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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻5号

2015年05月発行

文献概要

特集 咳を聴きとり,咳を止める 【咳の原因の全体像を捉える】 ●病態生理を理解する

咳を主訴とする呼吸器感染症の病原体診断

著者: 金城武士1 藤田次郎1

所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学

ページ範囲:P.435 - P.438

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はじめに
 咳嗽はほとんどの呼吸器感染症において認められる一般的な症状である.感染性咳嗽の原因として最も頻度が多いのは,ウイルスによる上気道炎であるが,咳嗽が遷延する場合には,マイコプラズマや肺炎クラミジア,百日咳などを鑑別する必要がある.感染症の診断方法は大きく分けて,病原微生物そのものを検出する方法と,病原微生物に対する生体反応をみる方法の2つがあるが,一般的に感染の直接証拠を検出する前者のほうが後者よりも診断的価値が高いことが多い.上述した病原体のうち,病原微生物そのものを検出する方法が保険適用を取得しているのは,呼吸器ウイルスの一部とマイコプラズマのみである.
 本稿では,呼吸器ウイルス,マイコプラズマ,肺炎クラミジア,百日咳の診断について,現在用いられている方法の有用性と問題点などを述べながら解説したい.

参考文献

1)Keitel K, et al : Performance characteristics of a rapid immunochromatographic assay for detection of pandemic influenza A(H1N1)virus in children. Eur J Pediatr 170(4): 511-517, 2011. <18歳以下のA型インフルエンザ患者の迅速抗原検査陽性率を調べた論文>
2)成田光生:マイコプラズマ感染症診断におけるIgM抗体迅速検出法の有用性と限界.感染症学雑誌 81(2):149-154, 2007. <イムノカードマイコプラズマの有用性と限界について検討している>
3)Miyashita N, et al : Evaluation of serological tests detecting Chlamydophila pneumoniae-specific immunoglobulin M antibody. Intern Med 45(20) : 1127-1131, 2006. <ELISA法による肺炎クラミジアIgM抗体測定の問題点について述べられている>
4)Kishimoto T, et al : Assay of Chlamydia pneumoniae-specific IgM antibodies by ELISA method : reduction of non-specific reaction and resetting of serological criteria by measuring IgM antibodies. Jpn J Infect Dis 62(4) : 260-264, 2009. <肺炎クラミジアの血清抗体価による診断基準が記載されている>
5)Viljanen, et al : Serological diagnosis of pertussis: IgM, IgA and IgG antibodies against Bordetella pertussis measured by enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA). Scand J Infect Dis 14(2) : 117-122, 1982. <百日咳菌の培養陰性症例における抗体測定の意義について述べられている>
6)日本呼吸器学会(編):咳嗽に関するガイドライン第2版.メディカルレビュー社,2012. <日本呼吸器学会による咳嗽の診断,治療に関するガイドライン>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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