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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア 【スペシャル・アーティクル】

「ポリファーマシー」とは何か,何が問題なのか

著者: 福士元春1

所属機関: 1武蔵野国分寺公園クリニック

ページ範囲:P.1127 - P.1130

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Case
よくみられる高齢者のポリファーマシーの一例
患者:84歳,男性.
現病歴:肺炎のため1カ月の入院治療のあと,自宅へ退院.廃用が進み,臥床状態となったため,訪問診療の依頼となる.病院からの紹介状では,高血圧・糖尿病・脂質異常症・前立腺肥大症・睡眠障害に対する薬剤7剤が処方されていた.加えて,他院整形外科からは鎮痛薬・胃薬・抗不安薬・湿布,眼科から白内障の点眼薬,かかりつけ医院からは認知症治療薬が処方されていた.
 そこで,高血圧・糖尿病・脂質異常症などの予防目的で投薬されている優先度の低い薬から段階的に減薬を行った.睡眠薬・抗不安薬を中止したところ排尿障害も改善し,最終的には内服薬はすべて中止となり,湿布のみとなった.減薬後ただちに食欲が改善し,リハビリテーションにも積極的に取り組めるようになった.退院3カ月後には端座位保持も可能となり,歩行訓練が始まっている.

参考文献

1)Fried TR, et al:Health outcomes associated with polypharmacy in community-dwelling older adults;a systematic review. J Am Geriatr Soc 62(12): 2261-2272,2014. <真のアウトカムを検討したシステマティック・レビュー>
2)浜野淳:診療所・在宅・施設におけるポリファーマシー──海外のエビデンス.徳田安春(編):提言──日本のポリファーマシー.ジェネラリスト教育コンソーシアム 2 : 104-113, 2012. <ポリファーマシーの特集号>
3)青島周一:1. CLINICAL EVIDENCE SUMMARIES特集:ポリファーマ—のゆくえ.地域医療の見え方 1(10), 2015.http://jp.bloguru.com/syuichiao/234314/2015mar18110(2015年11月9日現在) <特集でポリファーマシーのエビデンスを概説している>
4)Hamano J, et al : Inappropriate prescribing among elderly home care patients in Japan ; prevalence and risk factors. J Prim Care Community Health 5(2):90-96, 2014.
5)Onda M, et al:Identification and prevalence of adverse drug events caused by potentially inappropriate medication in homebound elderly patients;a retrospective study using a nationwide survey in Japan. BMJ Open 5(8): e007581, 2015. <日本の在宅患者を対象とした,PIMと薬剤有害事象の関係についての横断研究>
6)Patterson SM, et al:Interventions to improve the appropriate use of polypharmacy for older people. Cochrane Database Syst Rev 10 : CD008165,2014. <スクリーニングツールを用いたポリファーマシーへの介入研究のシステマティック・レビュー>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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