特集の意図
認知症の臨床において最も大切なことは,さまざまな原因を持つ認知症の中から「いま治せる」認知症をピックアップすることである。本特集では,認知症の原病となりうる疾患がどの程度の頻度で認知症をきたすかを示したうえで,誤認されやすい他の疾患との鑑別点や確定診断のポイントを紹介する。適切な治療によって認知機能を改善するヒントを探りたい。
雑誌目次
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩68巻4号
2016年04月発行
雑誌目次
増大特集 治せる認知症
扉 フリーアクセス
ページ範囲:P.306 - P.307
神経梅毒と認知症
著者: 加藤博子 , 安藤哲朗
ページ範囲:P.309 - P.316
神経梅毒はペニシリン治療が確立されて大きく減少したものの,近年は増加傾向にある。実質型神経梅毒である進行麻痺は記憶障害,理解力・判断力の低下,異常行動など認知症症状をきたす疾患の1つであり,的確に診断,治療を行えば完治も可能な疾患であるためアルツハイマー病などの神経変性疾患による認知症との鑑別が重要である。神経梅毒の疫学,診断,治療を概説し,自験例を提示する。
細菌性髄膜炎および脳炎における認知機能障害
著者: 亀井聡
ページ範囲:P.317 - P.327
細菌性髄膜炎や脳炎は神経学的な緊急対応を要する疾患である。これらの疾患では急性の認知機能障害で発症する場合がある。また,後遺症として認知症を含む各種認知機能障害を高頻度に認める。したがって,急性の認知機能障害を認めた場合,これらの疾患も念頭に置いて対応すること,後遺症としての認知機能障害を可能な限り回避するために,急性期に適切な治療対応をすることが極めて重要である。本論では細菌性髄膜炎,単純ヘルペス脳炎,ヒトヘルペス6型脳炎,および抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体脳炎について概説する。
中枢神経系にみられる真菌感染症と認知症
著者: 森田昭彦 , 石原正樹 , 金野倫子
ページ範囲:P.329 - P.339
真菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎などの急性髄膜炎と比較し,より潜行性の経過をたどることから,ときに認知症との鑑別を要する。真菌性髄膜炎の多くはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症や血液疾患などの基礎疾患を有する患者にみられるが,クリプトコッカス症やコクシジオイデス症は健常者においてもみられる。真菌性髄膜炎は早期診断,早期治療がなされなければ転帰不良となることから,臨床家は決して見逃してはならない。
自己免疫性脳炎と認知症
著者: 渡邊修
ページ範囲:P.341 - P.350
神経細胞膜表面抗原に対する自己抗体により,認知機能障害が起こる。代表的なものは抗VGKC複合体抗体により生ずる脳炎・脳症である。典型例では,一側顔面上肢に同期して起こる特異な不随意運動が先行し,高頻度に低ナトリウム血症を合併する。これらを伴わず,3〜6カ月の経過で,前頭側頭葉型認知症やクロイツフェルト・ヤコプ病に酷似した経過をたどる非典型例もある。免疫療法で治療可能であり注意を要する。
神経好中球病と認知症
著者: 久永欣哉
ページ範囲:P.353 - P.364
神経好中球病は神経ベーチェット病と神経スウィート病を含む包括的な疾患概念で,口腔粘膜の細菌感染やそれに続くサイトカインの上昇などが誘因となった好中球の過剰な機能亢進によって異所性に脳炎や髄膜炎などの神経系炎症性病変が引き起こされる病態である。HLA-B51,B54,Cw1などの直接的な関与が示唆される。認知機能障害が出現することも多いが免疫療法により症状を軽減することができ,治療可能な認知症の1つと考えられる。
中枢神経系ループスによる神経認知障害
著者: 西村勝治
ページ範囲:P.365 - P.373
全身性エリテマトーデス(SLE)による神経精神病変(NPSLE)はSLE患者の約半数に出現し,予後不良と関連している。このうち認知症との鑑別が問題となるのは急性錯乱状態と認知機能障害の2つの神経認知障害である。NPSLEは疾患特異的な指標に乏しく,診断のためのゴールドスタンダードは存在しないため,臨床症状,血液および髄液検査所見,脳波,脳イメージング,免疫学的マーカーに基づき総合的に診断する。
