文献詳細
特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 2
【System 1─電光石火の感染症snap diagnosis編❹】
文献概要
Case
無菌性髄膜炎に尿閉を合併した一例
患者:41歳,男性. 既往歴:特になし.
現病歴:受診1週間前から,徐々に頭痛と倦怠感,38℃台の発熱が出現した.近医を受診したところ,感冒の診断でアセトアミノフェンを処方され帰宅.その後,頭痛は徐々に増悪し,食欲も低下.38〜39℃台の発熱も持続したため当院を受診された.
受診時,体温 37.9℃,血圧103/71mmHg,脈拍数107回/分.意識清明.身体所見では,下腹部の膨隆と圧痛を認めた.jolt accentuationは陽性だったが,その他の神経学的異常所見を認めなかった.
下腹部膨隆の原因は,尿閉であることが判明.頭痛・発熱については臨床所見から髄膜炎を疑い,髄液検査を施行したところ,単核球有意の細胞数増多を認め,無菌性髄膜炎と考えた.髄液グラム染色・培養含めた各種微生物学的検査では特に異常所見なく,尿閉を合併していることから,「髄膜炎尿閉症候群」と診断した.保存的加療で発熱・頭痛・尿閉ともに改善し,神経学的にも後遺症を残さず軽快退院された.
無菌性髄膜炎に尿閉を合併した一例
患者:41歳,男性. 既往歴:特になし.
現病歴:受診1週間前から,徐々に頭痛と倦怠感,38℃台の発熱が出現した.近医を受診したところ,感冒の診断でアセトアミノフェンを処方され帰宅.その後,頭痛は徐々に増悪し,食欲も低下.38〜39℃台の発熱も持続したため当院を受診された.
受診時,体温 37.9℃,血圧103/71mmHg,脈拍数107回/分.意識清明.身体所見では,下腹部の膨隆と圧痛を認めた.jolt accentuationは陽性だったが,その他の神経学的異常所見を認めなかった.
下腹部膨隆の原因は,尿閉であることが判明.頭痛・発熱については臨床所見から髄膜炎を疑い,髄液検査を施行したところ,単核球有意の細胞数増多を認め,無菌性髄膜炎と考えた.髄液グラム染色・培養含めた各種微生物学的検査では特に異常所見なく,尿閉を合併していることから,「髄膜炎尿閉症候群」と診断した.保存的加療で発熱・頭痛・尿閉ともに改善し,神経学的にも後遺症を残さず軽快退院された.
参考文献
1)Sakakibara R, et al :“Meningitis-retention syndrome”; a review. Neurourol Urodyn 32(1): 19-23, 2013. <東邦大学医療センター佐倉病院の榊原隆次先生の髄膜炎尿閉症候群に関する最近のレビュー.疾患概念の定義なども含めて詳細に解説されており,概念整理に非常に役立つ文献です>
2)Guarino JR, et al : Ausculatory percussion of the urinary bladder. Arch Intern Med 145(10): 1823-1825, 1985. <Guarino先生の渾身の聴性打診の論文です.素晴らしいのはその飽くなき検証力で,その後,腹水や胸水についても同様の聴性打診の論文を発表されています! 身体所見の検証論文はワクワクしますね!>
3)Jane M. Orient, et al(著・2009),須藤博,他(監訳):サパイラ 身体診察のアートとサイエンス.pp576(原著),医学書院,2013. <GMノート1にも記載したとおりの身体診察の醍醐味を十二分に味わえる一冊です! お勧め>
4)Elsberg, et al : A peculiar and underscribed disease of the roots of the cauda equina. J Nerv Ment Dis 40(12): 787, 1913. <Elsbergによる大元の「Elsberg症候群」の紹介.5例の症例シリーズで,どの症例も臀部や下肢痛に伴って尿閉を合併しており,仙骨部ヘルペス症例の報告であることがわかる>
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