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特集 高齢者救急の落とし穴─紹介する時,される時 【症状別ピットフォール─atypical presentationを中心に】
胸痛—five killer chest painを鑑別する
著者: 佐藤泰吾12
所属機関: 1諏訪中央病院 内科 2諏訪中央病院 総合診療部
ページ範囲:P.541 - P.543
文献購入ページに移動胸痛を主訴に受診した血管リスクの高い80歳男性
患者:80歳,男性.認知症および高血圧で通院中,重喫煙者である.
現病歴:就寝中に急激に生じた激しい胸痛を主訴に受診となった.来院時,バイタルは安定していたが,激しい前胸部痛が持続していた.身体所見上はっきりとした所見を認めなかった.心電図でⅡ,Ⅲ,aVFにST-T変化を認めたために,緊急で心臓カテーテル検査を行ったところ,冠動脈に有意狭窄は認めなかった.
入院後の検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.本人は相変わらず前胸部痛を訴えている.改めて身体所見をとってみるが,特に腹部の所見を認めなかった.腹部画像検査を行ったところ,胆石および総胆管結石の所見を認めたために,抗菌薬投与とEST(内視鏡的乳頭切開術)が施行された.その後,本人の前胸部痛も改善し,退院の運びとなった.
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