icon fsr

文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩71巻11号

2019年11月発行

症例報告

デュプュイトラン拘縮を合併した遠位型頸椎症性筋萎縮症の1例

著者: 伏屋公晴1 吉倉延亮1 大野陽哉1 竹腰顕1 木村暁夫1 下畑享良1

所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野

ページ範囲:P.1303 - P.1307

文献概要

左手指の伸展障害を呈した75歳,男性の症例を経験した。デュプュイトラン拘縮により,手指の伸展制限を認めたが,それのみでは説明がつかない母指の外転や手関節伸展の障害を認めた。筋力低下の分布からは,C7,C8,Th1髄節に筋力低下があり,針筋電図でも同部位に脱神経所見を認め,遠位型頸椎症性筋萎縮症の合併と診断した。デュプュイトラン拘縮と遠位型頸椎症性筋萎縮症は,ともに手指の伸展が障害される疾患で症状が類似していることから,両者が合併した場合,いずれかを見落とす可能性がある。デュプュイトラン拘縮では手掌の数珠状の硬結が,遠位型頸椎症性筋萎縮症では髄節性の筋力低下や,針筋電図検査による障害部位の分布が診断に有用である。

参考文献

1)Benson LS, Williams CS, Kahle M: Dupuytren's contracture. J Am Acad Orthop Surg 6: 24-35, 1998
2)Liss GM, Stock SR: Can Dupuytren's contracture be work-related?: review of the evidence. Am J Ind Med 29: 521-532, 1996
3)椙山秀昭, 塚本克彦, 山田宏司, 島田眞路: デュプイトラン拘縮の3例. 皮膚39: 311-314, 1997
4)Hurst LC, Badalamente MA, Hentz VR, Hotchkiss RN, Kaplan FT, et al: Injectable collagenase clostridium histolyticum for Dupuytren's contracture. N Engl J Med 361: 968-979, 2009
5)亀山 隆: 頸椎症性筋萎縮症の臨床特徴と病態. 脊椎脊髄15: 513-520, 2002
6)亀山 隆: 頸椎症性筋萎縮症. 神経内科77: 15-23, 2012
7)田中靖久: 脊椎脊髄疾患における注目すべき症状 頸部神経根症によるdrop fingers(下垂指). 脊椎脊髄18: 578-583, 2005
8)園生雅弘: 遠位型頸椎症性筋萎縮症. 臨神生43: 99-108, 2015
9)Lee KH, Kim JH, Lee CH, Kim SJ, Jo YH, et al: The epidemiology of Dupuytren's disease in Korea: a nationwide population-based study. J Korean Med Sci 33: e204, 2018[doi: 10.3346/jkms.2018.33.e204]
10)園生雅弘: 頸椎症性筋萎縮症. Brain Nerve 68: 509-519, 2016
11)Mansur HG, Oliveira ER, Gonçalves CB: Epidemiological analysis of patients with Dupuytren's disease. Rev Bras Ortop 53: 10-14, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら