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特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回 【症状コントロールの進歩】
パーキンソン病と関連症状コントロール—ウェアリングオフ現象に対するcontinuous dopaminergic stimulation
著者: 大田健太郎1 池田哲彦1
所属機関: 1独立行政法人 国立病院機構新潟病院神経内科
ページ範囲:P.227 - P.229
文献購入ページに移動患者:70歳,女性.
病歴:62歳パーキンソン病発症.発症後8年目の某日,朝,内服薬を飲み忘れて動けなくなり,翌日の朝に発見された.
家庭環境:独居.介護者は独身の息子のみで,遠距離通勤者(4時間/日).
神経学的所見:on時(ヤールⅢ);寡動,すくみ足,前傾姿勢,姿勢保持障害を認めた.右足関節が底屈(ジストニア).off時(ヤールⅤ);ほぼ無動無言,右足のジストニアがさらに悪化.
経過と考察:当初ロピニロール3mg/日(分3)が投与されていたが,ウェアリングオフ現象(G1)が残存したのでロピニロール除放剤4mg/日に切り替えたところ,ウェアリングオフ現象は消失.介護環境が不良で,offの存在が致命的になる状況下においてはCDS(G2)の概念を持って治療に当たり,off時の短縮に努めるべきである.右足のジストニアにはA型ボツリヌス毒素を筋肉注射し,改善を認めた.歩行障害の治療は複合的なアプローチが重要である.
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