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雑誌目次

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩74巻5号

2022年05月発行

雑誌目次

増大特集 次の一手—神経筋疾患難治例をどのように治療するか

フリーアクセス

ページ範囲:P.419 - P.419

 神経筋疾患治療は目覚ましい進歩を遂げ,完治,寛解,進行抑制と多様な治療法の中から効果的な手法を選択することができるようになっています。その一方で,標準的な治療が十分に効を奏さない難治例が一定数存在し,主治医の先生方は日々頭を悩まされているのではないでしょうか。本特集では,そのような患者さんに対して,どのように判断し,どのような道筋をつけるかについて,エキスパートの先生方にご自身の思考過程と実践を明らかにしていただきました。

 用いるタイミングや組合せ方,さらに副作用を想定した処方といった薬物治療のストラテジーに加えて,生活指導やリハビリテーション,患者・家族への説明などの効果的な非薬物治療についても,各疾患・症例に応じた解説がなされています。また,闇雲に治療を行うばかりでなく,時には立ち止まって診断を見直すことの重要性が,その鑑別方法とともに示されています。

 本特集が,難治例であっても諦めることなく,患者さんの症状の改善,QOLの向上を目指して苦心されている先生方の一助となれば幸いです。

標準的治療で炎症を十分に抑止できない結核性髄膜炎—治療抵抗性の結核性髄膜炎

著者: 雪竹基弘

ページ範囲:P.421 - P.426

結核性髄膜炎の概説を提示したうえで,標準的治療に抵抗する病態などを取り上げた。具体的には初期悪化,脳結核腫,脳室炎,ヒト免疫不全ウイルス感染症合併の症例に対して,ステロイドパルス療法,イソニアジド髄腔内投与,免疫再構築症候群,薬剤耐性結核などを紹介した。本疾患は比較的稀だが,予後は依然として悪い場合も多く,難治性病態とその対応も把握することが望ましい。

標準的治療で炎症を十分に抑止できない結核性髄膜炎—どのように考え,どのように治療していくか

著者: 安部鉄也 ,   福迫俊弘

ページ範囲:P.427 - P.432

結核性髄膜炎(TBM)は,致死率,後遺症率ともに高く,最重症の結核感染である。治療の遅れが予後に反映されるため,TBMを疑った場合には確定診断を待たずに治療を開始することが重要である。抗結核薬による治療は肺結核に準じ行われるが,標準的治療で炎症を十分に抑止できないTBMに遭遇することは珍しくない。本論では,そのようなTBMに対するアプローチについて実際の症例を基に論じており,日常診療の助けとなれば幸いである。

ステロイドパルス・IVIgで回復が思わしくない抗NMDAR脳炎—積極的免疫療法のエビデンスと実践

著者: 原誠 ,   中嶋秀人

ページ範囲:P.433 - P.442

抗NMDAR脳炎では早期の免疫療法が奏効するものの,国内の診療指針はなく,エビデンスに基づくエキスパートの見解に準拠し治療されている。ステロイドパルスを含むファーストライン治療を開始し,抵抗例には適応外使用となるリツキシマブ(第一選択)やシクロホスファミドパルスを用いたセカンドライン治療をすみやかに導入する。さらに抵抗例ではトシリズマブやボルテゾミブの有効例も報告されている。近年,本症を対象とした国際臨床試験が進行中であり,今後の展開が期待される。

ステロイドパルス・IVIgで回復が思わしくない抗NMDAR脳炎—セカンドライン免疫療法と予後予測

著者: 木村暁夫

ページ範囲:P.443 - P.448

多くの抗NMDAR脳炎患者では,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法,血漿交換療法といったファーストライン免疫療法と,卵巣奇形腫合併例では腫瘍切除により,症状は緩徐に改善する。一方,リツキシマブやシクロホスファミドといったセカンドライン免疫療法の追加が必要となる患者も少なからず存在する。本論では,主にどのような患者に対して,どのタイミングでセカンドライン免疫療法を考慮すべきか,文献とわれわれの治療経験に基づき考察する。

ステロイド抵抗性の中枢神経サルコイドーシス—免疫抑制薬および生物学的製剤の使用

著者: 黒田宙

ページ範囲:P.449 - P.454

神経サルコイドーシスは不十分な治療や治療抵抗性により不可逆性の機能障害をきたす場合が少なくない。副腎皮質ステロイドが神経サルコイドーシスの第一選択薬であり,ステロイド抵抗性の場合には免疫抑制薬や腫瘍壊死因子α(TNF-α)阻害薬が用いられる。免疫抑制薬としてはメトトレキサートが頻用されており,TNF-α阻害薬としてはインフリキシマブの使用報告が多い。本論では上述の薬剤についてエビデンス,症例を踏まえて概説する。

