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特集 総合医のためのスポーツ医学ベーシックス 【総論】
プライマリ・ケアの現場で必要なスポーツ医学とは
著者: 小林裕幸1
所属機関: 1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター
ページ範囲:P.106 - P.109
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通院中の中年男性,運動許可は?
患者:43歳男性.
現病歴:高血圧,脂質異常症,肥満あり,内服治療中.
相談内容:同僚の友達にフットサルに誘われた.学生時代,サッカー部で,やせていて持久力はあったが,仕事をしてから運動せずBMI 30.診療所に定期受診で相談された.
対処法:まずは,心血管系のリスクを評価,運動前のメディカルチェックを行う.Paffenbargerのハーバード大学同窓生の研究2)によると,学生時代に激しい運動を行っていた人が長期間にわたりやめてしまうと,運動をずっとしていなかった対照に比べ,心血管系のリスクが高いという疫学的報告がある.原因は明らかではないが,学生時代の食事を含めた生活習慣が,運動を中止した後も続いた可能性がある.高強度の身体活動ができること自体は,独立した心血管系リスクの低下となるが,本症例では心血管系リスクが高く,運動負荷心電図などの運動前のスクリーニングが望ましい.
通院中の中年男性,運動許可は?
患者:43歳男性.
現病歴:高血圧,脂質異常症,肥満あり,内服治療中.
相談内容:同僚の友達にフットサルに誘われた.学生時代,サッカー部で,やせていて持久力はあったが,仕事をしてから運動せずBMI 30.診療所に定期受診で相談された.
対処法:まずは,心血管系のリスクを評価,運動前のメディカルチェックを行う.Paffenbargerのハーバード大学同窓生の研究2)によると,学生時代に激しい運動を行っていた人が長期間にわたりやめてしまうと,運動をずっとしていなかった対照に比べ,心血管系のリスクが高いという疫学的報告がある.原因は明らかではないが,学生時代の食事を含めた生活習慣が,運動を中止した後も続いた可能性がある.高強度の身体活動ができること自体は,独立した心血管系リスクの低下となるが,本症例では心血管系リスクが高く,運動負荷心電図などの運動前のスクリーニングが望ましい.
参考文献
1)American College of Sports Medicine : ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 9ed. Lippincott Williams & Wilkins, 2013. <アメリカスポーツ医学会定番の運動処方のバイブル>
2)Paffenbarger RS, et al : Exercise intensity and longevity in men. The Harvard Alumni Health Study. JAMA 273(15) : 1179-1184, 1995. <ハーバード大学同窓生の死亡率と運動強度の疫学調査研究>
3)Herring SA, et al : Team Physician Consensus Statement : 2013 update. Med Sci Sports Exerc 45(8) : 1618-1622, 2013. <米国の6つの学会が合同で決めているチームドクターの役割,責務についてのコンセンサス>
4)Brukner P, et al : Clinical Sports Medicine, 4ed. McGraw-Hill, 2011. <プライマリ・ケア医向けに書かれたわかりやすいスポーツ医学の教科書.日本語訳も出版あり>
5)Kobayashi H, et al : Early return of a professional soccer player with rheumatoid arthritis by Methotrexate and Glimumab. ACSM's 61st Annual Meeting, Florida, 2014. <関節リウマチを発症したプロサッカー選手の早期復帰ケースの症例発表>
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