文献詳細
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書評 「『BRAIN and NERVE』2017年4月号増大特集 ブロードマン領野の現在地」 フリーアクセス
著者: 山鳥重1
所属機関: 1前神戸学院大学
ページ範囲:P.87 - P.87
文献概要
ブロードマンの領野と聞けば,医学や心理学や脳科学を勉強した人なら,たぶん誰もが,「あ,あれか」とピンと来るのではなかろうか。脳の表面図に解剖部位名の代わりに番号が打ってある,あれである。ブロードマンは,ヒトを含めて全部で8種の哺乳動物の大脳皮質神経細胞の分布状態を調べあげ,その6層構造の違いによって大脳皮質を52の領野に分け,それぞれに1から52までの番号を振った。細胞構築の違いに基づいたこの領野番号は,その後,脳科学の共通語となって今日に至っている。ブロードマンは,ヒトおよび他の哺乳類で,皮質層構造が共通する部位に共通の番号を振っているので,ヒトと哺乳類の比較研究には,今も欠かせない便利な地図なのである。筆者も現役時代,机の引き出しにいつもブロードマン脳地図をしのばせて,1日に何度も引っ張り出しては,参照していたのを思い出す。
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