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特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回 【診断アプローチの進歩】
個人の生活の質QOLとPRO評価とは何か?
著者: 大生定義1 中島孝2
所属機関: 1立教大学社会学部 2独立行政法人国立病院機構 新潟病院
ページ範囲:P.222 - P.226
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健康状態のアウトカムと健康関連QOL
疾病は教科書的には5あるいは6D(Death, Disease, Discomfort, Disability, Dissatisfaction, Destitution:死,疾患あるいは病い,不快,能力障害,不満足,貧困)を招来するとされるが,難病(原因不明で,治療方法が未確立であり,生活面で長期にわたり支障が生じる疾病のうち,がん,生活習慣病を除くもの)ではもっと重要なアウトカムは,患者が生活をどう捉えているか,すなわち生活の質QOLであることは自明であろう.QOLとは何かについては拙著1, 2)を参考にして頂きたいが,自分自身の“こうありたい”という状態と現状認識のギャップと捉えることもできる.その含む範囲は図13)にあるように広いこともあり,医薬品・医療機器の臨床評価などには扱いやすい健康関連QOLが使われてきた(SF-36, EQ-5Dなど).その評価項目は患者・家族・専門家などの話から,研究者が分析・吟味を重ねて決定していく.通常多項目を含む,プロファイル型が使われる(SF-36など).また,パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など特定の疾患向けに作成された疾患特異的な評価尺度と,いろいろな疾患に広く使われる包括的尺度がある.包括的尺度の中には効用値と呼ばれるような,患者が健康状態の価値づけを1つの数字で表す選好による尺度もある(EQ-5Dなど).
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