ステロイド抵抗性の中枢神経サルコイドーシス—早期からの多剤併用の必要性

著者: 藤澤美和子 ,   神田隆

ページ範囲:P.455 - P.461

サルコイドーシスの標準治療薬はステロイドであるが,中枢神経サルコイドーシスはステロイド抵抗性で,治療に難渋することが多い。特に水頭症を伴う場合はステロイド単独での寛解は困難である。そのため,早期から免疫抑制薬,TNF-α阻害薬の併用を検討すべきである。高齢患者では,薬の副作用による感染症や臓器障害へ特に注意し,早期から他剤併用により高用量・長期のステロイド使用を避けることが重要である。

耐えられない有痛性ジストニアを伴うパーキンソン病—パーキンソン病の疼痛分類と治療選択

著者: 梶山裕太 ,   望月秀樹

ページ範囲:P.462 - P.467

耐えられない有痛性ジストニアは,パーキンソン病(PD)の経過の中で最も厄介な症状である。どのようにしてその痛みの治療をすればよいのか。本論では疼痛分類を踏まえてジストニア関連の痛みの治療を述べる。Painful bilateral dystonic foot spasmというPDの病初期に認める症状も重要である。PDの治療が早期から開始されているためか,その症状は認められなくなり,最近のPDにおける痛みの分類には含まれていない。PDのジストニアに関連する痛みは多様で,その治療は,それぞれの痛みの原因に合わせて対応しなければならない。PDのオンジストニアやジスキネジア関連の痛みにはL-ドパなど薬剤の減量が,また,早朝のジストニアやオフジストニアには薬剤増量が必要である。難治性ジストニアを治療するためには持続的ドパミン刺激治療,例えばL-ドパ・カルビドパ持続経腸療法なども1つの対応法である。

耐えられない有痛性ジスキネジアを伴うパーキンソン病—標準的治療法とその後のTips

著者: 武田篤

ページ範囲:P.468 - P.473

パーキンソン病の有痛性ジスキネジアの病態には痛みに対する過敏が存在すると考えられ,ジスキネジアの軽減とともにオフの改善が必須となる。L-ドパ少量頻回療法,ドパミンアゴニストやMAOB阻害薬,さらにアマンタジンの併用などは有効である。改善が不十分であれば積極的にdevice-aided therapyの導入も検討する。さらに抗うつ薬や弱オピオイド系鎮痛薬,ベンゾジアゼピンやガバペンチン,ボツリヌス局注,そして運動療法も試みる価値がある。

月14回以下のトリプタン服用では仕事にならない片頭痛—薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛:MOH)

著者: 永田栄一郎

ページ範囲:P.474 - P.478

難治性の頭痛,特に薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛:MOH)は,治療法に大変苦慮することが多い。MOHの治療は,まず,その原因になっている頭痛の種類を同定することが非常に重要である。そのためには,問診が非常に重要になってくる。その後,MOHを起こした患者に対しての教育指導,適切な薬剤選択を行い,個々の患者に合わせた治療を行う。片頭痛がベースに存在する場合は,CGRP関連薬剤も選択肢になる。

月14回以下のトリプタン服用では仕事にならない片頭痛—どのように予防療法を選択するか

著者: 石﨑公郁子 ,   竹島多賀夫

ページ範囲:P.479 - P.484

片頭痛は重度の頭痛発作を認めることが多く,患者のQOLは阻害されている。片頭痛の治療では,発作を頓挫させるための急性期治療は重点的に行われているが,予防療法は適切に導入されていない場合も多い。発作頻度が高く鎮痛薬の使用が多いことは,片頭痛の重症化(慢性化)や薬剤の使用過多による頭痛に発展するリスクとなる。そのため,必要に応じて予防療法を適正に選択していかなければならない。

標準的治療で再発が抑制できない多発性硬化症—難治性MS

著者: 竹内英之

ページ範囲:P.485 - P.489

現在までに日本で承認されている多発性硬化症に対する疾患修飾薬は8種に至り,治療選択の幅は広がっている。その一方で,これらの薬剤を用いても再発を抑制できない多発性硬化症もいまだ経験する。本論では,標準的治療で再発が抑制できない多発性硬化症に対する診断・治療について,自験例を踏まえて概説する。

