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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア 【スペシャル・アーティクル】

マルチモビディティにおける治療優先順位と倫理的ジレンマ—「あちらを立てれば,こちらが立たず」からの合意形成

著者: 尾藤誠司1

所属機関: 1国立病院機構 東京医療センター 教育研修部

ページ範囲:P.1131 - P.1134

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Case
内視鏡検査を受けることに拒否的態度を示している貧血のある女性の一例
患者:88歳,女性.
現病歴:「高血圧」「心房細動(NVAF:非弁膜症性心房細動)」「2型糖尿病」に長年罹患しており,CHADS2-VAScスコアは6点である.そのため現在,かかりつけの内科医院からNOAC(新規経口抗凝固薬)の処方が行われている.
 一方,「変形性膝関節症」の持病があり,ADLに著しい制限はないが疼痛に悩んでいた.整形外科からは人工関節置換術を勧められていたが,「いまさら手術をするのはこわい」ため手術は見送っていた.現在,同整形外科よりCOX-2阻害薬,アセトアミノフェン/トラマドール,プロトンポンプ阻害薬の処方が行われている.
 今回偶然受けた健診検査で,昨年はHb 11.2g/dlだったが,今年は9.8g/dlになっていた.かかりつけの内科医は,上部消化管の「潰瘍」もしくは「悪性腫瘍」があるのではないかと仮説している.潰瘍であれば,COX-2阻害薬の中止やNOACの中止を検討するべきだし,何よりもとりあえずは上部消化管内視鏡検査をすべきであるため,患者に対して「胃カメラをしたほうがよいです」と説明したが,患者は「何年か前に胃カメラで死ぬようなこわい思いをしたので,もうこりごり.やりたくないです」と答えた.

参考文献

1)トム・L・ビーチャム,ジェイムズ・F・チルドレス:生命医学倫理.成文堂,1997.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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