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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア 【併存疾患のある慢性疾患管理】

COPD(慢性閉塞性肺疾患)と併存疾患—糖尿病を合併した場合

著者: 喜舎場朝雄1

所属機関: 1沖縄県立中部病院 呼吸器内科

ページ範囲:P.1098 - P.1102

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Case
COPD診断に伴い,血糖コントロールが悪化した一例
患者:67歳,男性.現喫煙者(30本/日×47年).
主訴:労作時呼吸困難.
既往歴:糖尿病(60歳〜).COPD(65歳〜.最近2年間で,急性増悪のために5回の入院歴あり).
現病歴:現在も禁煙できておらず入退院を繰り返しており,外来受診もやや不規則.糖尿病に関しては,COPDと診断され入院を繰り返すようになってから,HbA1c 6.5〜7.0%で推移していたのが,7.5%前後から低下しなくなってきた.
 今回は,3日前から息切れの程度が普段より悪化して,自宅のトイレに行くにも休息が必要となり,喀痰の膿性化もみられ,食事の摂取量低下もあり,当院救急室を受診した.
身体所見:脈拍数90回/分,呼吸数32回/分,体温37.8℃,SpO2 87%(室内気).
 起座呼吸で,胸部聴診で両側に喘鳴があった.心音はS3・S4は聴取せず.腹満および四肢に浮腫なし.
血液検査:WBC 12,000/μl,CRP 5.6mg/dlと,炎症反応の上昇がみられた.血糖値は220mg/dlで,HbA1cは7.6%であった.心電図は洞調律で,STの変化なし.
胸部単純X線:過膨張があって横隔膜の平低下がみられたが,新しい陰影はなし.
喀痰塗抹:膿性な喀痰で,グラム染色でグラム陰性球桿菌が多数あり,貪色像もみられた.
診断:インフルエンザ桿菌の感染によるCOPDの急性増悪.
退院時の対応:肺炎球菌ワクチンの接種.禁煙外来への案内.家族とともにCOPDと糖尿病の状態が不安定であることを再確認し,チームで治療に取り組むことと,かかりつけ医をもって専門医との2人主治医制とすることを理解してもらった.

参考文献

1)日本呼吸器学会(編):COPDの診断と治療のためのガイドライン 第4版.メディカルレビュー社,2013.
2)Tashkin D, et al:Effect of tiotropium in men and women with COPD;results of the 4-year UPLIFT trial. Respir Med 104(10): 1495-1504, 2010.
3)Berton DC, et al:Effects of tiotropium and formoterol on dynamic hyperinflation and exercise endurance in COPD. Respir Med 104(9): 1288-1296, 2010.
4)Sharafkhaneh A, et al:Safety and tolerability of inhalational anticholinergics in COPD. Drug Healthic Patient Saf 5 : 49-55, 2013.
5)Criner GJ, et al:Executive summary ; Prevention of acute exacerbation of COPD. Chest 147(4): 883-893, 2015.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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