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書評
「弱さの倫理学—不完全な存在である私たちについて」—宮坂道夫【著】 フリーアクセス
著者: 山内志朗1
所属機関: 1慶應義塾大学文学部
ページ範囲:P.1058 - P.1058
文献概要
倫理学は正義とは何か,善とは何か,幸せとは何か,そういったことを考える学問だと考えられている。ただ,そういった問題設定は強い者目線での思考に染まりがちだ。強さは戦いを招き寄せる。だからこそ,世界的な宗教は,キリスト教も仏教も徹底的に弱者の地平から人間の救済を考えてきた。本質的に人間は弱く不完全であり,不完全なまま生き続けるものであるという事態を前にして,私たちは絶望に陥らず希望を語ることが求められている。
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