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文献概要
特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回 【症状コントロールの進歩】
神経・筋難病疾患の呼吸ケアの進歩
著者: 遠藤寿子1 中島孝1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構新潟病院神経内科
ページ範囲:P.238 - P.241
文献購入ページに移動呼吸数増加を認め,NPPVを早期に導入したALS症例
患者:71歳,男性.
現病歴:69歳時に右上肢の筋力低下を自覚し,発症から4カ月後に当科を初診,ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断した.リハビリテーションを行いながら外来通院を継続し,発症1年後の%FVC(努力性肺活量)は103.1%,CPF(咳の最大流量)は440l/分,呼吸数は16回/分であった.徐々に四肢筋力低下は進行したが,独歩可能な状態であった.発症2年後の%FVCは72.2%,CPFは360l/分であったが,安静時の呼吸数が24回/分と増加しており,痰の喀出困難を訴えたため,ご本人に説明・同意取得後に夜間NPPVとMAC(機械による咳介助,G1)を導入した.発症から2年2カ月後に食事中にむせ,誤嚥性肺炎を発症し,呼吸不全に陥ったが,抗菌薬投与,NPPVとMACによる呼吸ケアを行い,肺炎は軽快した.肺炎発症時,%FVC16.9%,CPF 235l/分まで低下していた.その後,経鼻内視鏡を使い,胃瘻造設し,24時間NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)をしながら自宅療養が可能となった.
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