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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩68巻7号

2016年07月発行

読者からの手紙

低血糖脳症の画像所見における脳形態変化の重要性

著者: 益澤秀明1

所属機関: 1河北リハビリテーション病院

ページ範囲:P.859 - P.859

文献概要

 本誌4月号特集で松永ら1)が呈示した低血糖脳症症例の頭部MRI(文献1のFig. 2)では皮質をかたどるリボン状の高信号が目立ちます。当該症例の低血糖原因・撮像時期・転帰は詳らかではありませんが,診断につながる貴重な画像所見です。

 低血糖脳症では高次脳機能障害2,3),認知症,さらには遷延性昏睡となります。脳画像所見でリボン状高信号を経て3カ月後に高度の脳室拡大・脳萎縮に至った遷延性昏睡症例が報告されています4)。脳質拡大の機序としては髄鞘の崩壊による二次的軸索損傷が主体のびまん性脳損傷と考えられます。同じように髄鞘崩壊をきたす一酸化炭素中毒や蘇生後脳症では,急性期に見られる大脳基底核や海馬などの局在所見よりもびまん性脳損傷による脳質拡大・脳萎縮が認知機能予後と関連しています3)

参考文献

1)松永晶子, 米田 誠: 内分泌機能異常に伴う認知症. Brain Nerve 68: 399-405, 2016
2)益澤秀明: 脳外傷による高次脳機能障害—その特徴と見逃されやすいポイント. No To Shinkei 55: 933-945, 2003
3)益澤秀明: 交通事故で多発する“脳外傷による高次脳機能障害”とは—見過ごしてはならない脳画像所見と臨床症状のすべて. 新興医学出版社, 東京, 1988, p88
4)Lee CY, Liou KC, Chen LA: Serial magnetic resonance imaging changes in hypoglycemic encephalopathy. Acta Neurol Taiwan 22: 22-25, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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