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特集 診断ピットフォール10選─こんな疾患,見逃していませんか? 【各論❷】
ダメだ,自分の名前が書けない
著者: 土肥栄祐1
所属機関: 1県立広島病院 脳神経内科
ページ範囲:P.821 - P.825
文献購入ページに移動患者:71歳,男性,一人暮らし.娘に連れられて受診.
現病歴:2カ月前までは普通に生活することができていた.15年前から肝臓が少し悪く,消化器内科へ通院中であった.しかし2カ月前頃から,娘との待ち合わせなど約束したことを忘れることが目立つようになった.また,書類に名前を書いてもらう際に「ダメだ,書けない」と自分の名前が書けず,しかし休んだ翌日には書けるようになることもあった.このため,物忘れを心配され,神経内科へ紹介となった.
娘に話を聞くと,週に1回ほど様子を見に行くが,以前よりも部屋に物が散らかっていることが,この2カ月で4〜5回あったとのこと.
本人も「最近は物忘れが増えたと感じ,調子が悪い」と思っている.
内服薬:プロトンポンプインヒビター,ベンゾジアゼピン系睡眠薬(不眠時),ウルソデオキシコール酸など多種類.
診察では,意識は清明,バイタルサインは正常,身体所見,神経学的所見とも異常なし.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) 25/30と軽度低下しているのみであった.
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