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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻7号

2015年07月発行

文献概要

特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア 【頭部外傷の慢性期ケアに必要な知識】

高次脳機能障害に対するリハビリテーション

著者: 原寛美1

所属機関: 1桔梗ヶ原病院 高次脳機能リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.667 - P.669

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Case
患者:40歳台,女性.
 X年Y月,普通車後部座席に座っていて大型バスと衝突し,左側頭部から後部ガラスを突き破りトランクの上に放り出された.意識障害をきたし,脳外科病院へ搬送され,左側頭部外傷性くも膜下出血と診断,2週間入院して退院.
 1カ月後より復職したが,文字を思い出せない,社員の名前が出てこない,などの記憶の障害を自覚.上司に相談したが,「40歳台では自分も同じ」と言われた.初療の脳外科病院を再診し,施行された長谷川式知能検査は正常範囲であったために「神経症かもしれない」と言われた.2カ月後に自賠責保険では「治癒」との診断書記載がなされた.
 しかし自覚症状と就労上の支障は持続,ストレスは昂じてきて,高次脳機能障害ではないかと,1年経過してから当院を受診.神経心理検査では人名など固有名詞の記銘想起が困難(固有名詞失名辞),リバーミード行動記憶検査(RBMT,G1)では標準プロフィール点は18点(24点中)であり,左側頭葉損傷による高次脳機能障害と診断.
 通院での認知リハビリテーションを開始し,精神障害者保健福祉手帳の診断書を記載,さらに自賠責保険による後遺障害の再認定交渉を開始し,4年後に障害等級7級(労働喪失率56%)と認定された.障害者職業センターでの職業リハビリテーションを経て,障害者雇用枠での再就労が可能となった.

参考文献

1)国立身体障害者リハビリテーションセンター:「高次脳機能障害支援モデル事業」による高次脳機能障害の診断基準.2004.
2)原 寛美(監):高次脳機能障害ポケットマニュアル第3版.医歯薬出版,2015.
3)Cicerone KD, et al : Evidence-based cognitive rehabilitation. Arch Phys Med Rehabili 92 : 519-530, 2011.
4)渡邉 修:認知リハビリテーションのエビデンス.Jpn J Rehabil Med 50 : 530-535, 2013.
5)戸田ルナ,他:M-メモリーノートの改訂と作業場面・日常場面での応用.認知リハビリテーション研究会(編):認知リハビリテーション2003. pp166-171, 新興医学出版社,2003.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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