icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 高齢者救急の落とし穴─紹介する時,される時 【症状別ピットフォール─atypical presentationを中心に】

めまい・ふらつき—presyncopeや重篤疾患の鑑別を

著者: 高良剛 ロベルト1

所属機関: 1沖縄県立中部病院 救命救急センター

ページ範囲:P.535 - P.537

文献購入ページに移動
Case
ゲートボール中に繰り返すめまい
患者:73歳,男性.息子さんと2人暮らし.
既往歴:高血圧,慢性腎臓病,高尿酸血症.
現病歴:この1カ月,ゲートボール中にクラクラとするような「めまい」が出現し,自然軽快することを繰り返していると診療所を受診.「ボールを打つ瞬間,クラクラとした」という訴えであり,「目が回った」とのことで,回転性めまいと判断.受診時には,めまいなく,意識状態や血圧などのバイタルサインは正常,神経学的所見も問題なかった.心電図・血液検査も特に問題なく,再現性はないものの良性頭位性めまいの疑いで内服薬にて経過観察とした.
 その1カ月後,同様の訴えにて受診あり.その1週間後にも同様の訴えあり.4度目の受診時,症状が繰り返しているということで,経過観察ベッドにて心電図モニター下に経過を見ていたところ,症状出現時に高度徐脈あり,最長6秒の洞停止を認めたため,洞不全症候群として緊急に循環器科に紹介し,ペースメーカー挿入となった.
教訓:高齢者の訴えるめまいは,症状の聞き取りが診断に大きく寄与するが,表現力や理解力の違いなどもあり,気をつけないと誘導尋問になりかねないことを肝に命じる.毎回ひととおりの鑑別,特に脳神経系・心血管系の評価は怠らずに繰り返し行うべきである.また,特に診察時無症状の時は,オーバートリアージで重篤な疾患の可能性も必ず鑑別に入れておくことを忘れない.このケースは毎回心電図チェックをしていたが,たまたま受診時に症状があり診断しえたケースである.

参考文献

1)Maarsingh OR, et al : Causes of persistent dizziness in elderly patients in primary care. Ann Fam Med 8(3): 196-205, 2010.
2)Newman-Toker DE, et al : Spectrum of dizziness visits to US emergency departments : cross-sectional analysis from a nationally representative sample. Mayo Clin Proc 83(7) : 765-775, 2008.
3)高田史門,志水太郎:めまい.JIM 23(7) : 550-551, 2013.
4)Newman-Toker DE, et al : How often is dizziness from primary cardiovascular disease true vertigo? A systematic review. J Gen Intern Med 23(12) : 2087, 2008.
5)Strickberger SA, et al : AHA/ACCF scientific statement on the evaluation of syncope. Circulation 113 : 316-327, 2006.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?