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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩76巻12号

2024年12月発行

特集 芸術家と神経学Ⅱ

シューマンと神経梅毒

著者: 神田隆1

所属機関: 1脳神経筋センターよしみず病院

ページ範囲:P.1293 - P.1299

文献概要

ロベルト・シューマン(1810-1856)は梅毒に罹患していた可能性の高い大作曲家の1人として有名な存在である。梅毒罹患は当時にあっても名誉なことではなく,シューマンの信奉者を中心に感染そのものを否定,または,感染の可能性を示す証拠を隠滅する動きがあって,いまだに確固たる証拠が示されたわけではない。しかし,死後130年を経て明らかになった精神病院入院中の記録などから,現時点では彼の梅毒感染はほぼ確実なことと見なされている。この小論の目的は,シューマンの音楽を愛する一愛好家として,梅毒感染から進行麻痺発症まで,この感染症がシューマンの創作活動にどのように影響を与えたかを考察することにある。

参考文献

1)27. 進行麻痺. 三好功峰, 松岡龍典: 神経疾患と精神症状—脳器質性精神疾患. 医学書院, 東京, 1980, pp272-281
2)岩舘敏晴, 石井 厚: 脳器質性精神病の病像変遷—進行麻痺の場合. 精神医学28: 1119-1126, 1986
3)Noguchi H, Moore JW: A demonstration of treponema pallidum in the brain in cases of general paralysis. J Exp Med 17: 232-238, 1913
4)Bäzner H, Hennerici MG: Syphilis in German-speaking composers - ‘Examination results are confidential’. Bogousslavsky J, Hennerici MG, Bäzner H, et al (eds): Neurological Disorders in Famous Artists, Part 3. Kargel, Basel, 2010, pp61-83
5)門馬直美: ヴァイオリン協奏曲 ニ短調WoO23. 音楽之友社(編): 作曲家別名曲解説ライブラリー シューマン. 音楽之友社, 東京, 1995, pp58-61
6)アルンフリート・エードラー(著), 山崎太郎(訳): シューマンとその時代. 西村書店, 東京, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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