多発性硬化症と認知症
著者: 新野正明 , 宮﨑雄生
ページ範囲:P.375 - P.381
多発性硬化症(MS)における症状としては身体障害が注目されがちであるが,認知機能障害を呈することは稀ではない。ただ,MSにおいて障害されやすい認知機能が,主に注意・集中・情報処理などのため,一般的な認知症スクリーニング検査では評価しにくい。本論では,MSにおける認知機能障害の特徴,それを評価するためのバッテリー,治療の現状などを概説する。
脳悪性リンパ腫と認知症
著者: 水谷真之 , 水谷智彦
ページ範囲:P.383 - P.390
急性・亜急性の進行性認知機能障害を呈する患者では,悪性リンパ腫を鑑別に挙げる必要がある。本稿では,主に,中枢神経系原発リンパ腫,血管内リンパ腫症,全身性リンパ腫の中枢神経浸潤・再発について概説した。悪性リンパ腫の治療としては,化学療法,化学療法とリツキシマブ併用療法,放射線治療があり,悪性リンパ腫の種類によって治療法が多少異なるものの有効な治療効果を示すので,早期発見・早期治療が重要である。
傍腫瘍性神経症候群における認知症
著者: 田中惠子
ページ範囲:P.391 - P.398
中枢神経系に生じる傍腫瘍性神経症候群では,辺縁系脳炎型が多い。症状は急性・亜急性に進行し,運動失調や感覚障害などの身体症状を伴うことから,認知症として診断される例は少ないが,発症初期に意欲低下,うつ,記憶障害が目立つ場合があり,認知症と診断される例もある。神経症候は腫瘍の治療や免疫療法で改善が期待され,辺縁系脳炎症候を呈する場合は本症の可能性を考えて,自己抗体および腫瘍の検索と早期の免疫療法を考慮する。
内分泌機能異常に伴う認知症
著者: 松永晶子 , 米田誠
ページ範囲:P.399 - P.405
認知症をきたしうる内分泌機能異常は,下垂体,甲状腺,副甲状腺,副腎皮質,膵内分泌系と多岐にわたる。記銘力障害などの認知症そのものは,アルツハイマー病と見分けがつかないことが多いが,全身所見,神経随伴症状や画像・血液/尿検査異常などにより診断することが可能である。いずれも内分泌機能異常に対する適切な治療により認知症が改善する可能性が高く,日常診療において見逃してはならない。
ビタミンB12・葉酸欠乏と認知症
著者: 吉澤利弘
ページ範囲:P.407 - P.420
「治せる認知症」の原因としてビタミン欠乏は頻度は稀ながら重要な課題である。とりわけ高齢者の認知症診療ではビタミンB12欠乏が原因と考えられる症例に遭遇する頻度が高い。一方,葉酸はビタミンB12と代謝経路上密接な関係を有し,その欠乏とビタミンB12欠乏の間には共通点も多い。したがって本論では,ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏に焦点を絞り,これらの欠乏による認知症を診療するうえで必要な情報を概説する。
薬物による認知機能障害
著者: 篠原もえ子 , 山田正仁
ページ範囲:P.421 - P.428
高齢者では薬物による認知機能障害が生じやすい。せん妄や認知症は薬物の毒性により生じることが知られており,特に抗コリン作用の強い薬物は急性,あるいは慢性の認知機能障害の原因となる。向精神薬,抗うつ薬,抗てんかん薬もせん妄や認知症をきたしやすい。高齢者に対しては副作用の少ない薬物を選択して慎重に処方量の調整を行う,常に副作用の発現に注意を払うなど,薬物による認知機能障害の予防と早期発見が重要である。
特発性正常圧水頭症の診断,治療の現況
著者: 数井裕光
ページ範囲:P.429 - P.440
特発性正常圧水頭症(iNPH)は,一般高齢者の1〜3%に存在する頻度の高い疾患である。脳室拡大に加えて,シルヴィウス裂の拡大と高位円蓋部/正中部のくも膜下腔の狭小化を認めるiNPHはDESHと呼ばれ,頭部MRI冠状断像で発見しやすく,かつシャント術により60〜70%という高い確率で自立度を改善させることができる。さらにわが国では,脳に損傷を与えないLPシャント術が多く行われるようになっている。
