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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア 【併存疾患のある慢性疾患管理】

関節リウマチと併存疾患—複合疾患群(マルチモビディティ)としての治療戦略

著者: 津田篤太郎1

所属機関: 1聖路加国際病院 リウマチ膠原病センター

ページ範囲:P.1116 - P.1122

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Case
関節リウマチの治療中に発熱・呼吸困難をきたした一例
患者:73歳,男性.
既往歴:65歳時,前立腺癌で放射線小線源治療を受けた.71歳時,左下肢静脈瘤手術,脂質異常症.
家族歴:特になし.
現病歴:48歳時に「関節リウマチ」と診断され,他院でメトトレキサートの投与を受けていた.
 X年1月頃より発熱・盗汗の症状が出現し,その後半年で約5kgの体重減少がみられた.同年5月初旬,自宅で右下腿を打撲し,その後創部に発赤・熱感が出現した.同月20日に,近くの皮膚科医院で外用剤を処方された.その後,発熱・悪寒が出現し,階段昇降時に呼吸困難を訴えるようになったため,同月23日に当院救急外来を受診された.
血液検査所見:WBC 2,600/μl,Hb 11.3g/dl,Plt 38万/μl,BUN 23.7mg/dl,Cr 0.79mg/dl,AST 93IU/l,ALT 210IU/l,LDH 902IU/l,ALP 604IU/l,T-Bil 4.8mg/dl,CK 41IU/l,CRP 7.17mg/dl.
画像所見:胸部単純X線では右中肺野に網状影,造影CTでは右頸部・両側腋窩・鼠径部にリンパ節腫脹,肺には両側上葉に小葉撒布性の病変を認めたほか,胆囊胆石と肝腫大も認められた.

参考文献

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10)Lopez-Olivo MA, et al:Risk of malignancies in patients with rheumatoid arthritis treated with biologic therapy;a meta-analysis. JAMA 308(9): 898-908, 2012. <24週以上追跡されている63のランダム化比較試験,29,423人の患者のデータをもとにした大規模メタアナリシス>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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