標準的治療で再発が抑制できない多発性硬化症—再発抑制困難なRRMS

著者: 新野正明

ページ範囲:P.490 - P.495

本邦において承認されている疾患修飾薬は,現在8種類ある。再発抑制効果に違いはあるが,ナタリズマブやオファツムマブは,非常に高い抑制効果を示す。実際,これらの薬剤で再発をコントロールできないケースは多くないため,両剤で再発が抑制できなければ,抗ナタリズマブ抗体のチェックや診断の再考を慎重に行い,多発性硬化症らしくない所見があれば,ステロイドや免疫抑制薬などの検討を行う。

治療介入にもかかわらず進行が抑止できない二次性進行型多発性硬化症—治療抵抗性二次性進行型多発性硬化症

著者: 越智博文

ページ範囲:P.496 - P.504

進行型多発性硬化症(PMS)に対するオクレリズマブとシポニモドの有効性が証明されたことで,PMS治療は新たな時代となった。しかし,これらの薬剤の主たる作用機序は抗炎症作用で,神経変性に対する作用は弱い。本論では,既存の疾患修飾薬の二次性(SPMS)に対する効果を概説し,治療介入にもかかわらず進行が抑制できないSPMSに対する治療法を考えたい。

治療介入にもかかわらず進行が抑止できない二次性進行型多発性硬化症—疾患修飾薬を用いた治療の現状と展望

著者: 大橋高志

ページ範囲:P.505 - P.509

現在,二次性進行型多発性硬化症で有効性と安全性が証明されている疾患修飾薬はシポニモドのみである。しかし,シポニモドの身体機能障害進行の抑制効果は十分とは言えず,進行を抑止できるには至っていない。そのため,疾患活動性を有する比較的早期の段階で再発予防効果の高い疾患修飾薬を使用することが基本的な考え方となる。ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬は,次世代の治療の要として期待されており,臨床試験の結果がまたれる。

3種類のmainstay治療に反応しないCIDP—適切な寛解導入療法と治療効果判定

著者: 海田賢一

ページ範囲:P.510 - P.516

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)はheterogeneousな病態を持つ疾患であり,mainstay治療への反応性もCIDPの病型で異なる。CIDPの病型,治療法の特性,患者背景を基に治療法を選択する。Mainstay治療抵抗性CIDPでは,寛解導入療法が適切に行われ,客観的指標で治療効果が適切に評価されたかどうかを確認する。治療抵抗性multifocal CIDP,distal CIDPでは慎重な鑑別診断が必要である。

3種類のmainstay治療に反応しないCIDP—鑑別ポイントと治療戦略

著者: 飯島正博

ページ範囲:P.517 - P.524

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)は多様な病態を包含する症候群であり,治療反応性の違いはそれを強く裏付ける。Mainstay治療に抵抗性を示す多くはDADSやMADSAMをはじめとするatypical CIDPであり,特にIgG4自己抗体を病因とする一群は難治性CIDPとして知られる。既存治療では単純血漿交換療法と副腎皮質ステロイドの併用が一定の効果を示すが,将来的にはリツキシマブによる治療開発が期待される。経静脈的免疫グロブリン(IVIg)維持療法下でも短期間で再発を繰り返す免疫グロブリン製剤への治療依存例では,ステロイドや免疫抑制薬のadd-onの効果が期待できる。またこうした症例ではIVIgから皮下注用免疫グロブリン製剤(SCIg)による維持療法のオプション変更も有効である。IgG4サブクラス自己抗体は病因であり病勢を判断し得るバイオマーカーの側面を有する。またNfLは治療適正期を判断するとともに治療効果を判定するうえで有効性が期待できるバイオマーカーである。

ステロイドで急性期病勢進行が抑止できないEGPAによる末梢神経障害—寛解導入療法,寛解維持療法の選択

著者: 竹下幸男

ページ範囲:P.525 - P.530

近年,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の新規治療薬としてメポリズマブが登場し,ステロイド一辺倒だった以前の治療から大きく進歩している。しかし,EGPAによる末梢神経障害の治療はエビデンスに乏しく,医師が手探りで治療法を選択しているのが実情である。本論では,実際の症例を示しながら,ステロイド抵抗性のEGPAによる末梢神経障害の特徴を明らかにし,その特徴に基づいた寛解導入療法,寛解維持療法の選択について解説する。

ステロイドで急性期病勢進行が抑止できないEGPAによる末梢神経障害—新規治療薬である分子標的薬(メポリズマブ)はどのように使用すればよいか

著者: 服部直樹

ページ範囲:P.531 - P.536

EGPAは全身性血管炎症候群を呈し,主に細動脈が標的となるANCA関連血管炎である。末梢神経障害はほぼ必発であり,機能予後に大きく関わるため,初期の適切な治療介入が望まれる。また寛解期においても臨床観察は重要である。治療は副腎皮質ステロイド,シクロホスファミドが第一選択である。ステロイド抵抗性の場合,免疫グロブリン大量静注療法を行う。これらの治療に対して十分な効果が得られない場合,メポリズマブ投与を積極的に考慮すべきと思われる。

