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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻3号

2015年03月発行

文献概要

特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回 【症状コントロールの進歩】

PEGの最新の進歩

著者: 会田泉1 今里真2

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構新潟病院神経内科 2独立行政法人国立病院機構新潟病院消化器内科

ページ範囲:P.233 - P.236

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Case
NPPV管理下にPEG造設を行ったALSの1例
患者:57歳,男性.
現病歴:54歳時より歩行時の易疲労性を自覚.55歳時に杖歩行となった.数カ月後には歩行困難となり,息苦しさも自覚するようになった.神経内科を受診し,四肢・体幹の筋力低下と筋萎縮,腱反射亢進などを認め,ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断.呼吸機能も低下していたため,NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)を導入し,24時間装着となった.嚥下障害のため経口摂取も困難となり,57歳時にPEG(胃瘻)造設目的で当院に入院した.動脈血ガス分析は,pH 7.43, Pco2 45.0Torr,Po2 98.4Torr,呼吸機能はFVC 1.22l(36%),呼吸器(BiPAP SynchronyⅡ鼻マスクで使用)の設定は,S/TモードIPAP 20cmH2O,EPAP 4cmH2O,呼吸回数14回/分であった.当院の手術室で下記の術式で鼻マスクによるNPPV管理下にPEG造設を行い,安全にPEGチューブを留置することができた.

参考文献

1)Miller RG, et al : Practice parameter update ; the care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis ; drug, nutritional, and respiratory therapies(an evidence-based review) ; report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology 73(15) : 1227-1233, 2009. <約10年ぶりに改訂された米国神経学会のALS診療ガイドラインです>
2)日本神経学会:筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン2013. <ALS診療に携わるすべての医師を対象として実地診療に役立ち活用されることを目指して編集されています>
3)会田泉:ALSと筋ジス患者さんのNPPV導入後のPEGの実際例.難病と在宅ケア 12(12) : 21-24, 2007. <当院では2005年から細径の上部消化管内視鏡をPEGに使用しています>
4)J Yagi, et al : A prospective randomized comparative study on the safety and tolerability of transnasal esophagogastroduodenoscopy. Endoscopy 37 : 1226-1231, 2005. <鎮静剤を使用せずに上部消化管内視鏡検査を行った場合の呼吸循環動態の変化について,細径内視鏡と標準タイプの内視鏡とを比較しながら記載されています>
5)Suzuki Y, et al : The sky blue method as a screening test to detect misplacement of percutaneous endoscopic gastrostomy tube at exchange. Internal Medicine 48 : 2077-2081, 2009. <スカイブルー法を用いることでカテーテルの腹腔内誤挿入が予測可能>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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