血管性認知症は「治せる認知症」か
著者: 森悦朗
ページ範囲:P.441 - P.450
血管性認知症は,脳血管障害が原因で脳が損傷され認知症に至った状態を指す包括的な表現である。本論では予防と治療に力点を置いて,血管性認知症の概念を整理していく。血管性認知症は,その原因となる脳血管障害の確立された一次予防法,二次予防法があるという意味において根本的治療法があり,概念的には予防可能で,進行を抑えられる。一方,アルツハイマー病とは逆に,対症療法すなわち認知障害やBPSDに対する治療法の開発は遅れている。コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンは,血管性認知症にも効果量は小さいものの有効なようであるが,臨床的な価値には疑問が残る。リハビリテーションやトレーニングプログラムは有望であるが,エビデンスは弱い。
非痙攣性てんかん重積状態
著者: 溝渕雅広
ページ範囲:P.451 - P.462
非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)は,痙攣を伴わないてんかん重積状態(SE)である。頻度は年間10〜20人/10万人で,SEの半分はNCSEである。NCSEは①欠神発作SE,②意識障害を伴う焦点性発作SE(複雑部分発作SE),③高齢初発のNCSE,④急性脳障害のNCSE,がある。診断には脳波検査が必須であるが,持続脳波モニタリングを行うと診断率が向上する。MRIのASL法やSPECTにより局所脳血流の増加を認める。変動する認知障害症例ではNCSEの鑑別が必要である。
アルツハイマー病根本治療薬の開発—治せる認知症を目指して
著者: 秋山治彦
ページ範囲:P.463 - P.472
アルツハイマー病の根本治療薬開発においては,認知症が出現する前に発見し,その段階で病理プロセスを止めて認知症に至らないようにすることが求められる。PETを用いたアミロイドやタウのイメージング,脳脊髄液バイオマーカーなどの進歩により発症前診断は実現したが,そのプレクリニカル期における病態修飾薬の治験を繰り返し行い,多数の候補薬をスクリーニングして目標を達成するためには,効率のよい参加者リクルートのしくみが求められる。
総説
記憶を正しく思い出すための脳のしくみ
著者: 竹田真己
ページ範囲:P.473 - P.477
脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究の結果から,複数の記憶システムの分類化と関連脳領域について理解が深められてきた。本稿では,特に長期記憶に分類される意味記憶について,近年急速に進展している脳機能イメージング法と電気生理学的手法を用いた研究を紹介し,記憶想起における脳領域間・脳領域内神経回路の最新の知見を紹介する。
原著
炎症反応を伴った進行性多巣性白質脳症—免疫不全の原因の多様性と病理所見
著者: 宍戸-原由紀子 , 内原俊記 , 三條伸夫
ページ範囲:P.479 - P.488
進行性多巣性白質脳症(PML)は,宿主の免疫低下に伴いJCウイルスが再活性化して起こる脱髄脳症である。臨床的に免疫低下の原因が不明瞭で,髄液ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でウイルス陰性でもなお,画像上PMLの可能性を否定できず脳生検を施行する場合がある。こうした症例では,病理診断の指標となる典型的な核内ウイルス封入体を有する細胞に乏しく,高度な炎症細胞浸潤を伴う場合がある。JCウイルスに対する宿主免疫応答が保たれている状態と考えられ,予後は良好である。本稿では,炎症反応を伴ったPMLについて,近年問題となっている免疫再構築症候群も含め,概説する。
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バックナンバーのご案内 フリーアクセス
ページ範囲:P.305 - P.305
書評 「見逃し症例から学ぶ 神経症状の“診”極めかた」—平山幹生【著】 フリーアクセス
著者: 髙橋昭
ページ範囲:P.328 - P.328
