと家族27: 234-239, 2011
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