文献詳細
文献概要
特集 動悸・息切れ─ヤバい病気の見つけ方 そして見つからなかった時の対処法 【動悸・息切れ症状の標準的マネージメントとプラスワン】
動悸・息切れのある妊婦・婦人科疾患
著者: 明城光三1
所属機関: 1国立病院機構仙台医療センター産婦人科
ページ範囲:P.42 - P.45
文献購入ページに移動Case
子宮筋腫による重症貧血
さほど稀でなく血色素量(Hb)が2g/dl台となるまで受診しない事例がある.心不全を避けるため輸血は少量ずつ行うのが重要.受診時の出血は多くなかったので,GnRHアナログにより月経を止めるとともに,子宮筋腫の縮小を期待し,その間に貧血を改善し手術療法を行う予定だったが,受診が途絶え,初回時と同様な状態で再受診.すぐに手術を行うことを余儀なくされた症例.
患者:37歳,未経妊.
既往歴:特記すべきことなし.
3〜4年前から下腹部のしこり自覚,徐々に増大あるも忙しくて放置.月経不順で経血量は多かった.
月経開始後5日目に動悸,息切れがひどく,近医受診.Hb 2.2g/dlのため当院紹介.当院受診時,性器出血は少量となっていた.内診で子宮は超新生児頭大で可動性は不良.経腹超音波:最大11cmの多発筋腫であった.胸部X線,心電図,心エコーで左室肥大の所見あり.入院のうえ,赤血球濃厚液を1日2単位ずつ3日間投与.Hb 5.5g/dlとなり自覚症状改善したため,一旦退院とし,GnRHアナログを使用しながら貧血の改善を図り,手術治療の検討を行う予定としたが中途で受診しなくなった.
初診の9カ月後,大量の性器出血と動悸,息切れあり.近医経由で当科受診.Hbは2.8g/dlであり,入院.濃厚赤血球投与し,貧血を改善後手術施行.術式については子宮筋腫核出術も提案したが,より確実な治癒を希望されたため,子宮全摘術となった.病理組織検査では,筋層内や漿膜下の多発子宮筋腫であった.
子宮筋腫による重症貧血
さほど稀でなく血色素量(Hb)が2g/dl台となるまで受診しない事例がある.心不全を避けるため輸血は少量ずつ行うのが重要.受診時の出血は多くなかったので,GnRHアナログにより月経を止めるとともに,子宮筋腫の縮小を期待し,その間に貧血を改善し手術療法を行う予定だったが,受診が途絶え,初回時と同様な状態で再受診.すぐに手術を行うことを余儀なくされた症例.
患者:37歳,未経妊.
既往歴:特記すべきことなし.
3〜4年前から下腹部のしこり自覚,徐々に増大あるも忙しくて放置.月経不順で経血量は多かった.
月経開始後5日目に動悸,息切れがひどく,近医受診.Hb 2.2g/dlのため当院紹介.当院受診時,性器出血は少量となっていた.内診で子宮は超新生児頭大で可動性は不良.経腹超音波:最大11cmの多発筋腫であった.胸部X線,心電図,心エコーで左室肥大の所見あり.入院のうえ,赤血球濃厚液を1日2単位ずつ3日間投与.Hb 5.5g/dlとなり自覚症状改善したため,一旦退院とし,GnRHアナログを使用しながら貧血の改善を図り,手術治療の検討を行う予定としたが中途で受診しなくなった.
初診の9カ月後,大量の性器出血と動悸,息切れあり.近医経由で当科受診.Hbは2.8g/dlであり,入院.濃厚赤血球投与し,貧血を改善後手術施行.術式については子宮筋腫核出術も提案したが,より確実な治癒を希望されたため,子宮全摘術となった.病理組織検査では,筋層内や漿膜下の多発子宮筋腫であった.
参考文献
1)安藤昭彦:過多月経.産科と婦人科 78(増刊号): 176-183, 2011. <過多月経の治療について詳細に述べられている.この増刊号は産婦人科救急の特集号となっている>
2)望月善子:更年期障害,更年期うつ病とその管理.産科と婦人科 80(8): 1029-1034, 2013. <更年期障害,更年期うつ病とその管理について述べられている>
3)大石元,他:HRTの禁忌症例と慎重投与症例.臨床婦人科産科 66(11): 1002-1008, 2012. <ホルモン補充療法を行う場合にリスク・ベネフィットを評価する必要があるが,禁忌症例と慎重投与症例という観点で分かりやすく述べられている>
4)Peck TM, et al : Hematologic changes associated with pregnancy. Clinical Obstetrics and Gynecology 22(4): 785-798, 1979. <妊娠における血液量の変化に関するわかりやすい図が記載されている>
ed. p55, McGraw Hill, New York, 2014. <産科学の最もスタンダードな教科書>
掲載誌情報