「こんな本があったら」と,かねて願っていた本が出版された。勘違い,手落ち,不手際,不覚,思い込み,などさまざまな誤りは,神ならぬ人にとって避けて通れない性である。しかし,医療には,誤りは許されず,細心の注意と配慮が求められる。
誤り(誤診)の原因は,患者側にある場合と診察者側にある場合とがある。本書の序論に相当する「誤診(診断エラー)の原因と対策」の章では,原因を①無過失エラー,②システム関連エラー,③認知エラーの3種に類型化し,さらにそれらを細分した分類を引用し,本書で扱われている各症例の誤診原因をこの分類と照合させている。本序論は必読の価値がある。
お知らせ 第21回日本病態プロテアーゼ学会学術集会 フリーアクセス
ページ範囲:P.352 - P.352
次号予告 フリーアクセス
ページ範囲:P.373 - P.373
お知らせ 第27回日本末梢神経学会学術集会 フリーアクセス
ページ範囲:P.381 - P.381
書評 「臨床てんかん学」—兼本浩祐,丸 栄一,小国弘量,池田昭夫,川合謙介【編】 フリーアクセス
著者: 田中達也
ページ範囲:P.406 - P.406
てんかんは,2000年以上の前から難治の病として知られており,根本的な治療法の模索が現代までも続いている極めて特殊な病態でもある。世界の人口は約72億7,000万人と報告されている(「世界人口白書2014」より)。人口の約0.8%がてんかんに罹患していることから,全世界には,約5,810万人以上のてんかん患者がいることになる。てんかんは治療費の面からも,各国の行政上の政策としても,非常に重要な課題と考えられている。
日本の現在の人口は1億2,000万人強となり,約100万人の患者が推定されているが,80%以上の症例では,きちんとした治療により発作はコントロールされており,通常の社会生活が十分に可能である。しかし,てんかんの大きな問題点は,偏見である。このため,学校生活,雇用,人間関係にさまざまな問題があり,社会的な弱者に対しての,法制度の整備も十分とは言えない状況にある。2011年と2012年に起きた,てんかん患者による悲惨な交通事故は,てんかん治療の社会的な問題の複雑さ,てんかん治療の重要性を再認識させられた。しかし,一面では,法制度整備の盲点を浮かび上がらせたとも考えられる。
書評 「《日本医師会生涯教育シリーズ》Electrocardiography A to Z 心電図のリズムと波を見極める」—日本医師会【編・発行】 磯部光章,奥村 謙【監修】 清水 渉,村川裕二,弓倉 整【編】 合屋雅彦,山根禎一【編集協力】 フリーアクセス
著者: 相澤義房
ページ範囲:P.478 - P.478
このたび,磯部光章先生,奥村謙先生の監修による,『Electrocardiography A to Z—心電図のリズムと波を見極める』が刊行された。本書は日本医師会企画による第一線の臨床医に向けた循環器領域のシリーズ『心電図のABC』のいわば改訂版とも言えるものである。
「監修・編集のことば」にあるように,心電図や不整脈のわかりやすい入門書であると同時に,最近の不整脈治療の進歩が理解できるように企画されている。その結果,非専門医であっても,心電図と不整脈を自ら診断し,臨床的意義を再確認できるとともに,最新治療との関わりを確認することができる。また退屈になりがちな心電図の記録法や波形の成り立ちの記述も,カラーで見やすく,簡潔かつ十分に内容のある口絵としてまとめられている。このカラー口絵と第I章で,心電図の基本的知識が十分に身につく。第Ⅱ章では心電図や不整脈診断における一般的な流れが示されている。このようなアプローチは,心電図や不整脈診断や判読の基本で,その流れの先にはおのずと正しい診断があると言える。第Ⅲ章以下,異常所見や不整脈があった場合,その病態やメカニズムはどうなっているのか,どのような治療がありかつ必要とされるかも述べられており,大変に実用的でもある。
書評 「戦略としての医療面接術 こうすればコミュニケーション能力は確実に向上する」—児玉知之【著】 フリーアクセス
著者: 新城名保美
ページ範囲:P.489 - P.489
『戦略としての医療面接術』のタイトル通り,医療面接の著作です。しかしながら,従来の「医療面接」をテーマに扱った書籍とは異なり,著者自身の実際の経験に基づき深く洞察されており,通読してなるほど,そういう切り口もあったか,と深く感心しました。われわれが普段の臨床で応対する「患者・その家族」—その個性や社会環境などの背景要素の多様性に注目しています。
