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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア 【併存疾患のある慢性疾患管理】

慢性腎臓病と併存疾患—「疼痛」を伴う場合の薬物療法

著者: 杉本俊郎12

所属機関: 1滋賀医科大学総合内科学講座(地域医療支援) 2東近江総合医療センター 統括診療部総合内科部

ページ範囲:P.1112 - P.1115

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Case
鎮痛薬の投与とアンジオテンシン阻害薬の増量にて腎障害をきたした慢性腎臓病の一例
患者:60歳台,男性.
既往歴:高血圧,高コレステロール血症,慢性腎臓病,膝変形性関節炎で近医受診中.
現病歴:ここ数週間で,「全身倦怠感」「運動時呼吸困難」「両下肢の浮腫」が増悪し,地域中核病院の総合内科初診外来を受診.
 過去5年間,ロンゲス10mg,リピトール10mg,モービック5mg屯用にて安定していた.しかし3カ月前から,転倒を機に膝の痛みが悪化し,モービック5mg×3に増量.その後,次第に血圧が上昇し,ロンゲス20mgに増量されていた.
 腎機能は,血清クレアチニン(Cr)3.51mg/dl,血中尿素窒素(BUN)61mg/dl(半年前はCr 0.96mg/dl,BUN 18mg/dl)と「腎障害」を呈していた.
 この患者の腎障害の成因は何であろうか?
※本例は『JAMA internal medicine』のhigh value care(米国Choosing Wiselyキャンペーンの一環に関する連載「teachable moment Less is More」1)の一例を参考にした.

参考文献

1)Kumar B, et al:Nonsteroidal anti-inflammatory drug use in a patient with hypertension;a teachable moment. JAMA Intern Med 175(6):892-893, 2015. <high value care に関する症例の連載の一例>
2)Williams AW, et al:Critical and honest conversations;the evidence behind the "Choosing Wisely" campaign recommendations by the American society of nephrology. Clin J Am Soc Nephrol 7(10):1664-1672, 2012.<ASNが提唱したChoosing Wiselyに関する解説がまとめてある>
3)Abuelo GJ:Normotensive ischemic acute renal failure. N Engl J Med 357(8):797-805, 2007. <NSAIDsがGFRに及ぼす影響を簡潔に解説している>
4)Rahman S, et al:Nonsteroidal antiinflammatory Drugs, Cyclooxygenase-2, and the kidneys. Prim Care 41(7): 803-821, 2014. <NSAIDsの腎臓への影響をまとめてある>
5)Dreisculte T, et al:Combined use of nonsteroidal anti-inflammatory drugs with diuretics and/or renin-angiotensin system inhibitors in the community increases the risk of acute kidney injury. Kidney Int 88(2):396-403, 2015. <RAS系阻害薬・利尿薬・NSAIDs併用によるAKIが,想定より高頻度で発生していることを示した英国からの報告>
6)Wu J, et al:Chronic pain and analgesic use in CKD;implications for patient safety. Clin J Am Soc Nephrol 10(3):435-442, 2015.<米国における検討だが,CKD患者における慢性疼痛の併発はよくみられ,鎮痛薬の投与による薬剤関連性の障害は,疼痛の程度が高いほど増加するので,CKD患者における慢性疼痛の存在を知ることは患者を安全に管理する観点から重要であると述べている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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