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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻1号

2015年01月発行

文献概要

特集 動悸・息切れ─ヤバい病気の見つけ方 そして見つからなかった時の対処法 【動悸・息切れが主訴の患者に出会ったら】

慢性呼吸不全を見落とさないために

著者: 関谷充晃1 瀬山邦明1 高橋和久1

所属機関: 1順天堂大学医学部大学院医学研究科・呼吸器内科

ページ範囲:P.26 - P.29

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Case
CO2ナルコーシスによる意識障害をきたした肺結核後遺症の1例
患 者:85歳,男性.
既往歴:23歳で肺結核に対し,左胸郭形成術を施行.
現病歴:3日前から咳嗽,膿性痰,37℃台の発熱,軽度の息切れを認めていたが,感冒と思い放置していた.本日になり傾眠傾向にあることに家人が気づき,受診した.受診時,意識障害(JCS II-20),口唇のチアノーゼを認め,室内気でのSpO2も82%と低下していた.動脈血ガス分析を行い,PaO2 50Torr,PaCO2 92Torr,pH 6.94とII型呼吸不全を認めた.胸部X線では胸郭形成術後の所見に加え,右下肺野の軽度の肺炎像を認めた.肺結核後遺症に肺炎を合併しCO2ナルコーシスに至ったものと診断した.抗菌薬投与と非侵襲的陽圧換気(NPPV)による換気のサポートを行い,軽快した.

参考文献

1)横山哲郎:総括研究報告.厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班 昭和55年度研究業績.pp1-5, 1981. <呼吸不全の定義について概説している>
2)日本呼吸器学会在宅呼吸ケア白書作成委員会(編):在宅呼吸ケア白書.p2,文光堂,2005. <2004年までの在宅での酸素療法,人工呼吸などの施行状況等が詳しくまとめられている>
3)日本呼吸器学会肺生理専門委員会・在宅呼吸ケア白書ワーキンググループ(編):在宅呼吸ケア白書 2010.p3,文光堂,2010. <2005年刊行の呼吸ケア白書の第2版であり,2009年までの在宅での酸素療法,人工呼吸などの施行状況等が詳しくまとめられている>
4)佐々木結花,他:高炭酸ガス血症を呈した結核後遺症患者における肺循環諸量の検討.厚生省特定疾患「呼吸不全」調査研究班平成4年度報告書.p79,1993. <肺結核後遺症患者における肺高血圧症等の合併の実態を詳しくまとめている>
5)田口義郎,他:臨床診断基準における主要症状および身体所見について.厚生科学研究特定疾患対策研究事業びまん性肺疾患研究班平成12年度研究報告書,pp96-99, 2001. <間質性肺炎における主要症状や身体所見の実態を詳しくまとめている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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