icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 高齢者救急の落とし穴─紹介する時,される時 【症状別ピットフォール─atypical presentationを中心に】

胸痛—five killer chest painを鑑別する

著者: 佐藤泰吾12

所属機関: 1諏訪中央病院 内科 2諏訪中央病院 総合診療部

ページ範囲:P.541 - P.543

文献購入ページに移動
Case
胸痛を主訴に受診した血管リスクの高い80歳男性
患者:80歳,男性.認知症および高血圧で通院中,重喫煙者である.
現病歴:就寝中に急激に生じた激しい胸痛を主訴に受診となった.来院時,バイタルは安定していたが,激しい前胸部痛が持続していた.身体所見上はっきりとした所見を認めなかった.心電図でⅡ,Ⅲ,aVFにST-T変化を認めたために,緊急で心臓カテーテル検査を行ったところ,冠動脈に有意狭窄は認めなかった.
 入院後の検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.本人は相変わらず前胸部痛を訴えている.改めて身体所見をとってみるが,特に腹部の所見を認めなかった.腹部画像検査を行ったところ,胆石および総胆管結石の所見を認めたために,抗菌薬投与とEST(内視鏡的乳頭切開術)が施行された.その後,本人の前胸部痛も改善し,退院の運びとなった.

参考文献

1)Fruergaard P, et al : The diagnoses of patients admitted with acute chest pain but without myocardial infarction. Eur Heart J 17(7) : 1028-1034, 1996. <入院時心筋梗塞を疑われたが,最終診断がそうならなかった症例のまとめ>
2)Kelly BS : Evaluation of the elderly patient with acute chest pain. Clin Geriatr Med 23(2) : 327-349, 2007. <高齢患者における急性発症の胸痛の評価がしっかりとまとめられている>
3)Chung-Lieh Hung, et al : Atypical chest pain in the elderly : prevalence, possible mechanisms and prognosis. Int J Gerontol 4(1) : 1-8, 2010. <高齢患者の非典型的な胸痛についてまとめられている>
4)岩田充永:救急診療における高齢者のアセスメント・初期対応.日老医誌 48(4) : 322-325, 2011. <救急診療における高齢患者の一般的評価についてまとめられている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?