総合診療25巻9号

2015年09月発行

特集 診断ピットフォール10選─こんな疾患，見逃していませんか？ 【各論❹】

持続する胸痛……さあ，どうする？

著者： 神宮司成弘¹

所属機関： ¹藤田保健衛生大学救急総合内科

ページ範囲：P.831 - P.834

Case 1 : 診断は何か？
症例：60歳，男性．
既往歴：高血圧，脂質異常症で内服処方あり．
現病歴：受診1時間前より左前胸部痛があるため救急搬送された．来院時も胸痛が持続していた．バイタルサインはいずれも基準値内であったが，苦悶様で，冷汗も認められ，直ちに静脈路確保，採血，12誘導心電図（図1），ポータブルでの胸部X線を施行した．胸部X線は心拡大や縦隔開大，気胸も含め，肺野異常所見はいずれも認められなかった．

参考文献

のR波増高を呈する病態の心電図が豊富にあり，重要な鑑別点が挙げられている＞

2）Birnbaum Y, et al：ECG diagnosis and classification of acute coronary syndromes. Ann Noninvasive Electrocardial 19（1）: 4-14, 2014. ＜ACSでの多彩な心電図変化と他病態で類似する心電図変化との鑑別がまとめられている＞

. West J Emerg Med 13（2）: 160-162, 2012. ＜Wellens症候群のケースレポートで，病態への早期対応がまとめられている＞

4）中島祥文，他：心筋虚血を見逃しやすい心電図所見にどう対処するか．Med Pract 28（9）: 1587-1592, 2011. ＜ST低下，Wellens症候群，梗塞後狭心症などの心電図変化での診断がまとめられている＞

5）Glickman SW, et al : Development and validation of a prioritization rule for obtaining an immediate 12-lead electrocardiogram in the emergency department to identify ST-elevation myocardial infarction. Am Heart J 163（3）: 372-382, 2012. ＜ACSとして非典型的な自覚症状での心電図検査ルーチン化での感度や見逃し例の検討がなされている＞