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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻11号

2015年11月発行

文献概要

特集 レアだけど重要な「痛み」の原因─システム1診断学 【「痛み」の診断推論ベーシックス】

「痛み」のシステム2診断のパワーとピットフォール

著者: 岡田優基1

所属機関: 1藤田保健衛生大学救急総合内科

ページ範囲:P.1002 - P.1007

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概略
 まずは「痛み」の機序について,図1と共に「皮膚の痛み」の経路の流れを復習されたい.
 パチニ小体やマイスナー小体のような特殊構造を形成する神経終末とは異なり,神経線維(G2)が剝き出しの状態であるのが自由神経終末である.侵害刺激(機械的刺激・熱刺激・冷刺激・化学刺激,等)が脊髄神経節の神経細胞(1次ニューロン)の末梢の自由神経終末の侵害受容器で感知される.1次ニューロンの線維は後根を経て脊髄に入り,後角で2次ニューロンに交代する.2次ニューロンの線維は交叉後,対側の前索や側索を通り視床に入り,視床核で3次ニューロンと交代し,それより上位の大脳皮質の体性感覚野等の痛み中枢へと伝えられる.これが痛覚の主な経路として考えられてきた脊髄視床路で,他に脳幹で3次ニューロンと交代し,網様体に伝わる脊髄網様体路も存在する.
 と,ここまでは敢えて簡素に記したが,実際の「痛み」の機序は,複数の経路・機序が互いに絡み合った非常に複雑なものであり,未だ完全に解明されているとは言い難いのもまた事実である(例えば,厳密には感覚に関わる4つの上行路とも痛覚への関与が判明したり,近年さらに新たな経路も発見されたりしている).

参考文献

1)吉村惠:皮膚における感覚受容器の分布と形態.小澤瀞司,他(監修):標準生理学第8版.p218, 医学書院,2014.
2)丸山一男:痛みの考えかた.p239, 南江堂,2014.
3)吉村惠:下行性痛覚抑制系.小澤瀞司,他(監修):標準生理学第8版.p229, 医学書院,2014.
4)佐々木春喜:診断推論と確率-ベッドサイドでのベイズの定理.日本プライマリ・ケア連合学会誌 36(3): 191-197, 2013.
5)Simel DL, et al : The Rational Clinical Examination ; Evidence-Based Clinical Diagnosis(JAMA & Archives Journals). Ohio, McGraw-Hill, 2008.
6)Karassa FB, et al : Meta-analysis ; test performance of ultrasonography for giant-cell arteritis. Ann Intern Med 142(5): 359-369, 2005.
7)Bley TA, et al : Diagnostic value of high-resolution MR imaging in giant cell arteritis. AJNR 28(9): 1722-1727, 2007.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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