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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻5号

2015年05月発行

文献概要

特集 咳を聴きとり,咳を止める 【随伴症状と咳:診断アプローチを理解する】

後鼻漏を伴う咳を見た際には?

著者: 黒野祐一1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

ページ範囲:P.472 - P.475

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Case
慢性副鼻腔炎により湿性咳嗽を生じた1例
患 者:62歳,女性.
現病歴:3カ月前から咳嗽が続くため近医内科を受診したが,喘息等の下気道疾患はないと言われた.鼻汁がのどに流れる感じがあるため,耳鼻咽喉科受診を勧められ来診した.鼻閉があり,前鼻鏡検査で鼻茸を認めた.中咽頭の視診で咽頭後壁に粘稠な分泌物の付着があるため,鼻咽腔電子内視鏡検査を行ったところ,粘膿性の後鼻漏を認めた(図1).副鼻腔X線およびCTで両側上顎洞に陰影があり(図2),慢性副鼻腔炎と診断し,マクロライドと消炎酵素剤を投与したところ,2週間で咳嗽が軽快し,後鼻漏も消失した.しかし,鼻茸を伴い再燃の可能性があるため手術を勧めた.

参考文献

1)Irwin RS, et al : Chronic cough ; the spectrum and frequency of causes, key components of the diagnostic evaluation, and outcome of specific therapy. Am Rev Respir Dis 141(3) : 640-647, 1990. <慢性咳嗽の原因として,慢性副鼻腔炎の後鼻漏によるものが最も多い>
2)Smyrnios NA, et al : From a prospective study of chronic cough ; diagnostic and therapeutic aspects in older adults. Arch Intern Med 158(11) : 1222-1228, 1998. <慢性咳嗽の原因で最も多いのが後鼻漏症候群で,約半数を占める>
3)Irwin RS, et al : Cough : a comprehensive review. Arch Intern Med 137(9) : 1186-1191, 1977. <後鼻漏による炎症,下気道の咳受容体の刺激によって咳嗽が生じる>
4)馬場 錬:後鼻漏と咳.MB ENT 59 : 8-16, 2006. <副鼻腔炎の後鼻漏による慢性咳嗽が最も多く,その診断と治療が重要>
5)Majima Y, et al : Efficacy of combined treatment with S-carboxymethylcysteine(carbocisteine)and clarithromycin in chronic rhinosinusitis patients without nasal polyp or with small nasal polyp. Auris Nasus Larynx 39(1) : 38-47, 2012. <慢性副鼻腔炎にはクラリスロマイシンとカルボシステインの併用が有効>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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