ステロイド・IVIgで筋力回復が不良な皮膚筋炎・壊死性筋症—難治性の皮膚筋炎・壊死性筋症

著者: 杉江和馬

ページ範囲:P.537 - P.544

特発性炎症性筋疾患である皮膚筋炎と免疫介在性壊死性筋症は,臨床病理学的特徴が異なり区別される。いずれもステロイド治療が第一選択で,免疫抑制薬や免疫グロブリン大量静注療法が適宜使用される。少数例ながらこれらの治療への抵抗性を示すため,各症例における丹念な四肢・体幹の筋力評価に加えて,全身炎症所見や筋病理所見,骨格筋画像,悪性腫瘍や間質性肺疾患などの合併症を勘案して,治療計画を立てる必要がある。現状では,難治例に対する治療戦略は十分確立しておらず,使用可能な治療薬が限られていることからも,今後の治療法の開発が求められる。

ステロイド・IVIgで筋力回復が不良な皮膚筋炎・壊死性筋症—全身を診察して的確な診断,評価のうえで治療を行う

著者: 冨滿弘之

ページ範囲:P.545 - P.552

筋炎は封入体筋炎を除いて治療可能な疾患である。副腎皮質ステロイドなどの免疫治療を行うが,検出される筋炎特異抗体によって臨床型や治療反応性,予後が異なる。そのために的確な診断と重症度に適した治療法を導入する必要がある。効果は血清クレアチンキナーゼ値や筋力改善,画像などで評価する。ステロイド抵抗性と判断した場合は早期に免疫抑制薬を開始し,その効果が表れるまでは免疫グロブリン大量静注療法を適宜追加することを勧める。

診断を説明しただけでは改善しない機能性運動異常症—病気を診るのではなく,患者を診よ

著者: 藤本健一

ページ範囲:P.553 - P.558

機能性運動異常症の治療で最も大切なのは,患者との最初の話し合いである。治療者の考えを伝え,患者の同意を得る必要がある。同意を得るには,患者の知識に合わせた説明が求められる。それには患者を知ることが重要である。その過程で,心因が推測できるかもしれない。検査結果を含めて,診断の根拠を開示する。今後の方針の選択は患者に任せるが,回復するまで治療者として関わり続ける用意があることを保証すべきである。

診断を説明しただけでは改善しない機能性運動異常症—脳神経内科医の役割

著者: 冨山誠彦

ページ範囲:P.559 - P.564

機能性運動異常症の診断は,既知の神経疾患の除外によって行うのではなく,特徴的な陽性徴候に基づいて行う必要がある。脳神経内科医の仕事は,本症を診断するだけではなく,その診断を患者が納得するように十分に説明すること,そして精神科やリハビリテーション科と協力して,異常運動を軽快させることである。本論では陽性徴候を述べ,患者への対応について症例を用いて概説する。

統合失調症に対する抗精神病薬治療中に出現した遅発性ジスキネジア—遅発性ジスキネジアの治療

著者: 野元正弘

ページ範囲:P.565 - P.570

遅発性ジスキネジアでは,口舌部ジスキネジア,体幹四肢の舞踏病,ジストニア,ミオクローヌス,振戦などの異常運動が見られ,2つ以上が同時に存在することもある。異常運動のタイプに合わせて加療を進める。誘因となる抗精神病薬の減量が原則であるが,統合失調症の安定した治療が重要であり減量が困難なことも多い。担当する精神科医と連携を図り,患者との信頼関係に配慮して進めることが重要である。

統合失調症に対する抗精神病薬治療中に出現した遅発性ジスキネジア—最新の知見に基づいた遅発性ジスキネジアへの対応

著者: 阪田麻友美 ,   伊東秀文

ページ範囲:P.571 - P.574

遅発性ジスキネジアはドパミン受容体遮断薬の長期使用に関連した薬剤誘発性の不随意運動で,原因薬剤の中止・変更で改善がなければ治療を行う。最も有効な薬剤は小胞モノアミン輸送体2選択的阻害薬であるが,クロナゼパム,アマンタジン,抑肝散,イチョウ葉エキスなども有効な場合がある。薬剤抵抗性の場合,ボツリヌス治療や脳深部刺激療法も選択される。精神疾患に留意しながら最適な治療を模索する必要がある。