「うまくいかない医療面接」を経験した際,医師としては,「あの患者・患者家族は変だから……」と自分を含め他の医療スタッフに説明づけようとしがちですが,うまくいかなかった医療面接は,われわれが医療面接上必ず確認しておかなければならなかった手順や態度を怠ったことが原因であったかもしれない。この著作はそれを実臨床で陥りがちな,さまざまなシチュエーションを提示することで,抽象論に終始することなく具体的に提示してくれています。通読後,今まで自分が経験してきた医療面接の失敗例を思い返しても,本書にて指摘されている「やってはいけないこと」がいくつも当てはまり,内省した次第です。
今月の表紙 フリーアクセス
著者: 河村満 , 岡本保 , 菊池雷太
ページ範囲:P.490 - P.491
4人の男性が横向きに並んでいます。向かって左の3人は,腰をかがめ,しかし顔は前方を向いています。3人はいずれも兵士で,右端の健常者は,比較のために両手を垂らし腰を曲げています。この組合せ写真に確かな主張を感じます。
まず,この写真からは複数の患者が同時期に存在したことがわかります。この頃のサルペトリエール病院には,多くの体幹屈曲(camptocormie)患者がいて,この論文の著者であるRosanoff-Saloffは同時に複数の患者を診ていたと書いています1)。
「読者からの手紙」募集 フリーアクセス
ページ範囲:P.493 - P.493
あとがき/読者アンケート用紙 フリーアクセス
著者: 森啓
ページ範囲:P.494 - P.494
本特集は,わが同僚編集委員の手による認知症特集である。神経疾患の教科書を上梓されただけあって,その視野は広く,漏れがない。特集の域を越えて認知症の教科書の様相すら呈していると言えよう。ここで挙げられている認知症は治せる認知症であるので,治らない認知症についての特集も早晩必要である。後日の楽しみである。両者を合わせて,認知症のバイブルとなるのではないか。
実は当編集子も認知症の特集を2度ほど提案してきたが,編集会議で遠慮容赦なく却下された。長らく認知症に携わってきた私への鉄槌を喰わせるかのように思いやりや配慮のかけらは微塵もない。わが提案が葬り去られた編集会議の夜は,なかなか寝つけない。練りに練って,友人とともに熟慮した企画が,素人ではないが認知症から距離のある脳神経の専門家集団にとって魅力に欠けたようである。自分の世界に固執する限り,なかなか敗因を探すことは難しいので,長らく悶々としてきた。自分を見捨てるところから見直す必要があることはわかっているが,熟練した精神科医と異なり私のような凡人が,そのような柔軟な思考能力を持ち合わせていないことは,私自身が一番よく知っている。
基本情報
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バックナンバー
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76巻11号(2024年11月発行)
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76巻10号(2024年10月発行)
特集 どうして効くんだろう
76巻9号(2024年9月発行)
特集 治療可能な認知症としてのアルツハイマー病
76巻8号(2024年8月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である—revisited
76巻7号(2024年7月発行)
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76巻6号(2024年6月発行)
特集 注意と注意障害
76巻5号(2024年5月発行)
増大特集 末梢神経・筋肉の自己免疫性・炎症性疾患ハンドブック
76巻4号(2024年4月発行)
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76巻3号(2024年3月発行)
特集 きちんと説明ができますか?
