文献詳細
連載 スペシャリストが薦める読んでおくべき名著—ニューロサイエンスを志す人のために・4
文献概要
はじめに
私は脳神経内科医で,多くの時間を臨床医として過ごしてきました。一方神経学者でもあり,いくつかの大学・大学院で教えた経験もあります。医学部以外の,心理学,言語学,脳科学など広い領域でも講義を行ってきました。また,学会や研究会で行う講演に必要な略歴には,長い間,専門領域として神経心理学,神経症候学と記載してきました。このような立場の神経心理学者として,私がいま最も興味を持っているのは時間認知の脳内機構です。2021年10月に開催された第45回日本神経心理学会学術集会では,「記憶と時間」のシンポジウムで司会を務め,共同演者として講演にも参加しました。また,本誌の特集(73巻12号)では,マルセル・プルースト著の『失われた時を求めて』を題材に,記憶・時間の神経学の誕生について記載しました1)。
これらの研究でも示されているように,私の立場は患者さんの症候を詳しく診る臨床医の観点であり,研究手法は大脳病変の神経症候学の追究です。
このスタンスから読者にお薦めしたいのは平山惠造先生が執筆なさった『神経症候学』です。
私は脳神経内科医で,多くの時間を臨床医として過ごしてきました。一方神経学者でもあり,いくつかの大学・大学院で教えた経験もあります。医学部以外の,心理学,言語学,脳科学など広い領域でも講義を行ってきました。また,学会や研究会で行う講演に必要な略歴には,長い間,専門領域として神経心理学,神経症候学と記載してきました。このような立場の神経心理学者として,私がいま最も興味を持っているのは時間認知の脳内機構です。2021年10月に開催された第45回日本神経心理学会学術集会では,「記憶と時間」のシンポジウムで司会を務め,共同演者として講演にも参加しました。また,本誌の特集(73巻12号)では,マルセル・プルースト著の『失われた時を求めて』を題材に,記憶・時間の神経学の誕生について記載しました1)。
これらの研究でも示されているように,私の立場は患者さんの症候を詳しく診る臨床医の観点であり,研究手法は大脳病変の神経症候学の追究です。
このスタンスから読者にお薦めしたいのは平山惠造先生が執筆なさった『神経症候学』です。
参考文献
1)河村 満, 越智隆太, 二村明徳, 花塚優貴: マルセル・プルースト—『失われた時を求めて』と記憶・時間の神経学の誕生. Brain Nerve 73: 1319-1325, 2021
2)河村 満, 伊藤直樹, 平山惠造: 右同名半盲を伴わない一酸化炭素中毒による非古典型純粋失読. 臨床神経21: 628-636, 1981
掲載誌情報