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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩73巻10号

2021年10月発行

連載 スペシャリストが薦める読んでおくべき名著—ニューロサイエンスを志す人のために・2

統合失調症のモデル動物で検証すべきこの疾患の本質とは何か

著者: 加藤忠史1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学

ページ範囲:P.1168 - P.1169

文献概要

 神経科学領域では,最近,精神疾患の動物モデルの研究が盛んになってきた。

 最初のブレークスルーとなったのは,おそらく自閉症のモデルマウス(Nakatani et al, Cell, 2009)だったと思われる。このモデルマウスにおいては,自閉症で最も多く見られる染色体異常である15q11-13をマウスで再現したうえ,行動解析により,当時自閉症の3主徴とされていた,「社会行動の異常」「こだわり」「コミュニケーションの障害」を示した点が画期的であった。現在では,疾患名は自閉スペクトラム症となり,診断基準のまとめ方も,「社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における障害」および「限定された興味」の2つに変わったが,このモデルが疾患の本質を捉えていたことは間違いなく,自閉症という,それまで動物で再現することは難しいと思われた疾患のモデルマウスの作製が可能であるということを示した点で意義があった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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