文献詳細
増大特集 神経・精神領域の薬剤ハンドブック
〈各論〉
文献概要
三環系抗うつ薬は抗コリン,抗アドレナリンα1,抗ヒスタミンH1作用,また過量服薬での危険性により患者のQOLに影響を及ぼすために,新規抗うつ薬が開発された。選択的セロトニン再取込み阻害薬はセロトニンを選択的に取り込み,非鎮静系薬で不安症にも効果を発揮する。消化器系副作用が見られ,性機能障害や出血傾向に注意する。セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬は意欲向上が期待される非鎮静系薬である。慢性疼痛に効果的だが,消化器症状に加え,頻脈,血圧上昇に留意する。ミルタザピンは鎮静系薬で,食欲不振や不眠を呈する例に用いられる。ただ眠気,そして体重増加に留意する。ボルチオキセチンは非鎮静系薬で,不眠や性機能障害が少ないものの,胃腸症状は認められる。
参考文献
1)渡邊衡一郎: 40. 抗精神病薬, 抗うつ薬, その他. 川合眞一, 伊豆津宏二, 今井 靖, 桑名正隆, 北村正樹, 他(編): 今日の治療薬: 解説と便覧2023. 南江堂, 東京, 2023, pp849-890
2)渡邊衡一郎: 第6章 精神科治療学: Ⅱ薬物療法. 尾崎紀夫, 三村 將, 水野雅文, 村井俊哉(編): 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp154-173
3)岡島由佳, 上島国利: Ⅲ-2-1三環系抗うつ薬と四環系抗うつ薬/選択的セロトニン再取り込み阻害薬/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬/モノアミン酸化酵素阻害薬/Trazodone, nefazodone, bupropionおよびmirtazapine 1三環系抗うつ薬と四環系抗うつ薬. 日本臨床精神神経薬理学会専門医制度委員会(編): 臨床精神神経薬理学テキスト 改訂第3版. 星和書店, 東京, 2014, pp208-215
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