文献詳細
増大特集 認知症の危険因子と防御因子
【鼎談】リスク征圧で認知症は防げるか?—非薬物的な認知症治療の展望
著者: 秋下雅弘1 秋山治彦2 三村將3
所属機関: 1東京大学医学部附属病院老年病科 2横浜市立脳卒中・神経脊椎センター臨床研究部 3慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
ページ範囲:P.693 - P.702
文献概要
三村 本日は「非薬物的な認知症治療の展望」というテーマでお話しいただきたいと思っています。
本特集の中では,それぞれの認知症に対する危険因子,あるいは予防的に働く因子について,かなり詳細な各論をいただいておりますので,この鼎談ではざっくばらんに全般的なお話,あるいは現状を踏まえて今後の展望をお話しいただければと思っております。
この鼎談では秋下先生からは老年病学の立場からお話をいただき,秋山先生には神経内科あるいは神経病理といった立場からお話をいただくということで,私自身は精神神経科の立場でお話をさせていただきます。
認知症は当然ながら診療科を越えて,いま,世界的にも最も重大な問題といえると思います。また医療にとどまらず,社会全体に対してさまざまな問題点を投げかけている症候群です。
社会の高齢化に伴って認知症のリスクは当然ながら上がってきます。高齢化が進んでいる日本で健常高齢者がいかにして認知症の発症を防ぐことができるか,あるいは先延ばしにしていくことができるかといったことについて現段階でわかっている知見をお話しいただきたいと思っています。
また,今回,危険因子として挙がったものを,いかに防ぐかという視点を持つことで,場合によっては治療できるもの,あるいは生活習慣の中で気をつけることができるものもあり,それが防御因子になろうかと思います。一方で,危険因子の中にはもう防ぎようがないような,生来持っている素因もあります。その場合,その危険因子にどのように対峙していったらよいのかというところも議論していければと思います。
参考文献
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