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75巻11号(2023年11月発行)
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75巻10号(2023年10月発行)
特集 メタバースへの招待
75巻9号(2023年9月発行)
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75巻8号(2023年8月発行)
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75巻6号(2023年6月発行)
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71巻5号(2019年5月発行)
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71巻4号(2019年4月発行)
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71巻2号(2019年2月発行)
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71巻1号(2019年1月発行)
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70巻12号(2018年12月発行)
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70巻11号(2018年11月発行)
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70巻10号(2018年10月発行)
特集 「左脳と右脳」の現在
70巻9号(2018年9月発行)
特集 脳神経内科診療に役立つ精神科の知識
70巻8号(2018年8月発行)
特集 レヴィ小体型認知症の新知見
70巻7号(2018年7月発行)
増大特集 記憶と忘却に関わる脳のしくみ—分子機構から健忘の症候まで
70巻6号(2018年6月発行)
特集 芸術を生み出す脳
70巻5号(2018年5月発行)
特集 非アルツハイマー型認知症の病理学
70巻4号(2018年4月発行)
増大特集 Antibody Update 2018
70巻3号(2018年3月発行)
特集 『認知症疾患診療ガイドライン2017』を読み解く
70巻2号(2018年2月発行)
特集 知っておきたい神経感染症
70巻1号(2018年1月発行)
特集 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の今
69巻12号(2017年12月発行)
特集 運動異常症をみる—Web動画付録つき
69巻11号(2017年11月発行)
増大特集 こころの時間学の未来
69巻10号(2017年10月発行)
特集 成人てんかん—知っておきたい6つのトピック
69巻9号(2017年9月発行)
特集 ミクログリアと精神・神経疾患
69巻8号(2017年8月発行)
特集 遺伝性脊髄小脳失調症の病態と治療展望
69巻7号(2017年7月発行)
増大特集 あしたのアルツハイマー病治療
69巻6号(2017年6月発行)
特集 局在病変の神経心理学
69巻5号(2017年5月発行)
特集 Voxel-Based Morphometry—体積からわかること
69巻4号(2017年4月発行)
増大特集 ブロードマン領野の現在地
69巻3号(2017年3月発行)
特集 磁気刺激の新たな展開
69巻2号(2017年2月発行)
特集 Stroke-Like Diseases—鑑別時に注意を要する5病態
69巻1号(2017年1月発行)
特集 近年注目されている白質脳症
68巻12号(2016年12月発行)
特集 炎症性神経・筋疾患の新たな展開
68巻11号(2016年11月発行)
増大特集 連合野ハンドブック
68巻10号(2016年10月発行)
特集 アディクション—行動の嗜癖
68巻9号(2016年9月発行)
特集 自己免疫性脳炎・脳症
68巻8号(2016年8月発行)
特集 こころと汗
68巻7号(2016年7月発行)
増大特集 認知症の危険因子と防御因子
68巻6号(2016年6月発行)
特集 脳とフローラ
68巻5号(2016年5月発行)
特集 手の症候学—生理学・解剖学からみた新知見
68巻4号(2016年4月発行)
増大特集 治せる認知症
68巻3号(2016年3月発行)
特集 末梢神経の血管炎
