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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩76巻12号

2024年12月発行

特集 芸術家と神経学Ⅱ

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンと皮質下性脳血管疾患

著者: 髙尾昌樹1

所属機関: 1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部・総合内科

ページ範囲:P.1329 - P.1333

文献概要

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは1700年代後半の音楽家である。一部の研究者によりハイドンが皮質下性の脳血管疾患であったという推察がある。こういった解釈は,残された伝記的な記載などから検討されたもので,あながち間違ってもいないのであろう。しかし,77歳という高齢で死亡したことを考慮すれば,現在言われている複数の脳病理学的変化を伴っていても不思議ではないし,むしろその可能性が高いように思われる。偉人というものは死後200年経っても,持病が何だったか興味を持たれるのだから安らかな眠りというわけにもいかない。

参考文献

1)髙尾昌樹: エゴン・シーレとジストニア. Brain Nerve 73: 1341-1345, 2021
2)Bäzner H, Hennerici MG: The Subcortical Vascular Encephalopathy of Joseph Haydn: Pathographic Illustration of the Syndrome. Bogousslavsky J, Boller F (Eds): Neurological Disorders in Famous Artists. S Karger Ag, Basel, 2005, pp 160-171
3)Blahak C, Bäzner H, Hennerici MG: Joseph Haydn's encephalopathy: new aspects. Prog Brain Res 216: 317-329, 2015
4)アントン・ノイマイヤー(著), 礒山 雅, 大内 典(訳): 現代医学のみた大作曲家の生と死 ハイドン/モーツァルト. 東京書籍, 東京, 1992
5)小林聡幸: 筆を折るヨーゼフ・ハイドン—わが力尽き果てぬ,われは老いわれは弱りぬ. 老年精医誌20: 30-41, 2009
6)アルベルト・クリストフ・ディース(著), 武川寛海(訳): ハイドン: 伝記的報告. 音楽之友社, 東京, 1978
7)Schoppert S: Composer Josef Haydn's head was missing for 145 years and now he's buried with an extra head. History Collection. November 13, 2016 https://historycollection.com/composer-josef-haydns-head-missing-145-years-now-hes-buried-extra-head/(2024年11月18日)
8)エーミール・クレペリン(著), 伊達 徹(訳): 精神医学 5: 老年性精神疾患. みすず書房, 東京, 1992
9)Blass JP, Hoyer S, Nitsch R: A translation of Otto Binswanger's article, ‘The delineation of the generalized progressive paralyses’: 1894. Arch Neurol 48: 961-972, 1991
10)Fu L: Medicine and music: a note on John Hunter (1728-93) and Joseph Haydn (1732-1809). J Med Biogr 18: 115-122, 2010
11)Grigson C: The Life and Poems of Anne Hunter: Haydn's Tuneful Voice. Liverpool University Press, Liverpool, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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