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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻7号

2015年07月発行

文献概要

特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア 【場面別頭部外傷初期アプローチ】

高齢者の軽症頭部外傷への対応

著者: 北野夕佳1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院救命救急センター

ページ範囲:P.635 - P.640

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Case
患者:80歳,男性.自宅で転倒し頭部打撲.
現病歴:自宅で午前4時に転倒し頭部打撲.家族が心配し自家用車で救急外来へ連れてきた.昨日午前8時から本日の午前8時までがあなたの救急当直.
●シナリオ1:頭部CT撮影にまわしたところ,あなたの救急当直時間帯だけで頭部打撲でのCT撮影依頼7件目であった.「もうちょっと考えてからCT依頼したらどうなんだ?!」と放射線科指導医から怒りの電話あり.
●シナリオ2:頭部に挫創もはっきりしない程度の頭部打撲であり,頭部CTは必要ないと判断して帰宅させたところ,意識レベル低下で同日夕方,救急車で搬送された.その時に撮影された頭部CTではmidline shiftを伴う慢性硬膜下血腫を認め,同日穿頭血腫除去術となった.「朝,救急外来に連れてきた時にどうして頭部CTを撮ってくれなかったんですか?!」と家族は不満を表明している.
●シナリオ3:頭部に挫創もはっきりしない程度の頭部打撲であったが,家族が不安そうなので頭部CT撮影した.急性期頭蓋内病変は認めず帰宅とした.しかし翌々日,自宅内の階段で真後ろに転倒・転落して搬送された.頭部CTで外傷性くも膜下出血を認めた.この時の12誘導心電図でⅢ度房室ブロックを認め,それによる失神・転落外傷と判断された.あなたの救急外来受診時の記録を見返すと,看護師記録に「脈拍46」の記載あり.「一昨日に救急外来へ連れてきたのに,この不整脈は見つけてもらえなかったんでしょうか?!」と家族は不満を表明している.

参考文献

1)Stiell IG, et al : The Canadian CT Head Rule for patients with minor head injury. Lancet 357(9266): 1391-1396, 2001.
2)Mower WR, et al : Developing a decision instrument to guide computed tomographic imaging of blunt head injury patients. J Trauma 59(4): 954-959, 2005.
3)Haydel MJ, et al : Indications for computed tomography in patients with minor head injury. N Engl J Med 343(2): 100-105, 2000.
4)Christopher Colwell, et al : Geriatric trauma ; initial evaluation and management. Wolters Kluwer, updated Feb 03, 2015. URL http://www.uptodate.com/contents/geriatric-trauma-initial-evaluation-and-management
5)日本外傷学会・日本救急医学会(監):外傷初期診療ガイドライン第3版.p133,pp213-217,へるす出版,2009.
6)Zane RD, et al : Pocket Emergency Medicine 3rd Edition. pp18-2〜18-5, Wolters Kluwer, 2015.
7)一般社団法人日本救急医学会(監):救急診療指針 第4版.pp441-453,へるす出版,2011.
8)日本脳外科学会ホームページ:慢性硬膜下血腫 http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/307.html,急性硬膜下血腫 http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/305.html
9)Steven G, et al : Tarascon Adult Emergency Pocketbook 4th Edition, p189, Jones and Bartlett, 2009.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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