68巻2号(2016年2月発行)
特集 筋疾患の認知機能障害
68巻1号(2016年1月発行)
特集 シャルコー・マリー・トゥース病
67巻12号(2015年12月発行)
特集 視床と高次脳機能
67巻11号(2015年11月発行)
増大特集 ギラン・バレー症候群のすべて—100年の軌跡
67巻10号(2015年10月発行)
特集 非・日常生活の脳科学
67巻9号(2015年9月発行)
特集 酵素補充療法
67巻8号(2015年8月発行)
特集 神経難病の終末期医療
67巻7号(2015年7月発行)
増大特集 神経疾患と感染症update
67巻6号(2015年6月発行)
特集 脳と「質感」
67巻5号(2015年5月発行)
特集 NCSE(非痙攣性てんかん重積状態)
67巻4号(2015年4月発行)
増大特集 大脳皮質vs.大脳白質
67巻3号(2015年3月発行)
特集 中枢神経の血管炎
67巻2号(2015年2月発行)
特集 「食べる」を考える
67巻1号(2015年1月発行)
特集 ニューロトキシコロジー
66巻12号(2014年12月発行)
特集 Orthopaedic Neurology—神経内科と整形外科の狭間で
66巻11号(2014年11月発行)
増大特集 神経症候学は神経学の“魂”である
66巻10号(2014年10月発行)
特集 分子を撃つ 神経疾患治療の新しい水平線
66巻9号(2014年9月発行)
特集 痙縮の臨床神経学
66巻8号(2014年8月発行)
特集 神経系の悪性リンパ腫update
66巻7号(2014年7月発行)
増大特集 アミロイド関連神経疾患のすべて―封入体筋炎からアルツハイマー病まで
66巻6号(2014年6月発行)
特集 ミラーニューロン
66巻5号(2014年5月発行)
特集 アセチルコリンと神経疾患―100年目の現在地
66巻4号(2014年4月発行)
増大特集 タッチ・ビジョン・アクション
66巻3号(2014年3月発行)
特集 神経筋疾患の超音波診断
66巻2号(2014年2月発行)
特集 糖尿病の神経学revisited
66巻1号(2014年1月発行)
特集 日常生活の脳科学
65巻12号(2013年12月発行)
特集 プロテイノパチーの神経病理学
65巻11号(2013年11月発行)
増大特集 Close Encounters―臨床神経学と臨床免疫学の遭遇と未来
65巻10号(2013年10月発行)
特集 神経系の発達メカニズム―最近の話題
65巻9号(2013年9月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である―現状と展望
65巻8号(2013年8月発行)
特集 こころの時間学―現在・過去・未来の起源を求めて
65巻7号(2013年7月発行)
増大特集 あしたの脳梗塞
65巻6号(2013年6月発行)
特集 見せる・仕分ける―脳機能解析の新手法
65巻5号(2013年5月発行)
特集 てんかん―新しいパースペクティブ
65巻4号(2013年4月発行)
増大特集 Antibody Update
65巻3号(2013年3月発行)
特集 次世代シーケンサーによる神経変性疾患の解析と展望
65巻2号(2013年2月発行)
特集 血液脳関門研究の進歩
65巻1号(2013年1月発行)
特集 Corticobasal Syndrome
64巻12号(2012年12月発行)
特集 The Border-Land of Dementia
64巻11号(2012年11月発行)
増大特集 痛みの神経学―末梢神経から脳まで
64巻10号(2012年10月発行)
特集 辺縁系をめぐって
64巻9号(2012年9月発行)
特集 高次脳機能イメージングの脳科学への新展開
64巻8号(2012年8月発行)
特集 線条体の基礎と臨床
64巻7号(2012年7月発行)
増大特集 顔認知の脳内機構
64巻6号(2012年6月発行)
特集 睡眠と覚醒の脳内機構
64巻5号(2012年5月発行)
特集 神経疾患のバイオマーカー
64巻4号(2012年4月発行)
増大特集 パーキンソン病の新しい側面
64巻3号(2012年3月発行)
特集 アカデミアから新規治療の実現へ―トランスレーショナルリサーチの現状
64巻2号(2012年2月発行)
特集 生物学的精神医学の進歩
64巻1号(2012年1月発行)
特集 iPS細胞と神経疾患
63巻12号(2011年12月発行)
特集 神経心理学と画像解析の融合
63巻11号(2011年11月発行)
増大特集 筋疾患update
63巻10号(2011年10月発行)
特集 緩徐進行性高次脳機能障害の病態