ボツリヌス治療で十分な治療効果が得られない局所性・分節性ジストニア—ボツリヌス,手術,ボツリヌス

著者: 目崎高広

ページ範囲:P.575 - P.580

ボツリヌス毒素製剤の効能・効果として国内で認められているジストニアは,眼瞼痙攣,痙性斜頸,痙攣性発声障害のみである。おのおの,有効率は100%でないうえに,治療の際に課せられたさまざまな規則も改善を阻む障壁となり得る。難治性として紹介された患者で最も多い原因は不適切な注射である。まず注射部位・用量の再検討を行い,効果が得られなければ手術を考慮する。手術後に残った症状には再びボツリヌス毒素療法を試みる。

ボツリヌス治療で十分な治療効果が得られない局所性・分節性ジストニア—第一選択のボツリヌスが有効でないが,どうする

著者: 野村哲志

ページ範囲:P.581 - P.587

本邦では,局所性ジストニアは眼瞼痙攣,痙性斜頸,上肢ジストニアの順に多い。ボツリヌス治療が第一選択だが,治療効果が得られずに難渋することもある。ボツリヌス治療の欠点としては,治療効果が一過性で短期間であり,治療無効なことや,費用が高価なことである。ボツリヌス治療が無効例では内服,リハビリテーションなどを行う。しかし,これらの治療はエビデンスレベルが低いため,症例ごとに対応せざるを得ない。

抗真菌薬の十分な治療効果が得られない,あるいは薬剤による副作用が出現し継続が困難なクリプトコッカス髄膜炎—治療における11の論点

著者: 石原正樹 ,   中嶋秀人

ページ範囲:P.588 - P.599

クリプトコッカス髄膜炎(CM)の治療ではアムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンの併用による導入療法,次いで地固め療法,維持療法を行う。実際にはCMは治療に難渋して長期化することが多く,最もマネジメントの難しい中枢神経感染症である。長期間に及ぶ治療における原因疾患や合併症の制御,抗真菌薬の使用法,頭蓋内圧亢進症の対処法,副腎皮質ステロイド使用の是非などの課題について考察する。

抗真菌薬の十分な治療効果が得られない,あるいは薬剤による副作用が出現し継続が困難なクリプトコッカス髄膜炎—治療困難に陥らないためのマネジメントと難治例への脳室内抗真菌薬投与

著者: 佐藤充人 ,   関島良樹

ページ範囲:P.600 - P.607

クリプトコッカス髄膜炎では,抗真菌薬投与の十分な治療効果が得られない,あるいは薬剤による副作用が出現し抗真菌薬投与を減量・中断せざるを得ない状況をしばしば経験する。良好な予後を得るために最新の治療ガイドラインに沿った適切な薬剤選択を行うとともに,難治例では抗真菌薬の全身投与を継続したうえで,アムホテリシンBの脳室内投与を行うことも考慮される。

内服治療で十分な効果が得られない小径線維ニューロパチー—小径線維ニューロパチーの原因診断と治療選択

著者: 山﨑亮

ページ範囲:P.608 - P.613

小径線維ニューロパチー(SFN)は有意な検査所見に乏しく診断に難渋する。当科で経験した症例では,各種検査で異常を検出できず,対症的治療への反応も乏しかったが,電流知覚閾値検査で異常を認め,血中抗Plexin D1抗体陽性を認めたことから自己免疫性SFNと診断し,血漿交換療法が著効した。SFNの一般的治療や新型コロナウイルス感染症関連についても紹介する。

内服治療で十分な効果が得られない小径線維ニューロパチー—小径線維ニューロパチーの診断と治療

著者: 鈴木千恵子

ページ範囲:P.614 - P.620

小径線維ニューロパチー(SFN)は,Aδ線維,C線維が選択的に障害される末梢神経障害である。その主症状は痛みで,自律神経障害を伴うこともある。深部腱反射や神経伝導検査は正常で,診断には皮膚生検が有用である。SFNでは表皮内神経線維密度が低下し,感度は80%以上と言われている。SFNの原因は多様であるが,30〜50%は原因不明と言われている。治療は病態へのアプローチと並行して痛みに対する対症療法が重要である。

脳主幹動脈の動脈硬化がびまん性かつ高度で,複数の抗血小板薬投与によっても再発を繰り返す脳梗塞—抗血小板薬投与中に再発した脳梗塞症例

著者: 出口一郎

ページ範囲:P.621 - P.628

実臨床において,治療指針どおりに治療を行っても再発を認めるあるいは繰り返す症例を少なからず経験する。動脈硬化が主体の非心原性脳梗塞の再発予防では,抗血小板療法が主体となる。抗血小板薬さえ服薬あるいは処方していれば安心と思う患者や医療従事者が少なくない。無論,抗血小板薬は再発予防に欠かせない薬である。しかしながら,抗血小板療法だけでは再発予防としては不十分であり,危険因子の管理も合わせて行うことで,その予防効果を最大限引き出すことが可能となる。

