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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻3号

2015年03月発行

文献概要

特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回 【症状コントロールの進歩】

神経・筋難病疾患の呼吸ケアの進歩

著者: 遠藤寿子1 中島孝1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構新潟病院神経内科

ページ範囲:P.238 - P.241

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Case
呼吸数増加を認め,NPPVを早期に導入したALS症例
患者:71歳,男性.
現病歴:69歳時に右上肢の筋力低下を自覚し,発症から4カ月後に当科を初診,ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断した.リハビリテーションを行いながら外来通院を継続し,発症1年後の%FVC(努力性肺活量)は103.1%,CPF(咳の最大流量)は440l/分,呼吸数は16回/分であった.徐々に四肢筋力低下は進行したが,独歩可能な状態であった.発症2年後の%FVCは72.2%,CPFは360l/分であったが,安静時の呼吸数が24回/分と増加しており,痰の喀出困難を訴えたため,ご本人に説明・同意取得後に夜間NPPVとMAC(機械による咳介助,G1)を導入した.発症から2年2カ月後に食事中にむせ,誤嚥性肺炎を発症し,呼吸不全に陥ったが,抗菌薬投与,NPPVとMACによる呼吸ケアを行い,肺炎は軽快した.肺炎発症時,%FVC16.9%,CPF 235l/分まで低下していた.その後,経鼻内視鏡を使い,胃瘻造設し,24時間NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)をしながら自宅療養が可能となった.

参考文献

1)日本神経学会,日本小児神経学会,国立精神・神経医療研究センター(監修):デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン 2014.南江堂,2014. <DMDの診療で遭遇する多様な医療課題について,EBMに基づいてQ&A方式でまとめてある>
2)日本神経学会(監修):筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン 2013.南江堂,2013. <ALSの診療で遭遇する多様な医療課題について,EBMに基づいてQ&A方式でまとめてある>
3)日本神経治療学会治療指針作成委員会(編):標準的神経治療 重症神経難病の呼吸ケア・呼吸管理とリハビリテーション. 神経治療学 30(2):191-212, 2013. <神経難病の呼吸障害に対する診療指針について,各疾患別にまとめられている>
4)石川悠加(編):これからの人工呼吸 非侵襲的陽圧換気療法NPPVのすべて.医学書院,2008. <NPPVを含む呼吸ケアについて,基礎からわかりやすく解説している>
5)中島孝,他:ALSの在宅NPPVケア.日本在宅医学会雑誌 12(2):158-168, 2011. <診断から心理サポートまでALSの包括的ケアについて述べられている>
6)中島孝,他:筋ジストロフィー診療の現状 診断から治療まで(その2)(症状コントロールと包括的ケア).超音波検査技術 35(4) : 433-445, 2010. <筋ジストロフィー診療の主に症状コントロールについて,包括的に述べられている>
7)中島孝,他:筋ジストロフィー診療の現状─診断から治療まで(その1)(症状から検査へ).超音波検査技術 34 : 688-689, 2009. <筋ジストロフィーの症状や必要な検査についてまとめられている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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