63巻9号(2011年9月発行)
特集 脳卒中の最新画像診断
63巻8号(2011年8月発行)
特集 日本人の発見した神経症候
63巻7号(2011年7月発行)
増大特集 神経筋接合部―基礎から臨床まで
63巻6号(2011年6月発行)
特集 ニューロパチー
63巻5号(2011年5月発行)
特集 神経系と血管内リンパ腫
63巻4号(2011年4月発行)
増大特集 てんかんの新しい治療
63巻3号(2011年3月発行)
特集 サイバーナイフ治療
63巻2号(2011年2月発行)
特集 続・日本人の発見した神経疾患
63巻1号(2011年1月発行)
特集 血管腫
62巻12号(2010年12月発行)
特集 頸部頸動脈狭窄症の診断と治療
62巻11号(2010年11月発行)
増大特集 歩行とその異常
62巻10号(2010年10月発行)
特集 ブレインバンク
62巻9号(2010年9月発行)
特集 視神経脊髄炎(NMO)update
62巻8号(2010年8月発行)
特集 辺縁系脳炎
62巻7号(2010年7月発行)
増大特集 アルツハイマー病―研究と診療の進歩
62巻6号(2010年6月発行)
特集 改正臓器移植法の問題点とその対応
62巻5号(2010年5月発行)
特集 神経画像のピットフォール―見落としと読み過ぎ
62巻4号(2010年4月発行)
特集 傍腫瘍性神経筋疾患update
62巻3号(2010年3月発行)
特集 神経回路解析法の最近の進歩
62巻2号(2010年2月発行)
特集 ニューロリハビリテーションの最前線
62巻1号(2010年1月発行)
特集 神経救急
61巻12号(2009年12月発行)
特集 Somatotopy再考
61巻11号(2009年11月発行)
特集 前頭側頭葉変性症
61巻10号(2009年10月発行)
特集 片頭痛の予防療法
61巻9号(2009年9月発行)
特集 脳血管障害治療の進歩
61巻8号(2009年8月発行)
特集 神経・筋疾患の分子標的治療
61巻7号(2009年7月発行)
特集 脳腫瘍研究の最前線―遺伝子解析から治療まで
61巻6号(2009年6月発行)
特集 脊椎・脊髄外科の最近の進歩
61巻5号(2009年5月発行)
特集 Restless legs syndrome
61巻4号(2009年4月発行)
特集 大脳基底核―分子基盤から臨床まで
61巻3号(2009年3月発行)
特集 Microneurography(微小神経電図法)の臨床応用
61巻2号(2009年2月発行)
特集 神経系の再興感染症と輸入感染症
61巻1号(2009年1月発行)
特集 脳神経倫理
60巻12号(2008年12月発行)
特集 痙縮
60巻11号(2008年11月発行)
特集 脳卒中と遺伝子
60巻10号(2008年10月発行)
特集 若年者の脳卒中
60巻9号(2008年9月発行)
特集 知・情・意の神経学
60巻8号(2008年8月発行)
特集 脳硬膜動静脈瘻
60巻7号(2008年7月発行)
増大特集 学習と記憶――基礎と臨床
60巻6号(2008年6月発行)
特集 Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)
60巻5号(2008年5月発行)
特集 「痛み」の研究と治療の最前線
60巻4号(2008年4月発行)
増大特集 神経系の発生とその異常
60巻3号(2008年3月発行)
特集 特発性正常圧水頭症(iNPH)―最近の話題
60巻2号(2008年2月発行)
特集 がん治療と神経障害
60巻1号(2008年1月発行)
特集 日本人の発見した神経疾患
59巻12号(2007年12月発行)
特集 損傷神経の再生―温存的治療法の開発
59巻11号(2007年11月発行)
特集 手根管症候群をめぐって
59巻10号(2007年10月発行)
増大特集 ALS―研究と診療の進歩
59巻9号(2007年9月発行)
特集 パーキンソン病の認知機能障害
59巻8号(2007年8月発行)
特集 パーキンソン病の分子遺伝学―最近の知見
59巻7号(2007年7月発行)
増大特集 情報伝達処理におけるグリアの機能と異常
59巻6号(2007年6月発行)
特集 職業性神経障害の新しい展開
59巻5号(2007年5月発行)
特集 脳画像最前線
59巻4号(2007年4月発行)
増大特集 最近注目される脳神経疾患治療の研究
59巻3号(2007年3月発行)
特集 分子イメージング
59巻2号(2007年2月発行)
特集 進行性多巣性白質脳症の新しい展開―PMLが治る時代へ向けて
59巻1号(2007年1月発行)
特集 高次視覚研究の最近の進歩