脳主幹動脈の動脈硬化がびまん性かつ高度で,複数の抗血小板薬投与によっても再発を繰り返す脳梗塞—繰り返す脳梗塞例に対する対応

著者: 鈴木健太郎 ,   木村和美

ページ範囲:P.629 - P.636

脳梗塞治療で用いることができる抗血小板薬としてプラスグレルが効能追加となり,内科的治療の幅が広がることが期待される。その一方で,いまだ内科的治療に抵抗性で,症状悪化をきたす症例は散見され,次の一手を考えながら治療に臨むことはよくあることである。脳神経内科医としては,抗血小板薬を含めた内科的治療を適切に行えるようにすること,外科的治療への移行時期を知ることが求められている。本論では実際の症例を交えながら,再発を繰り返す脳梗塞例への対策を考えたいと思う。

標準的な内科治療でなかなか改善しない本態性振戦—外科治療が行えない場合

著者: 山脇健盛

ページ範囲:P.637 - P.644

標準的な内科治療でなかなか改善しない本態性振戦では,日常生活に支障がある場合は外科治療が考慮されるが,外科治療が行えない症例も存在する。本論では,標準的な内科治療とは何かを解説し,外科治療が行えない場合について考察した。内服治療はまずアロチノロールとプリミドンが基本であり,併用療法や第二選択薬の解説も行い,最後にわが国における本態性振戦治療アルゴリズムの作成を試みた。

標準的な内科治療でなかなか改善しない本態性振戦—外科治療による振戦の治療

著者: 佐々木達也 ,   伊達勲

ページ範囲:P.645 - P.651

薬物治療抵抗性の本態性振戦で,特に上肢が罹患部位である場合,外科的治療が有効である。現在,保険適用となっている治療方法は脳深部刺激療法(DBS),ラジオ波温熱凝固術(RF),MRガイド下集束超音波手術(MRgFUS)の3つがあり,いずれも高い治療効果を示す。DBSはデバイス治療であり,治療は可逆性であるのに対し,RFとFUSは不可逆な凝固巣を作成する。またDBSとRFは標的への直接穿刺が必要であるのに対し,FUSは頭蓋外からの超音波を集束させ治療を行う。標的は主に視床中間腹側核であるがposterior subthalamic areaの有効性も報告されている。本論では本態性振戦に対する3つの治療の特徴をまとめ,症状別の治療戦略と治療方法の選択について述べる。

複数の医療機関を経て受診した筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群—診断と治療,そして研究

著者: 佐藤和貴郎

ページ範囲:P.652 - P.659

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群は病的疲労,労作後の消耗,睡眠障害,認知機能障害,起立不耐を中核症状とする後天性疾患で,感染症様エピソードなどを経て発症する。自律神経障害,痛み,多様な刺激に対する過敏性・不耐性は,健常者の「疲れ」と質的・量的に大きく異なる。本論では,現時点の「診断と治療の考え方」を紹介するとともに,「免疫異常」「脳画像異常」を捉えようとする研究活動についても触れる。

複数の医療機関を経て受診した筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群—診断と治療の要点

著者: 下村登規夫

ページ範囲:P.660 - P.667

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は,疲労感を主体とする症状を示す症候群である。決定的バイオマーカーの存在がないため,診断に専門的知識が必要であり,治療における確実に有効な薬物・方法がないことも問題である。治療には,漢方薬,ビタミン製剤,カルニチン製剤などが用いられるが決定的改善は認められていない。しかし,新型コロナウイルス感染症の後遺症が,ME/CFS類似の症状を示すことから注目され,研究の進展も見られるようになりつつある。

標準治療で改善しない膠芽腫—予後不良な要因と次の一手

著者: 成田善孝

ページ範囲:P.668 - P.676

膠芽腫の5年生存割合は15%前後である。膠芽腫の予後因子は年齢・KPS・手術摘出度・MGMTプロモーターメチル化である。予後不良要因として①高齢者に多い,②半数が治療開始時にKPS≦70,③腫瘍の急速な増大,④全摘出可能例は半数,⑤テモゾロミド/ベバシズマブ以外に治療法がないことなどが挙げられる。がんゲノムプロファイリング検査が保険適用となり,ドライバー遺伝子が同定されるようになり,BRAF/FGFRなどに対する治験も行われるようになり,今後の治療が期待される。

