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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻11号

2015年11月発行

文献概要

特集 レアだけど重要な「痛み」の原因─システム1診断学 【部位別システム1診断アプローチ】

筋肉痛でレア疾患のシステム1診断

著者: 中村孝人1

所属機関: 1JCHO星ヶ丘医療センター総合内科・呼吸器内科

ページ範囲:P.1031 - P.1037

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Case 1
肩関節周囲炎として外用剤で加療を受けていた「リウマチ性多発性筋痛症」の1例
患者:70歳,女性.
現病歴:来院2日前,朝,寝返りがうてないことで目覚めた.痛みは首筋から肩にかけて強く,体動によって悪化する.1時間程度してやっと動けるようになってきた.近医を受診し,「肩関節周囲炎」として処方を受けたが改善せず,当院受診.身体所見では髄膜刺激症状は認めず.側頭動脈の左右差は認めず.両上肢挙上は両肩疼痛のため不可能であった.また臥位から立位へ体位変換時に,体幹部の疼痛が強い.血液検査では赤沈1時間値98mmと上昇を認めた.赤沈値の顕著な上昇を認めた高齢の女性が,体幹を中心とする筋骨格系の突発性の激しい疼痛を呈したことから,「リウマチ性多発性筋痛症(PMR)」を疑った.敗血症の除外のため血液培養2セットを施行し,PSL 10mg内服治療を開始した.翌日には体幹を中心とした朝のこわばり・疼痛は激減した.

参考文献

1)山本万希子,他:高齢者のコモンディジーズ;リウマチ性多発性筋痛症.岸本暢将(編):すぐに使えるリウマチ・膠原病診療マニュアル.pp200-205, 羊土社,2009. <PMRおよびPMR類縁症状を呈する疾患について要約されてわかりやすい>
, 2015. <腫瘍随伴性症候群としての膠原病様症状についてわかりやすく記載されまとめられている>
3)岸本暢将,他:〈関節リウマチと間違われる疾患〉RS3PE.岸本暢将(編):すぐに使える リウマチ・膠原病診療マニュアル.pp36-38,羊土社,2009. <イラスト付きでポイントが押さえられ説明されている>
4)友成暁子,他:『あちこち痛い!』そんな患者さんが来たら?(線維性筋痛症を含む).岸本暢将(編):すぐに使える リウマチ・膠原病診療マニュアル.pp227-232,羊土社,2009. <実態がとらえにくい線維性筋痛症の見逃しがないように,「さまざまな視点」からコンパクトにまとめられていてわかりやすい>
5)和田典男,他:副甲状腺機能低下症.吉岡成人(編):内分泌代謝疾患レジデントマニュアル 第3版.pp129-133,医学書院,2010. <コンパクトにエッセンスが詰まっている>
6)三森明夫:膠原病診療ノート 第3版.pp254-303,日本医事新報社,2013. <三森先生の経験も踏まえて記載されており,エビデンスだけでなく,「実体験に基づく生きた知識」も取得することができる名著>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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