標準治療で改善しない膠芽腫—標準治療と個別化治療

著者: 今井亮太郎 ,   佐々木光

ページ範囲:P.677 - P.684

膠芽腫の標準治療は最大限の外科的摘出と,術後のテモゾロミド投与ならびに放射線治療だが,いまなお致死的な悪性脳腫瘍である。標準治療に加えて,ベバシズマブのほか,光線力学的療法,BCNU waferなどの局所追加療法や,交流電場腫瘍治療システムやゲノム医療といった限られた治療モダリティの特性を理解すると同時に,個々の患者の状態によってこれらを適切に組み合わせ,最大限に活用し,この難治性疾患の治療にあたる必要がある。

カプグラ症候群を含む妄想性誤認症候群が強いレビー小体型認知症の高齢者—レビー小体型認知症に伴う重度の精神症状の治療やケア

著者: 船山道隆

ページ範囲:P.685 - P.691

レビー小体型認知症に伴う重度の精神症状の治療やケアは困難であることが多い。治療の方法としては,抗精神病薬の投与や身体拘束は最小限にし,保護的な治療環境を提供して,身体リハビリテーションを行いながら寝たきりになることを避けることが重要である。ドパミンアゴニストからL-ドパへの抗パーキンソン病薬の調節で改善する場合や,コリンエステラーゼ阻害薬で効果を認める場合,時には電気痙攣療法の適応となる場合もある。

カプグラ症候群を含む妄想性誤認症候群が強いレビー小体型認知症の高齢者—脳神経内科医の立場から対応と介入のあり方を考える

著者: 池田将樹

ページ範囲:P.692 - P.699

レビー小体型認知症(DLB)の患者においてカプグラ症候群など妄想性誤認症候群を認めることがある。これらの精神症状とともに,認知症,パーキンソン症状,自律神経障害など他の症状への治療を並行して進めることがDLB治療の難しさでもある。進行期においては,治療薬の選択や環境の調整について細かな注意が必要になる。患者の生活環境を整え,病期の早い段階で本人や家族・介護者へ適切な説明を行うことも診療上,重要なポイントである。

難治性の起立性低血圧を認めるパーキンソン病患者—起立性低血圧に関わる一般項目と,自験例を通してわかる注意点

著者: 石原資

ページ範囲:P.700 - P.707

パーキンソン病や多系統萎縮症で心血管系の自律神経障害として起立性低血圧(OH)を認めることがある。他の血圧調節障害(特に臥位高血圧)が合併し,対応が難しくなる。治療にあたっては,非薬物・薬物療法を組み合わせて行う。本論では,まずOHの一般事項について概説したうえで,筆者が実際に経験した難治例を提示する。

難治性の起立性低血圧を認めるパーキンソン病患者—早期診断に向けた症状の見極め方と治療戦略

著者: 坪井義夫

ページ範囲:P.708 - P.713

パーキンソン病(PD)における起立性低血圧(OH)は頻度の高い非運動症状であり,PDに伴う自律神経障害病理に関連する。典型的症状は立ちくらみ,視覚症状,失神だが軽症の場合は浮動性めまいや頭痛,疲労など非特異的な症状を呈する。PDにおけるOHは見逃されることが多く,診断後は原因薬剤の中止と,非薬物療法を行い,無効な場合は重症度に応じて薬物介入が必要になる。適切な介入がないと症状は進行性で失神や転倒のリスクを高め,運動機能にも影響を与える。OHの早期診断と介入はPD患者のQOLを改善し合併症を予防する。

連載 脳神経内科領域における医学教育の展望—Post/withコロナ時代を見据えて・9

Post/withコロナ時代に求められる卒後臨床研修

著者: 高橋弘明

ページ範囲:P.717 - P.720

はじめに

 医師法の改正によって,2004年度から2年以上の臨床研修が必修化された1)。この医師臨床研修制度は,その時々の人口構成や疾病分布,社会状況に従っておおむね5年ごとに見直しを行うことになっており2),最近では2020年度から新しく見直しを受けた制度に則って臨床研修が行われている3)。同年の2020年には新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)のパンデミックが発生した。本論では,いままでに行われた臨床研修の見直しと現在の臨床研修制度について概説し,Post/withコロナ時代に求められる脳神経内科領域の卒後臨床研修について述べたい。

臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・15

母指/母趾さがし試験(真の深部感覚の検査法):自己固有感覚性定位とは/その手技のポイント

著者: 平山惠造

ページ範囲:P.721 - P.723

1)はじめに:従来の深部感覚検査法の疑問から

 筆者が臨床神経学を専攻し始めた1950年代後半では,「深部感覚検査法」に二つの手技が常用されていた。一つは,患者が閉眼してから,検者が患者の指/趾を背屈/掌屈(底屈)し,患者がそれを当てるものである。他の一つは,音叉による振動覚検査である。筆者は,これらの検査方法では皮膚(表在)感覚が相当に関与すると考えられるので,深部感覚検査としては疑問に思っていた。しかし,その後も疑問を持ちながらも使用していた。拙著「神経症候学」の初版(1971)1)でも,これらを「深部知覚」の項目に検査法として記述した。それと共に,そこに追記するような形式で今回のテーマである「母指/母趾さがし試験」を記載した。しかし,その後検討を加え,この試験に関与する感覚は別のカテゴリーのものであることが判明して行った。

書評

頭痛の診療ガイドライン2021—日本神経学会,日本頭痛学会,日本神経治療学会【監修】 頭痛の診療ガイドライン作成委員会【編】 フリーアクセス

著者: 竹内勤

ページ範囲:P.715 - P.715

 頭痛の診療ガイドラインは,2002年に『慢性頭痛治療ガイドライン2002』として初版が発刊されて以来,わが国の頭痛診療の標準化に大きな役割を果たしてきた。今回,2013年の改訂版『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』から大幅な改訂がなされ,また,タイトルも『頭痛の診療ガイドライン2021』として関連学会が共同監修したもので,まさに頭痛診療をすべて網羅した大作である。これを主導した先生方のご努力は大変なものであったと思うが,その御功績に盛大なる拍手をお送りしたい。

 今回のガイドラインは,『Minds診療ガイドライン作成の手引き』2014年版に準拠して作成され,一部のクリニカルクエスチョン(CQ)では患者さんやメディカルスタッフが参加するGRADEシステムが導入された。また,二次性頭痛の項目が新たに加えられ,この数年間で飛躍的な進歩を見せた抗CGRP抗体や抗CGRP受容体抗体などによる最新治療までも触れられている。最新の手法を取り入れ,最新のエビデンスに基づいて,頭痛診療の広範な領域を包含し,丁寧なCQによって構成された,素晴らしい診療ガイドラインである。

はじめての漢方診療 十五話[WEB動画付] 第2版/はじめての漢方診療ノート 第2版—三潴忠道【著】 フリーアクセス

著者: 田原英一

ページ範囲:P.716 - P.716

 三潴忠道先生は2021年,コロナ禍で延期された日本東洋医学会の会頭も務められ,大変お忙しい最中,名著『はじめての漢方診療十五話』の第2版を出版された。本書は漢方診療の基礎を学ぶのに最適もしくは最高の1冊である。その2つの理由は,三潴先生の臨床を余すところなく公開し,いわば三潴漢方という太い柱に沿って,漢方診療が語られている点にある。

 その基本はいわゆる古方に属しながら,一方で現代の疾病構造を見据えた柔軟な診療体系を公開している。一般に西洋医学のみを学んだ者にとって,漢方の概念,臨床は難解で,1冊の本を読んだくらいでは,なかなか身に付かないであろう。漢方の手引き書として,多くの著者による,さまざまな意見や考え方が錯綜するものや,単一著者ではあるが,公開されている情報が簡素過ぎて物足りないものを手に取ったことがあるが,本書は簡単すぎず,難しすぎず,それでいて骨のあるブレない1冊である。

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.414 - P.415

欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.416 - P.417

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.729 - P.729

あとがき フリーアクセス

著者: 酒井邦嘉

ページ範囲:P.730 - P.730

 将棋の対局中継を衛星放送(CS),ケーブルテレビやインターネットで観戦できるようになって久しい。近頃はAI(人工知能)による形勢判断や候補手予測が画面に出るようになった。対局者は自分の頭脳だけが頼りで,むろんAIの判断は見えていない。それゆえ,一手一手が試験問題の答合せのようで心が痛む。しかしそうであればこそ,棋士が長考の末に妙手を選択したときには喝采を送りたくなる。AIと違って人間は,勝負のプレッシャーや時間の制限などで失敗をするものだ。たとえ失敗したとしても,次に挽回したり,ミスを認めたうえで最善を尽くしたりするところに,棋士の人間性が現れる。

 「『分かりそうだけれど分からない』ことが,将棋の楽しさであり,深く考える入り口に立つ飛躍の機会でもあるのです」と羽生善治九段が述べていた(『羽生善治の将棋「次の一手」150題』成美堂出版)。藤井聡太五冠は,数々の最年少記録だけでなく,時に「AI超え」とも評される妙手で話題を呼んでいる。既に棋史に残るとの呼び声が高い「後手6二銀」や「先手4一銀」(『藤井聡太の鬼手』日本将棋連盟)といった奥深い指し手は,人間の英知に対して新たな可能性を感じさせてくれる。

基本情報

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1344-8129

印刷版ISSN 1881-6096

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